絞死刑の作品情報・感想・評価

「絞死刑」に投稿された感想・評価

真面目に生きて来なかったためかこういう映画について評価する言葉を持ち合わせていないが、社会派映画という側面に流されずに、死刑囚Rの身体及び精神がどう移ろうかをしっかり観るべきか。それこそ社会的って事かもしれないが
今では放送禁止用語となっている言葉が満載の映画で、見ていてドキドキした。
死刑制度に対するアプローチとして、この前見た「休暇」とはまったく異なっているが、こちらはだいぶコミカルだ。
死刑制度よりむしろ朝鮮問題に力を置いている感じ。お姉さんが出てくるあたりがナゾ。
おかつ

おかつの感想・評価

4.8
大島渚組の俳優たちが最高。
現在もなお続く死刑制度、そのあり方や意義を問う本作だが、佐藤慶渡辺文雄戸浦六宏小松方正らの熱演に大いに笑わせられる。

小松方正は笑える役所じゃなく、寧ろ他の役者の滑稽ぶりが彼が体現する国家の恐怖を高めているが、それはともかくとしていい年したおっさんたちの魂の劇中劇に爆笑必至である。


ただこの映画が作られて50年になる現在においてもなお、社会の死刑制度に対する考え方というのは大して変わっておらず、なんとも思い気分になった。
Uknow

Uknowの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

<Rの肉体は 死刑を 拒否した>

<RはRであることを受け入れない>

強姦、強姦致死並ビニ殺人被告事件
主文、被告人ヲ死刑ニ処ス

<RはRを 他者として 認識する>

Rというのはね、君の名前だよ。R!
すなわち朝鮮人の名前、朝鮮人のR!
わかるだろ?
君は今22だ。君は18の時に犯罪を犯して22の今日まで牢屋に入っていた
覚えてんだろ?
一時君はKという日本人の名前を名乗ったこともあるが
やっぱり君はRという朝鮮人!

「朝鮮人とはなんですか?」

なんてこと聞いてくれるんだ
「部長、説明してやれ」
説明してやれと言ってもねぇ、クロンボかなんかで肌の色でも違ったら分かり易いんだが…
此処は日本だ、で、此処にいらっしゃる方は皆日本で生まれた
つまり日本人
いやぁ、君も日本で生まれたんだが、君のお父さんとお母さんが朝鮮で生まれたんで君は朝鮮人
「そんなことじゃあ説明になりませんよ。国家とか民族とか、そういうことはハッキリさせなくちゃわかりませんよ」
国家とか民族とか…ウーム、国家と言えば君は韓国籍、そういう意味じゃ韓国人。民族と言えば君は朝鮮人…ウアーッ、もう面倒だなあ!
我々日本人にとっては韓国人でも朝鮮人でも同じなの。
とにかく一応君は朝鮮人だ
わしら日本人
それが違いなんだよ
その朝鮮人の君は二人の女を犯して殺した

「なぜ殺したんですか?」

なぜって君が劣情を催して女を犯したくなったからじゃないか

「女を犯すってなんですか?」

女を犯すって言ったって、なぁ、それはあの…
わかるだろ?君の劣情があんな風にさせたんだ

「劣情ってなんですか?」

とにかく普通は適当に相手がいて処理をしてるもんなんだが
君の場合には相手がいなくて
それはやっぱり朝鮮人、環境、家庭…いや、朝鮮人のことはさておくとしても
それはやはり貧しい環境、ゆがんだ家庭

「家庭ってなんですか?」

家庭っていうのは君、お父さんがいてお母さんがいて、子供がいてそれが一軒の家に住んでんのが家庭だよ
例えばわしがお父さんとするだろ、これが妻だ。つまりお母さん。
君にはお兄さんが一人いたな、何人居たんだっけかな。とにかくたくさん居た!
それで此処は汚い四畳半。お父さんとお母さんを中心にして皆がごちゃごちゃっといる。
「ただいま」
お父さんは酒飲みだ、今夜もまた飲んでいる。
家庭環境は悪い。夫婦は夫婦喧嘩、兄弟は兄弟喧嘩。

