ザ・メッセージの作品情報・感想・評価

「ザ・メッセージ」に投稿された感想・評価

カラン

カランの感想・評価

4.5
宗教の歴史についてなんて、長くて、寝落ちするんじゃないかと思ってましたが、アニハカランヤ。エキゾチックな気持ちになりました。身近には見当たらないものを一つ一つちゃんと見て回る旅をしている気分ですね。イスラムのことって、日本にいると、過激派のニュースとかアメリカとの交戦の報道とかしか、入ってこなかったりしますよね。例えばすぐに思い出すのは『パトリオット・デイ』の鍋に釘爆弾を仕込んだ兄弟の話しだったりしますよね。そういう人たちがいるのは事実なんでしょうけど、フェアではないですよね、そういう映画だけじゃ。

この映画ですが、砂漠にまず驚きます。太鼓とあの独特の笛にも驚きます。音を少し大きめにして観ると良いです。アラビアの音をたくさん聴くのはなかなかない経験ですよね。フェリーニの『甘い生活』の冒頭のヘリコプターで空を飛んでいる巨大なキリストとか、リストランテでのあの風変わりなダンスによって、新しいものへの驚愕が映し出されていましたが、それに近い驚きを覚えました。知らない世界ですよ、この映画の世界は。で、この映画は長いのですが、結構飽きないです。それは、戦争が断続的に繰り返されるのも、関係しているかもしれません。ムハンマド(映画の字幕ではトルコ語に由来するマホメットとなっていますが、アラビア語に近いのはムハンマドのようです。またこの映画は実は、祈りの歌?を除けば、全編英語です。英語で発表する目的は分かりますが、ちょっと興趣を削がれるところ)は、ウィキペディアでは職業の欄に「開祖、軍事指導者、政治家」となってますが、ここも私たち日本人には意外なところですよね。砂漠での戦争ですので、水場を計算した戦い方も映画では描かれています。たぶん相当な戦術家だったのでしょう。

また映画の冒頭で説明が入るのですが、偶像崇拝の禁止という教義に敬意を払ってムハンマドの直接的な描出はされません。顔も声も出てこないのです。これもユニークさの一因です。



映画の冒頭をなぞっておきます。

デビッド・リーンのかの大作『アラビアのロレンス』は第一次世界大戦の頃の物語でした。それを遡ること、1300年ほど前のこと。本作『ザメッセージ』のナレーションによれば、キリストの死後600年が経とうという頃のこと、欧州は暗黒の時代にあり乱れきっていた。ムハンマドの生誕の地、メッカは、商人の街であり、商人たちは特権を乱用し、街の神殿には360もの様々な神々の偶像が奉納されており、カアバの神殿は古の威厳をなくしていた。神殿に奉納された種々の神々に祈りを捧げるために巡礼者がメッカを訪れ、そうした人々と交易することで、メッカは栄えていたので、神は唯一であり、偶像崇拝を禁じるムハンマドの教えは、町中から強い反発を招くことになった・・・



そうそう、言い忘れてました。

この作品は教義に則っていることに関してイスラームの宗教学者のお墨付きだと最初から断り書きが入るとは言え、映画です。パッケージに写っている人物は『アラビアのロレンス』にも出てましたが、『炎の人ゴッホ』のゴーギャン役でアカデミー助演男優賞を受賞した故アンソニー・クイン氏ですからね。彼ははまり役ですが、アラブ人ではありません。これは映画なのです。プロバガンダとまで言う必要があるのかは不詳です。うん、たぶん、それはうがった見方でしょう。しかし映画の最後で、巡礼と礼拝の場面が映され、これは現代の実際の映像がおそらく使われています。これは圧巻です。人が生み出すパワーに驚きます。
Eddy

Eddyの感想・評価

4.0
イスラム教は元来とても寛大な教えなんですね。
勉強になりました。
TSUBASA

TSUBASAの感想・評価

4.1
【イスラーム黎明期を描く超貴重作】87点
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監督:ムスタファ・アッカド
製作国:モロッコ/サウジアラビア/クウェート/リビア
ジャンル:歴史
収録時間:177分
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最早お蔵入りといっても良いほどの伝説の歴史映画。間違いなく今では作られない、イラン革命が起きる前だったからこそ作れた幻の映画です。未だに今作を放映することを禁止する国もありますし、公開当時でさえもムスリムから公開反対運動が起きたほど。恐らく、イスラーム黎明期を描いた唯一無二の映画であると思われます。

