絞死刑の作品情報・感想・評価

「絞死刑」に投稿された感想・評価

死刑執行を見たことがありますか

役人 自分の仕事だけ 朝鮮人らしく 演劇 国家
kyoko

kyokoの感想・評価

4.2
ものすごく面白かった。
2件の強姦殺人事件によって死刑囚となった在日朝鮮人R。
トラウマになりそうなぐらいリアルな死刑執行の描写から一転、失敗に終わったRの死刑のやり直しをめぐるドタバタが滑稽で不謹慎きわまりなくてゲラゲラ笑ってしまう。
とにかくRの記憶を戻すべく熱心に再現ドラマを演じる教育部長、終始おとぼけの所長、ドSの医師、意味不明な教誨師、鎮座する検事……秀逸なキャラが揃いぶみ。
Rがとてもいい顔をしている。

密室だけにおさまらず想像が羽ばたいて外に飛び出してそこから徐々に不条理劇へと展開していってもまだ面白い。次第にRと自分との境界線をなくしていく者、妄想でしか他者を認識できていなかったR。
もしかしてこのまま死刑執行しないで終わるんじゃないかと思ったけどね。

皮肉と矛盾に満ちたこの作品で大島渚が突きつけた死刑制度の問題は、50年経った今も変わってはいない。
環境音すら入らないモノラルのアフレコ録音が、登場人物とセリフとを乖離させ、オフスクリーンなどの劇的な関係から解放された、対等な会話がなされているのが良い
日の丸の下、川を漂う朝鮮人二人のショットは、所詮自由といっても国家による支配内でしかない事を示し、シニカルさや残酷さがあり、これも良かった
Mirei

Mireiの感想・評価

4.1
コンテンポラリーアートの美術館に展示されてそうな作品。途中で眠くなったけど、ユーモアを交えながら国家の実体のデタラメさに切り込んでいた。
とんでもなくシュールで悪夢的な作品。ここまでやりたい放題やった邦画はそうそうお目にかかれない。日本史上最大のタブーである「死刑制度」と「在日朝鮮人問題」に真っ向から取り組んだ大島監督の器量は並大抵のものじゃない。

鑑賞後かなりヘビーになる映画だが、自由奔放な発想力と高度なブラックユーモアには思わず感嘆する。このような重苦しい題材をコメディ映画にしてしまうのだから大島さんは真に型破りな映画作家としか言えない。現在の日本では製作不可能と思えるタブー描写がてんこ盛りの凄まじい作品でもある。

当時の新左翼運動の危険なムードが全編に立ち込めており圧巻の一言。かなりイデオロギー色の強い映画だが、シナリオ面ではほぼ完璧に近い真にアヴァンギャルドな傑作と言える。観終わって不快になる方も多そうだけど…😓
akira

akiraの感想・評価

4.0
別に病んでこの映画を見てるわけじゃないですw。大島渚と片渕須直の作品を掘り下げるのがマイブーム。

大島渚の凄さって、当時の映画の最先端の文脈を自由に使って、あくまで日本の醤油臭さで勝負し切ったところ。邦画の黄金時代だったとはいえ、誰もあそこまで丸裸でさらけだせない(円谷や若松孝二は例外だが)。この「絞死刑」 は、まさに曝け出した作品。

前半はヒッチコックの「ロープ」。後半はゴダールも入ってくるが、大島渚の演劇的な役者の見せ場に圧倒される。
社会のセンサーとしての作品としての雛形と言えるかもしれない。主人公が画面に視線を送り、ナレーションが観客に直接訴えかけるこのやり口、、「シベリア超特急」w。は兎も角、若々しい演出に奇跡的な名演の数々。奇抜なキャスティング。
なんか奇をてらうのがこの人にとって王道みたいな、、重い題材なんてまったく苦にならない自由な映画。
Joao

Joaoの感想・評価

5.0
笑わせられながらも、大島渚に考えろと色々な問題を投げつけられる感覚。

外国人が異国に住むということとは、
死刑とは一体どういうことか、
国家とは何だ、
死刑囚が死ぬこととは、

死刑囚Rの本質的な質問に、周りの人間が困りながらも必死に答えていく。
そのRの質問自体こそが、大島渚からの、私たちに対する質問なのだ。

とにかく、
このテーマにも関わらず、これは最高のコメディだと言うほかはない。
いや、このテーマだからこのコミカルさが生まれているのか。
uyeda

uyedaの感想・評価

3.4
真面目に生きて来なかったためかこういう映画について評価する言葉を持ち合わせていないが、社会派映画という側面に流されずに、死刑囚Rの身体及び精神がどう移ろうかをしっかり観るべきか。それこそ社会的って事かもしれないが
今では放送禁止用語となっている言葉が満載の映画で、見ていてドキドキした。
死刑制度に対するアプローチとして、この前見た「休暇」とはまったく異なっているが、こちらはだいぶコミカルだ。
死刑制度よりむしろ朝鮮問題に力を置いている感じ。お姉さんが出てくるあたりがナゾ。
おかつ

おかつの感想・評価

4.8
大島渚組の俳優たちが最高。
現在もなお続く死刑制度、そのあり方や意義を問う本作だが、佐藤慶渡辺文雄戸浦六宏小松方正らの熱演に大いに笑わせられる。

小松方正は笑える役所じゃなく、寧ろ他の役者の滑稽ぶりが彼が体現する国家の恐怖を高めているが、それはともかくとしていい年したおっさんたちの魂の劇中劇に爆笑必至である。


ただこの映画が作られて50年になる現在においてもなお、社会の死刑制度に対する考え方というのは大して変わっておらず、なんとも思い気分になった。
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