「もっと朝鮮人風にやってもらわないと気分がでないな」
あ、そうか。
「酒飲ムナって何ノ楽しミアルか⁈」
「それよりお前今までどこに居てたアルか!万引きしてたとチャウカ⁈」
懐から本を取り出す。万引きしてきた本だ。
どうせフスキーとかゲーテとかそんなもんだろ。
どうだ、もうわかったろうこれが君の家庭なんだ
こんな家庭にもかかわらず君は優秀だった。
朝鮮人としては勉強もよくできた

とにかく君は昼間は神戸製作所で働いて、夜は夜間高校へ通った
世界の文豪と言われる人の本もよーく読んだ
このままいけば君は夜間大学にもいけて、もっといい会社に変わることもできたかもしれないし
大学を出れば官庁に入る試験だって受けることができたんだよ!

エイッ
「心神喪失を治すにはショックを与えるといいと聞きました」
「ハッハァ、夜間大学ではそんなんことを教えますか」

所長、もう一息だと思います。彼と私の心の繋がりがもう一息で

「だいたい、わかりました」
「一人の若い朝鮮人がいて、貧しい家庭に育って」
「そのことのために若い女の人を殺して、犯した」
「それから死刑を宣告されたんですね。」
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。人間の信頼とは美しいもんだ。
僕はね、君は必ず僕の心をわかってくれると思ってたんだ。
じゃあ、饅頭でも食べようか

「なぜ僕が饅頭を食べるのですか?」

神も仏も同じだよ
それで成仏をしてくれるよな?

仏教反対、仏教反対、仏教反対!
R君、いや、Rじゃない君
君は今殺されんとしてるんだ
こいつのお経が終わったら君は目隠しをされてあそこに立たされる
首に縄がかかる、スイッチが押される、君の下のはめ板が落ちる、君の体は宙吊りになる。縄が首を絞める、君の呼吸は止まる。
君は死ぬんだ、君はそれでもいいんですか?
殺されたいんですか?殺されていいんですか?
たった一言です、いいなさい「oui ou non」

「non」

おー!神様、Rじゃない君は死にたくないっていいました!

君は何もかもわかっていたはずじゃないか!
君は若くて貧しい朝鮮人なんだよ!
君は若い二人の女を殺して、犯したんだ!それが君なんだよ!君はRなんだよ!

「そのRはどうなったんですか?」

バカーッ!バカバカバカー‼︎
君は卑怯にも恥知らずに逃げ隠れさえしたんだぞ!これだけの犯罪を犯しながら‼︎
しかもその上、被害者の家に櫛を送ったり、新聞社や警察に電話をかけて俺は殺人者だって誇り出したんだ君は!
完全犯罪は最高の芸術なんて一片の反省すらなく人間的良心の呵責さえ受けていないんだ!
動物的冷酷だ、それでも君は人間かァ———ツ!

「つまり、僕がそのRだというんですね?」

そうだよお〜
「そうですか、しかし僕はどうしてもそのRが僕だという気がしません」
「でも、皆さんがそんなに一生懸命仰るんですからもしかしたらそうなのかもしれません」
「ただ、今僕はどうしてもそう思えないので、さっき皆さんがおやりになったようにやってみるのが…」

<RはRである ことを 試み る>

<Rは朝鮮人 として 弁明される>

<RはRである ことに 到達 する>

戦争で人を殺すのも国のため、死刑で人を殺すのも国のため
つまり、死刑と戦争はおんなじもんなんですなあ

<ぼくは 姉さんを好きに なっていた>
<どうして 好きな姉さんと 被害者の人たち を 重ね合わせて しまったのか>
<好きな人の死 それを考えた時 他の人が死ぬと いう事の意味が はじめて 現実的にぼくに 襲いかかった>

<ぼくは 二人の人間を 殺した>

<きっと 姉さんを好きに なった時から ぼくの心は ぼくの想像だけ の世界ではなく 他の人も入りこ んでくる世界に なってしまった のかもしれない>
<それから 夢の中のように ヴェールを一枚 通してしか感じ られなかった 被 害者の人たちを とても生々しく 感じられるよう なことが時々起 るようになった>

