夕霧花園に投稿された感想・評価 - 3ページ目

『夕霧花園』に投稿された感想・評価

みんと

みんとの感想・評価

3.8
美しい作品だった。
3つの時間軸を通してゆったりと、または壮大さすら漂わせつつ、和のテイストを存分に感じつつ、されど戦争の残酷さは容赦なく目を覆うほど。

マレーシアの国土のうち、主要な部分を占めるマレー半島南部は、かつてポルトガル、オランダの植民地支配を受けた後、18世紀末からはイギリス領となり、「ブリティッシュ・マラヤ」と呼ばれた。太平洋戦争が開戦すると、2カ月で日本軍に占領され、終戦までその軍政下に置かれた。

今作は太平洋戦争中、日本軍によって強制労働させられたマラヤの女性が戦後、現地に残った日本人庭師に惹かれる悲恋の物語。小説が原作のフィクションとは言えマレーシアが実際にたどってきた歴史が生々しく描き出される。

戦争に勝ち負けはない、戦争は起こした時点で人間の負け…そんな言葉を耳にしたのはつい最近。

歴史の中で度々繰り返された悲劇は日本とて同じ。認めたく無いけど受け止めざるを得ない事実として突き刺さった。

ミステリー仕立ての謎解き展開が腑に落ち、戦争に翻弄されながらも憎しみの先の赦し、そして愛の深さに辿り着いた時に込み上げるものはとても大きかった。

そしてキャメロンハイランドの吸い込まれる風景美、グリーンの美しさはため息レベルだった。
Newman

Newmanの感想・評価

3.5
珍しくこの映画2度見てしまいました。肝心なところが分からなかったので。「金のユリ」って何のこと、山下財宝の話?収容所はどこにあったか?収容所と山下財宝の場所の関連は?中村(阿部寛)に突然言われなぜユンリン(主役のマラヤ(現マレーシア)人女性)が入れ墨をすることになったか、そしてその突然に入れることとなった入れ墨がこの映画の大事な秘密を解く鍵になっているのはなぜ?などなど。二度目を見て、「えっー」と思うところがあることも確認しました。だから展開が読めなかったのかと納得するところもありました。でも肝心なのは最後に長く分からなかった疑問が一気に解決する点。何か2度見てもどうもスッキリしませんでした。日本庭園の精神論は、海外の人は受け入れてくれるのかと思いました。私には、戦前の軍人の精神主義に近いように思えて。マラヤでの民間人の強制収容・強制労働と若い女性が集められた慰安所連行のシーンを見て、これが戦前の日本の言っていた「大東亜共栄圏」の現実なのだと思った。今のロシアのウクライナ侵略のように。当時の列強は帝国主義という軍事力をバックに弱い国を搾取する時代であり、日本もその列強の一つだったという事情を理解した上でも当時の日本の軍隊は醜悪で、嫌な時代だったと思う。プーチンは、今もその時代と同じように生きて戦っているのかなどとも思う。
odyss

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2.5
第二次世界大戦中、マレーで日本軍が行った虐殺行為などを描きつつ、他方で中国系女性と日本人男性の恋愛を描いています。

文化的に見るなら、日本文化の宣伝もしてくれているのでありがたいようではありますが、造園家が入れ墨の専門家でもあるという、ちょっと摩訶不思議な設定で、ようするにリアリズムという点から見てかなり問題があると言わざるを得ません。映画だから目くじらをたてる必要もないという見方もできますが。

しかし、他方で日本軍による残虐行為も描いているので、この映画がどの程度現実に立脚しているのかは、慎重に見定める必要があります。

この地域で中国系住民に対する日本軍の虐殺行為があったこと自体はそのとおりです。
しかしこの映画だけではその背景が分かりません。「日本軍は残酷だからこういうことをやった」では説明になっていない。
なぜなら軍隊は基本的に駐留する土地の住民とうまくやっていかないといけないので、戦闘員でもない一般住民を殺すような真似はふつうはしないものだからです。

