インディアナ州モンロヴィアの作品情報・感想・評価

インディアナ州モンロヴィア2018年製作の映画)

Monrovia, Indiana

製作国:

上映時間:143分

3.9

『インディアナ州モンロヴィア』に投稿された感想・評価

いつものように平均3〜4秒ほどでカッティングされる画面に、インディアナ州モンロヴィアの静かで退屈な風景が捉えられている。

この景色は確かに退屈だけれども、一方心地よさを感じられるのは、アメリカの広大な大地を感じられるからか。或いは、巨大なビルなど存在せず、人々が淡々と働き、食べて、ささやかなイベントを楽しんで暮らすという、非都会的な、安穏として、地に足がついた生活を送っている様が、どこか羨ましいからか。

日本でも大都市から離れた土地に、フレデリック・ワイズマンが来れば、同じような映画が撮れるのではないかと思う。

ただしアメリカ特有の銃・キリスト教・人種の問題が、この土地にも静かに横たわっていることが感じられ、ならば日本に置き換えるとそれは何になるのだろうと考える。

田舎の退屈な日常は美しく愛おしい。そこにずっと留まり続けることを苦に思わないなら。都会的な価値観に染まり、常に進歩主義的に思索することが善とされる価値観の中で生きている人に比べて、全く健全な暮らしをしているように見えてしまう。

田舎は都会を異常と思い、逆もまた然りか。
日本では都会派が主流らしく、地方はいよいよ息も絶え絶えになってきている。
mingo

mingoの感想・評価

4.2
2019の山形でもksでも見逃してワイズマンだし都内でかかるだろ!でスルーしたら何年経ってもかからない始末…念願の鑑賞。ワイズマン久しぶりだけどやっぱおもれー。冒頭田舎の風景が映され母校のバスケが強い自慢を凄さを教師が熱弁、手前の絶世の美女がふいにあくびをする場面の切り取り方がザ・ワイズマン。棒状のピザやスーパーに映るジャンクフードそりゃデブしかおらんよなと観てると徐々にモンロヴィアの虜に、後半に出てきた焼いてる肉の美味そうなことよ!大人も子供もサイド刈り上げ前髪整えるホットロッド理髪店、酒は市民に必需レッドバレル酒店、10万ドルものクソたけー重機に興味どころか目を瞑って居眠るオークション、「8499万人の銃所有者は今日も誰も殺していない」の看板が示す生活に身近なガンショップではタマではなくイシ(胆石)について井戸端会議のジジイども、ワンちゃんの尻尾を短く手術、汗やフケ・塵を通さない材質でキングサイズのベッドをすすめるゴツい販売員、十字架の外枠を男が作り内部の装飾を女が添える儀式を伴った婿よりゴリゴリに肥えた花嫁の結婚式、分譲家屋は火事になった際あっという間に燃えるから消防を整えろと力説するロン毛白髪ジジイでの問答なんかは85年「パブリックハウジング」みを帯びているし、葬式はアメイジンググレイスだけど一貫して面白いワイズマンがアメイジング。
2秒前

2秒前の感想・評価

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傑作、近年のワイズマン作品では最も好み。ハイスクールでの地元史(?)の授業で最前列に座り、退屈そうにペンをいじったり、オフショルダーの服のズレを直す女の子がとても美しく、目を奪われた。このシーンの主役は彼女だと、ワイズマンも確信していただろう。

会議の場面が面白いのはもはや言わずもがなだろうが。今回も分譲地の拡大に頑なに否定的な女性と、公平な立場であろうとしながらもやや肯定よりの女性との間で、二人の持つ思想、偏見が浮き彫りになっていき、遂に空気に亀裂が入る瞬間はなんともスリリングだ。

だが今作がなんの映画かと問われれば、迷わず「老人の映画」だと答えたい。それは墓であり死の映画だ。街の歴史なんてものは、この墓碑銘にしかないのだと言わんばかりの。それもこのモンロヴィアという街を余すところなく捉えようとするうちに、自然と映画がそう形作られていくような。

こんなに墓と老人が映る映画もそうないだろう。例えば、フリーメイソンに所属50年を表彰される男性のなんとも言えない佇まいの可笑しさと愛くるしさをカメラは長々と捉える。