<殺した人たちの ことだけではな く 自分のやったことと それから 自分自身が とても生々しく 現実的に思える ようになった>

現実を生きたからぼくは人を殺した

<RはすべてのR のために Rであることを ひきうける>

「今わかります、ぼくは R」
「死刑になるべきではないと思います」
「ぼくは確かにR、でもあなた方が考えているようなRではありません」
「いいえ、ぼくはあのことをやったR。でも、」
「罪を感じないんです」
「あなた方はRに罪があるという。そのRはぼくとは別の人間です」
「違う、そのRはぼくじゃない」
「人を殺すのは悪ですか?」
悪だ、なのに君は罪を感じない
「悪ですか。では、死刑でぼくを殺すのも悪ですね」
我々が殺すんじゃない国家が君を生かしておかない
「そういうのぼくは嫌です。国家ってなんですか。あったら見せてください」
「ぼくは見えないものに殺されるのは、嫌だ」
検事さんを含め我々が国家だ
「じゃあ、あなたがぼくを殺す殺人者ですね」
「全体は誰ですか」
「じゃあ仮に検事さんがそうだとします」
「ぼくを殺した検事さんもその罪を免れない。別の検事さんが検事さんを殺す。その別の検事もまた誰かに殺される」
「そしたら日本国中誰もいなくなってしまいます」
「ぼくは二人の人間を殺しました。その判決文とは違いますけれど」
「皆さんはぼくに罪があるという」
「死刑にしようとして、そのぼくを殺す」
「ぼくの考えは間違っていますか」
君は無罪だと思っているんだね
「はい、そう思います」
よし、君が無罪だと思っている限り君は無罪だ。刑は執行しない。
R、君は無罪だ出ていきたまえ
どうしたR、君は立ち止まった。出ていけない

なぜ君は立ち止まったかわかるか。
今君が出て行こうとしたところは国家だ、今君が立ち止まったところも国家だ。
君は国家が見えないと言った。しかし、今君は国家を見ている、国家を知っている。
君の心の中に国家がある。心の中に国家がある限り、罪を感じる、罪は疚しい。
君は死刑にされるべきだと、今思った。

「ぼくは無罪です」
「今まで自分にはもしかしたら罪があるのかもしれないと思ったこともありました」
「しかし、ぼくは無罪です」
「ぼくを有罪にしようとするものがある限り、つまり」
「国家がある限りぼくは無罪です」
「わかっています。だからぼくは引き受けるんです」
「あなた方を含めてすべてのRのために」
「Rであることを引き受け、今、死にます」


_
【教誨師】
とすれば此処に居るのはR君ではない
R君の魂はすでにこの世にはない
もし彼が意識を回復させても
それはR君ではない

何を言っているんだ
あんたはこんな事態を楽しんでいる
あんたの言ってる言葉は悪魔の言葉だ
あんたの心に悪魔が住んでいる
でもいいでしょうあんたはやってみせると言った
いいでしょう皆やってくれるんですね
皆がR君のように死刑になる気持ちを味わいたいんだな?
しかし、私は悪魔には力を貸せません

心がなければあなた方はもう彼をR君と言えないはずです
もちろん刑の執行もできません
 罪とは心が動いて犯すもの
 罰とはその心に対して肉体を罰するのです
人は心がない以上その肉体を罰することは不可能です
なぜならそれは罪に対する罰にならないからです
だから君は、
君はわかっているわかっていて知らない顔をしている
そうだ、君はRだ
Rなのに知らない顔をしてしらを切っている

おい、殺人者!
Rではない彼を殺そうとするなんてもっとも無意味な殺人行為だぞ!


_
 絞首刑によって死にきれなかったRを再執行するまで。罪を犯すこと、死刑とは。
 愛情を持ってRを元に戻し、もう一度殺すための手はずを整える。
 心神喪失で呆然と遠くを眺めるRと、その周りでもう一度殺すためにあくせくする人間たち。暖簾に腕押し感。