マレーには大きく分けて三種類の住民がいます。
マレー系(現地民)、中国系(華僑とも呼ばれる)、インド系です。
そして第二次世界大戦の直前まで、マレーは英国の支配下にありました。だから支配階級は英国人なのですが、経済関係を牛耳っていたのが中国系。これに対して先住民族のマレー系は農業、インド系は肉体労働が多かった。

第二次世界大戦が始まると、日本は英国と戦闘状態になったわけですから、英国の支配していたマレーにも電撃的な作戦を敢行して英国軍を破ります。
そして問題の虐殺は、中国系に対してだけ行われたのです。
なぜか。
中国系は、すでに本国の中国で日本軍と中国軍が戦争状態になっていたので、その関係でマレーにおいても日本軍に敵対行動をとると見られたからです。
これがどの程度実際にそうだった(中国系住民がひそかに反日本軍の行動をとった)かについては諸説あります。
ですから、中国系住民に対する虐殺は無論国際法違反なのですが、純粋に無辜な住民を殺したとは言えない面もあるのです。
実際、マレー系とインド系の住民に対しては日本軍はそういう虐殺行為は行っていませんから。

また、それ以外に慰安婦についての描写もありますが、これまたどの程度歴史的事実に即しているのか、疑問です。慰安所があったこと自体は間違いありませんが、いわゆる「強制」によって慰安所勤務を余儀なくされた女性は、いたかも知れませんが、少なくともそれほど多数だったとは思えない。このあたりの描写には、韓国のプロパガンダの悪影響があるようにも見えるのです。

以上の点に留意してこの映画を見ると、もう一つのの特徴が浮かび上がってきます。
植民地としてマレーを支配していた英国人は悪く描かれていないこと。
これに対して、共産主義ゲリラは悪役として描かれている。
実際には、英国は共産ゲリラを嫌っていましたが、戦時中は日本軍が主敵なので、共産ゲリラとも妥協していたのですが。

そうしたいくつかの点に鑑みて、この映画は西側チャイニーズが作った、或いはそれに都合のいい映画である、と言うことができるでしょう。
監督はアメリカ生まれの台湾人だそうですが、中国人としてのアイデンティティーを持ち(したがってこの映画では中国系であるヒロインに感情移入している)、第二次世界大戦に関しては日本を批判する立場に立つが、しかし共産主義イデオロギーには距離をおいている、ということです。だから英国の支配は善(中国系住民には好都合だった)、共産主義ゲリラは悪、という構図になるのです。

そうした点に注意して見ると、この作品が一見すると敵対する国家の男女の愛を描いているように見えながらも、西側チャイニーズのプロパガンダ映画的な面も少なからず備えていることが見えてくるのではないでしょうか。
Maiko

Maikoの感想・評価

3.8
切なかった…
戦争描写が生々しく、心が痛みました。 
一方でミステリアスさまもあり、終盤で明らかになる真実と時を超えた深い愛にウルッときました。
主演のリー・シンジエさんと阿部寛さんの繊細な演技に引き込まれました。
マレーシアの風景や日本庭園の美しさも印象的でした。
mamiKO

mamiKOの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

公式サイトの阿部寛のコメント↓↓

監督から聞いた言葉でもありますが、悪者と善人を単純に描くという良くある戦争映画ではありません。
戦争で傷ついた心をもつ人物たちが愛を通して理解し、許し合うラブストーリーです。そこを皆様にはぜひ観て頂きたいです。

これがもうほぼ全て説明しちゃってるのですが。

戦争は自分は体験していませんし、この話も何処までがフィクションで何処までがノンフィクションなのかも正直分かりません。辛い、ショックなシーンが沢山あります。

ただ、これは戦争を背景に描かれた、ラブストーリー。
そこを心の真ん中に置いて、書きます。

借景
という言葉を初めて聞きました。
日本庭園を作る際、その庭の奥行、つまりその背後にある背景を入れて構成を考える、その事を借景、というそうです。
日本には四季があり、その背景も季節によって変わる。
これってかなりの事に置き換えられる事のように思いました。
この話の中では「時間を借りる」という表現もありましたね。
この2人も、時代背景が違えば、幸せに一緒にいられたでしょう。
でも皮肉にも時代が違えば出会う事も無かった。
一緒にはなれなかったけれど、2人は結ばれた、そしてずっと結ばれていた、言葉ではなく、寄り添うことでもなく、時間が経つことによって、それが分かるように、彼女の背中に、夕霧に、印を残してから去った有朋。その後山中で失踪したとされていますが、いつまでも彼女を思って静かに暮らしていることを願って。