この映画の老人たちはほぼ白人で、おそらく保守的だろう(少なくとも銃規制に対する街の保守的な雰囲気は至る所にうかがえる)。しかしカメラは誰それが亡くなっただの、体のどこが悪いだの他愛無く話す彼らのただそのままを捉えるばかりで、そこに侮蔑的な視点は皆無だ。

その向けられた視線のフラットさから安易に「優しさ」を読み取ってしまったのは私の安直さだが。しかし、そこがどうしても好きなのだ。
最近のワイズマン作品ではよく行政のミーティングが写されるけど、これについては正直面白さが分からず、昨年の『ボストン市庁舎』も見に行かなった。今日見たやつは田舎の商店がよく写されている。特にアメリカのスーパーマーケットではどんなBGMが流れてるのか気になっていたので、一応その雰囲気が感じ取れて良かった。
ジョン・ディヴィーのカメラが、ビスタサイズの画面にきっちり収まる。予め撮る被写体が決まっているからできるわけだが、アクシデントが発生するドキュメンタリーではない。それにしても、この町の人々の無気力感はどうしたことか。幸せそうに見える人が見当たらないのだ。自分の高校のチームの自慢を延々と話す教師。中身のない説教をする牧師。死者へのいたわりに欠ける牧師の葬儀の説教。ライオンズクラブで、ベンチを寄贈することに時間を掛けて論議し、消火栓と水道局の責任について同じことを繰り返し確認しあう街の役員。銃砲店で鹿の試し射ちをするのだと主人と話す、撃ちたくて仕方のない住人。そして銃器携帯ができる街の看板。『メイン州ベルファスト』の知的な印象の街とかけ離れた、共和党の町のスケッチ。さりげないワイズマンの批判的眼差しを感じた。
菩薩

菩薩の感想・評価

3.5
吐き気がするほどアメリカの風景でロマンチックどころか普通に胃がもたれた…。この熱心さや忠実さと言うのがトランプへの狂信に結びついてしまうのはしょうがない、ほとんど白人だし。にしてもバスケがなんちゃらの授業で一番前の席で話聞いてる肩出し女学生が可愛過ぎたのだがあれは素人か?あとコンバイン競売場の野生のスキャットマンの滑舌が気持ち良過ぎた。この地で生まれこの地で育ちこの地を誇りこの地を守りこの地で死んでいく事になんの疑問も抱いて無さそうな「善き人々」、勿論それが間違えている筈も無いのだが、これと言って人生に不満も無さそうな姿はちょっと羨ましくもある…。冒頭の矢継ぎ早カットの中に消火栓のカットがあって(たぶん)なんだそれと思ったらちゃんと伏線が回収されていた。何が面白いのかまるで分からない牧師(?)の説教を鼻ほじりながら聞いていたら列席の皆様も同じ様な表情をしていた。そりゃあんだけ土地が広ければ余裕で土葬にもなろう、日本が火葬なのも頷けた。肉以外の飯があまりにも不味そう過ぎる、野菜を食え野菜を…。男が全員同じ床屋で同じ髪型、バーバー吉野か。唐突に挟まれるイッヌの断尾サスペンス、あれはあれでなんか象徴的なシーンだった。
昼寝

昼寝の感想・評価

4.0
初ワイズマン。インタビューやナレーションなど交えず早いカットの連続で土地の色を浮かび上がらせる手法は先日見たオリヴェイラの短編『ドウロ河』のようで実はドキュメンタリーとしてはかなり古典的な手法に思える。白人ばかりで保守的な地域の醜悪さ、みたいな見方もあるんだろうけど、個人的には排外主義的で銃社会大好きで怪しい薬剤ビジネスにもすぐ飛びついちゃうような人たちも全然真面目に生きている良い人たちなんだよな……となんとも言えない気持ちになってしまったり。最後集合墓地で締めるのも良かった、この土地で死んでいった沢山の人の上に歴史があって、これからも死んでいく沢山の人たちがいる。あとは音の編集が上手い、前のカットで聞こえていた音が近づいたり遠ざかったり、広々と続くモンロヴィアの土地をゆっくり移動しているような感覚になる。どこに行っても聞こえ続ける鳥の鳴き声も印象に残ってる。
アテネ・フランセシネマテーク 映画の授業
Cinémathèque de l'Athénée Français ―Leçon de Cinéma 2022
最近のニューヨークやボストンとは異なる保守的な人々が多いモンロヴィア。
こっちも撮るのがフレデリックワイズマンなんだろうな。(当然リベラル目線強めだけど)