 死刑反対に関しては、被害者の家族にでもならない限り本当の意味でその真偽を図れるかと言われるとうーん。ただ、Rの言い分もわからないこともないけど、人を二人殺した人間がこれを言ったところで正当性というものにかけるのではないかと思ったり。ただの殺されたくがないがための屁理屈と取られても仕方がない気も。個人間での報復では国家が成り立っていかないから公的な機関における裁判という形と執行の形をとっているのが、社会なわけだからじゃあ相手家族ならいいのかってそしたらまた殺人者になるのかプラスマイナスゼロなのかっていう。
 ネックは冤罪かなという気もするけれど。みんながみんな殺人犯の罪を許せるわけでもないし。うーん、難しい。これでも1968年の映画なんだよな。文明の歩みは早いようで遅い。


・目は人間のまなこなり
・女を犯すということをどなたか若い方説明してくれませんかなって言われた時教誨師含め一同起立したの笑ったオイオイ。ドリフかな?
・唖(おし):《「おうし」の音変換》口が聞けないこと→聾唖→聴唖
・シャーシャーシャーシャー
・便所で己の尻から取り出した回虫を食す
・「永久に心神喪失状態、無論永久に死刑にはできない。はははっ、戦犯がよく使った手だ」
・お姉さんとのくだりがイマイチ蛇足気味な気も
・部屋の中で行われる遊戯と日の丸を背負いそれを眺める人間たち

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よく勤めを果たしてくれました
教育部長あなたも
保安課長あなたも
あなたも
あなたも
あなたも

あなたも、この映画をみてくださったあなたも。
皆さんは死刑制度に賛成ですか
反対ですか

在日朝鮮人の死刑囚を中心に民族問題、貧困、死刑制度を初めてしてさまざま倫理観を含めて社会に問う映画

かつては日本でもこんなに社会的な鋭い映画が一般上映されていたにだなぁ

大島渚が力技で死刑制度に肉薄していく
大島渚は以前駅前で募金集めをする傷痍軍人のドキュメンタリーを撮ってたけど当然其処には利権が絡んでいて殺気だっている兄ちゃんが妨害しようとするもあの巨体で有無を言わせずカメラを回して特攻状態です!このころの大島渚監督は正に闘志だったね!
そういえば若者の味方と持ち上げられ昔の写真やドキュメンタリー見てると学生寮の壁にこの映画と同じ監督の少年とがセットになって壁に貼ってあるのをよく見ていて気になってました
思想は別にして熱い時代だったようであります
barakachan

barakachanの感想・評価

4.5
シネマハウス大塚で崔洋一監督のトークショー付きで鑑賞。

事前の予想を超えたすごい映画だった。
在日朝鮮人の死刑囚が犯罪に至るまでの家庭環境、差別を描いただけでなく、国家が人を裁くということも観る人に課題として突きつける…当時の思想の一つの在り方も色濃く反映していた

映画は死刑場が舞台だけど、天才美術監督、戸田重昌により、印象に残る場面がいくつも作られていた。
特に主人公Rの家の壁を新聞紙を貼って模したり、窓から見える日の丸で国家を強く象徴させたりする場面の作りは圧巻。

どういう思想を持つかは、人それぞれ。
ただ映画はその一つを描く力を持っているし、議論を呼び起こす力をもっているものなんだなと実感。
そういう時代だったと片付けてしまうと、映画の力はますます弱まるように思ってしまった。
とにかく力強い映画だった。
はみ出し、繰り返す映画
ラディカルなユーモアが刺激的
死刑場から外に出て繰り広げられる
想像シーンが秀逸
河原で駅前で氷屋で屋上で
魅力的な顔、顔、顔
弟

弟の感想・評価

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シネマハウス大塚で森達也と大島渚の息子のトークつきで観た。あんまたいしたこと言ってなかった...
まさ

まさの感想・評価

3.0
死刑執行の一部始終が描かれるのだが…
一度処刑が失敗し、在日朝鮮人である死刑囚”R”が記憶を失ってしまう…
どうしてもRの記憶を蘇らせ、死刑執行を完了させたかったのだが…

描き方が面白いね。ユーモアたっぷりに描かれ、笑ってしまうくらいだ。もはや全編コント。

死刑制度に賛成か…反対か…
民族問題…
メッセージ性が非常に強い。
あき

あきの感想・評価

5.0
日本の死刑制度だけじゃない、この時代が抱えていた、貧困ゆえの犯罪、人種、いろんな問題をRが素朴な質問で刺す。
答えられる人間がどれだけいるだろう。
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