戦争のない、世の中が来る日を願って。
S

Sの感想・評価

4.0
「この枠の中に絵を描いている
外の景色を取り入れ 奥行きを得て
孤独と美を表現する
借景 そのとおり
外の景色は常にそこにある
我々が選べるのは
どう見るかだけ」

「庭には多くの時がある
早いもの 遅いもの
すべての命に各々の時間がある
ユンリン
それを忘れるな」
中村有朋
nt708

nt708の感想・評価

4.8

このレビューはネタバレを含みます

またひとつ好きな映画が増えた。

日本庭園のような孤独と美を感じさせる本作。戦争が終わり、主人公が愛した男は自らと自らの妹が連行された収容所を作る手引きをした日本人庭師だった。その事実を知ったときの彼女の得も言われぬ表情、、最愛の妹を亡くした悲しみと憎しみと、、同時に彼を今も愛さずにはいられない彼女の姿に涙が止まらない。

個人的には有朋がユンリンの妹のアイデアを実現しようと庭園に灯篭を加えるシーン、、ユンリンが「You don’t have to...」と言ったのに対して無言で作業に取り掛かる有朋の姿に「I don’t have to, but I want to」と言っているかのような優しさを感じた。彼もまた本気でユンリンのことを愛していたのだろう。

こういう純文学的な作品、、ミステリーあり、ラブロマンスあり、ヒューマンドラマに政治ドラマありと、ジャンルに囚われない人生をまるまる描いたような作品がもっと作られることを期待したい。自然のように混沌とした世の中だからこそ、制御し、ひとつの秩序として世の中を切り取ることこそ、今の映画界に求められているのかもしれない、、
hiropon

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3.8

2019年 マレーシアの作家タン・トゥアンエ
ンの小説「The Garden of Evening Mists」 
を原作に描く 男女のラブストーリー … 原題 
も同小説名で マレーシア製作映画 __ 🇲🇾

まず マレーシアの作品だということ それに 
ジャケ写が台湾やベトナム映画の様に感じた 
ので つい僕の好きそうな世界観を求めて観
てみたくなった作品 …… 🥳✨✨

映画的には 〜 近々観る予定であった台湾映画『百日告別』の台湾監督トム・リン 🇹🇼🎬 が映す マレーシアの女優リー・シンジエ🇲🇾 阿部寛🇯🇵が共演した …… 第2次世界大戦におけるマレーシアの歴史を背景にした 切なくも謎めいた恋愛映画でありました …… 🤔💥✨

戦中1940年代 戦後50年代 作品80年代 〜この3時代の時間軸を前後させながら 描き綴られるラブストーリー …… ⏳💕✨

戦争や日本文化も背景にあるので どちらかと言うと日本映画みたいに感じました …… ただトム・リン監督が映す日本 と言うかアジアの中の日本の様な感じが どことなくノスタルジックに感じたり 日本人には描けない見えない独特な世界観は 本作では僕の求めていたものでは無かったけど 新しい感覚で これはこれで良かったと満足できる作品でありました …… 👏🏻😊

他国が製作し また違う国の監督やキャストが描く日本や映画って 中々興味深い好きな世界観だと感じたし もっと観てみたいですね …… 😊💕✨


✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨✨
日本庭園の理解が鍵を握る謎解き要素と、日本とマレーシアの戦中戦後の悲哀を描く恋愛ものがうまくミックスされた映画です。それに加えて庭園の緑、森の緑がとても美しく印象的でした。阿部寛がほぼ全編英語で演じているのですが、佇まいも渋く、その当時のよい日本人像を体現しているようですばらしかったです。
MURSJ

MURSJの感想・評価

4.1
■台湾人監督によるマレーシア映画だが、日本庭園についての本質的な理解が作品の骨となり、終盤の謎解きにまで見事にハマっている。意外というか、適切な距離をとった方が全体像を掴みやすいことが多い。

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