合間に差し込まれる農地の牧歌的なショットが美しい…
そして唐突なグロ…(マジで注意)
1)2018年のドキュメンタリーで、企業が誘致しやすいようにフレンドリーなモンロビアに変えようと町は会議を開いているが、全体を見ていると、果たして、この町に新しいビジネスが増え、人口も増加しているのだろうかと不思議に思った。

2)監督が知り合いに小さい田舎町のドキュメンタリーを撮りたいんだと言ったら、この町を紹介されたらしい。何日か通って、撮影することに決めたと言っていたから、監督の想像や期待する要素だけでなく、将来展望も見据えた町だったのに違いない。1063人の(2010年の人口調査)共同体で大農法営んでいる町そのものにも焦点を当てる監督もユニークだと思う。それに、ここは米国の副大統領、ペンスが州知事をしていた州でもあり、彼がトランプの副大統領(2016)になった州でもある。その州の人口1063人の町民に焦点を当てている。たとえば、教会、学校、町議会、ヘアーサロン、床屋、ベビーシャワー、動物病院、体育館に出張した寝具屋、ライオンズクラブ、酒屋、スポーツバー、祭り、ガレージセール、カフェ、などなど。町議会で給水塔の設備の増加を取り上げている人は死活問題につながることを知っている。人口増加(151件誘致)で企業の誘致を狙って税金の拠り所を考えているが、インフラが不十分だと言って、火災を想定して防災設備が優先だと考えてる人がいる。その反面、こういう問題にになるから人口を増やすことに反対する人も出てくる。1063人はそれぞれこの町で生きている。伝統的な考えに縛られているところや革新的にや何かを変えなければ生活は良くならないことや問題解決姿勢がないと何も解決できないことに気づいている人もいる。

3)あくまでも、私の観察からで、かなり見逃しているとこともあるだろうけど、書き留める。

中西部の小さな農村地帯だから、KKKの落人もいるだろう。人種構成や宗教、中高に集中して観た。メソジストとコミュニティー教会が映っていた。メソジスト教会で葬儀があったが、この宗教がこの地域の最大なのだ感じた。この牧師の死者を弔う説教はかなり良くて、家族はこのような詳細なスピリチュアルな説教で、より泣き出しているのがわかった。光栄な説教だと思った。
農機具のオークションで数人のアーミッシュの人々を見かけた。高校の催しでも黒人の人が数人いた。アジア人はいるか?日本人はと思ったが見当たらなかった。米国で日本人が全米に散らばったのは戦争の花嫁の歴史だが、今は? 他は白人(後で調べたら、ドイツ系が多い)が多かった。

高校の授業だが、米国社会の中でかなり取り残されているっていう感じがした。2018年ごろの映画だし、伝統伝統、伝統が大事という伝統から抜け出しにくい共同体組織の学校群にいると思う。モンロビアでは小、中、高校と一つずつしかない学校だから、教育改革は州から変えていかないと変わらないのかも。モンロビア高校の何のクラスか知らないが、バスケットやフットボール(?)の1920年ごろからの歴史や誇りについて一方的に話している先生がいるが、そんな歴史を話してどうなるのか?聞いてる生徒もいたが、あくびをしている生徒もいた。こういうのはバスケット部のミーティングで話すので十分だ。この後、すぐ『Be Inspiring 』なんていうポスターが貼ってあるところを見せた。これじゃ、生徒はInspiringされないよと言いたくなるクラス。先生は学校の伝統や誇りを強調したいだろうが、高校生の世界は進歩しているんだよ!不思議なことに携帯も、スマホも使っていなかったね。見落としかな??2007年にiPhoneは出ていて、2018年のドキュメンタリーなんだよね。共同体の中では使わないのが徹底されているのかもね?知らないけど?
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