今作はイスラームが勃興してからムハンマド率いるウンマがバドルの戦いやウフドの戦いを経てメッカを無血開城するまでを描いています。まさに歴史大作という他ないのですが、宗教の関係からあらゆる制約を受けています。最大の制約としては「主人公であるムハンマドを描かない」という点が挙げられるでしょう。これは、イスラームについてある程度知ってる方ならば周知の事実であり、預言者ムハンマドをはじめとした人物を描くことは一切禁止されています。ムハンマドの血族や親友にも制約がかかるため、アリーやアブーバクルも名前こそ出てくるものの一切描かれません。無論、パッケージに映るこの男は架空の人物とされるハムザでありムハンマドではありません。確かにそこにムハンマドはいるのですが一切描かれない。カメラの視点こそムハンマドの視点であり、カメラに向かって人々が語る時、それはムハンマドに語りかけているということになります。

なお、今作の字幕ではムハンマドはマホメットとなっています。これは、最近はムハンマドの方が原語に忠実であるとされているためです。事実、アラビア語でムハンマドとはمحمدと表記し、マホメットと読むのには無理があるのです。この原語に忠実というルールでいくと、コーランもクルアーンの方が良いですし、メッカもマッカの方が良いでしょう。余談ですがアラビア語には母音は三つしかありません。a.i.uの三つであり、e.oにあたる場合は無理やりこの三つの母音に近づけないとならないのです。従って、コーランの「コ」やメッカの「メ」、マホメットの「ホ」なんてのは忠実とは言えません。
(細かいことを言うと、ムハンマドの「ド」はdの発音だけであり、「ドゥ」となりますのでセーフです)

個人的には大いに興味を持ちました。このあたりの話なんて全くといっていいほど映画化されていません。極めて貴重な映画であるとともに、イスラーム黎明期を知るには打ってつけの映画であると思われます。ただし、中々長いですし、いかんせんムハンマドが映されないため何も知らないまま見ると返り討ちに合うでしょう。見るならば、ある程度の予備知識は入れた方が良いかと思われます。特にムハンマドがメッカのクライシュ族に煙たがられて追い出された経緯、西にはビザンツ帝国、東にはササン朝ペルシアがあるという当時の国際事情などは把握しておいた方が良いです。

歴史に名を残している人物が、上記の制約により一切出てこないため万人ウケはしないでしょうが、歴史好きであれば一度は見ておきたい、伝説の映画と言えるでしょう。面白いかどうかは別として、こんなものをよく映像化したなと感心するばかりでしてこのスコアです。ラストのカアバ神殿の破壊も生々しかったです。

なお、最後の最後にムハンマドが持つ杖らしきものが映るのですが、この杖を映したということだけでも論争が起きたほどらしいです。偶像崇拝禁止を掲げる宗教は、このあたりがかなりシビアですね。イスラームは現状、もっと世界中の人に知られるべき宗教であります。その最たる手段の一つとして「映像」があるわけですが、これを「偶像」とみなすことは結構あるようですので、中々一筋縄にはいきません。
spica

spicaの感想・評価

4.0
イスラム教の始まりの話。
勉強になった。

普段はあまり気にならないが、この映画では、登場人物がみんな英語で話すことに最初違和感があった。
Leo

Leoの感想・評価

4.0
イスラム教史。預言者ムハンマドが天啓を受けてから死までの三時間。教義によりムハンマドの姿は終始映されず、カメラの視点として描かれます。もちろん詳細に教義が伝えられるわけではありませんが、根本の考え方は知る事が出来るように思います。これが史実なのだから神がいるかいないかに関わらず言葉の強さみたいなものを感じました。ラストシーンは壮観です。娯楽を求められる作品ではないですが、イスラム教に関心がある方にはオススメです。
アッラーの啓示を受けメッカの統治者らに不当な扱いを受けていた奴隷はじめとする様々な階級の人々を導いたムハンマドとイスラム建国までを描いた壮大な歴史映画。

音楽や美術の素晴らしさもさることながら、作品に投入された物量も圧巻、イスラムの始まりを知るにはとても分かりやすいよい映画だと感じた。

今世界各地でイスラム世界に対する偏見や弾圧が横行している中、こういった作品を通じて如何にイスラム世界の文化や社会、思想が素晴らしいものなのかということを老若男女問わず広く知って欲しいと切に願う。
初期イスラームの世界を壮大に描いた3時間。見所は宗教的制約から主人公にして顔も声も登場しないムハンマド(笑)半分イスラームのプロパガンダ的映画。

映画「十戒」に近く、この手の淡々と歴史を追いかける映画が苦手な人は、少し退屈してしまうかも。でも勉強にもなるし、とてもおもしろかった。

唯一残念なのは、制作はアラビア圏なのにアラビア語でなく英語だったこと。アッラーフアクバルじゃなくてGod is greatっていうのはダサいなあ…

今、世界の4人に1人はムスリムと言われるくらいにまで成長したイスラームの原点を知ることができる、非常にいい映画だったと思います。

ちなみにTSUTAYAほとんど在庫なしで、見つけるのが大変でした。