キーパー ある兵士の奇跡の作品情報・感想・評価・動画配信

『キーパー ある兵士の奇跡』に投稿された感想・評価

ドイツ人捕虜だった実在する伝説的キーパーの半生を描いた映画です。

第二次世界大戦でイギリス軍の捕虜になったバートはキーパーの才能を見込まれ、捕虜収容所のあった地域の地元チームで活躍することになる、という筋書きですがありがちに良い話として消化していない部分に題材に対する真摯さを感じます。

ナチスドイツの非道は今や世界の知るところですが、従軍していた人々全員が思想に感化されていた訳でもなく、作中で中には脅されて志願させられたドイツ人もいたことが分かります。
とはいえ、国家の犯した大罪を個人と切り分けて考える、などということは多くの人間にとって非常に難しいことで「ドイツ人」という大別の中で憎悪と怒りを浴びなくてはならないバートの苦悩も、バートを非難する人々の激情も当然と言えることではないかと思います。
個人が個人の人間性を理解できる程互いを知っている訳ではないからです。

作中、マーガレットが口にした「許しを与えるより憎むほうが簡単。あんたたちも加害者よ」という言葉が重いですね。
素晴らしいプレイを通して徐々に受け入れられるも、折に触れて戦時中の自身の罪を思い出すバートもまた、戦争によって傷を負った1人であり、自らに責任はなくとも国の犯した罪に苦しむ被害者でもあるという事実、これを「ドイツ人だから」という理由で許されるべきではないと断言してしまえるならば、戦争に参加したすべての人間が等しく許されべからず罪人ということになってしまいます。
戦争に参加したという点においては数多の国々にその責任があるからです。

この作品は、バートが誠実にプレイしたことでイギリスに受け入れられた感動作品ではなく、戦争という忘れがたい禍根を乗り越え、どのように前を向いて生きていくべきかを問いかけることも主軸に置かれているように思いました。

分かりやすい起承転結がある作品ではなく、淡々としていながら登場人物達が言外に秘める感情の重々しさや凄惨さを感じさせる良作でした。
収容所からバートを車に乗せる監督ジャックとのタバコのやりとりなどクスリとできるシーンがありつつも、端々に戦争の爪痕の深さを窺わせる作りが、ただバートの躍進にそれまでの冷遇の溜飲を下げるだけの物語に留まらないのが一層よかったです。

戦争という背景に向き合いながら偉業を成し遂げた実在するキーパーのストーリーを丁寧に描いた映画でした。

マーガレットを巡るビルとバートのやりとりでPKでケリをつけようと話すくだりはサッカー選手らしいエピソードで笑いが漏れました。こういった細やかなエピソードの造形も素敵な作品です。
Eriko

Erikoの感想・評価

3.7
人を許すことについて考えさせられた映画。
正直あまりスポーツには興味が無くて、2022年11月現在も、カタールでワールドカップが開催されているが、すっごく興奮している訳でもない。が、何となくサッカー繋がりで本作を鑑賞した。

第二次世界大戦では、イギリスとドイツは敵同士だったが、その国民同士がどう馴染んで、協力して新しい社会を作っていくか。トラウトマンとイギリス人教官(名前忘れ)は、子供を無くすという同じ経験をして、少しは互いの見方が変わる。

戦争は本当に一般市民の人生を壊すんだなと思った。戦争を始めないことを何より最優先にしたい。
あゆみ

あゆみの感想・評価

3.0
5回くらい途中で止めちゃったけど、なんとか完走。
スポーツが世界を一つにしてくれるかもしれない。そんな少しの希望を抱かせてくれる、1人の男の人生の話。
記録
今シーズンからシティファンになり、オールオアナッシングを見終えたのでその流れで鑑賞!
主人公がキスマイの千賀くんにしか見えなかったのわたしだけ〜?!
イギリスのひとたちのサッカー熱の高さは昔からなんだな〜としみじみ
ジョンストーンズならぬジョンストンっていう選手がいたとは!
2465

2465の感想・評価

3.9
昔、この映画のレビューで見た「国と国じゃなくて人と人でその人のことを知りたい」って言葉がこの映画の全てだと思う!私だって外国人にネタでパールハーバーとか言われたら悲しくなるし。祖国を愛する気持ちも大事だけど愛されるような祖国であってほしいよね。
戦争捕虜になったドイツ人。
才能を認められ、そのままイギリスでサッカー選手になった。

こういう人もいたんだ。
戦争は、勝とうが負けようが相手と戦い。
この人のように前線に送られたら、死と隣り合わせ。
自分が見殺しにした少年がつきまとうことも、あるだろう。
それでも、サッカーをやり続けて、讃えられて亡くなった。

死ぬまで戦争を忘れたことはなかったかもしれない。
戦争は誰のためのものなのか、考えさせられた映画でもあった。
ビクトリア女王の夫はドイツ人だったから、今のイギリスの後継ぎにはドイツ人の血が流れているのに戦争だったんだとも思った。
見覚えのある顔だと思ったら「愛を読むひと」のあの少年だった。サッカーが好きでプレミアリーグの歴史に関する書籍なども数冊読んだが、バート・トラウトマンの話は知らなかった。

第2次世界大戦時、イギリス軍の捕虜となったドイツ軍兵士トラウトマン(デヴィッド・クロス)が、類いまれなゴールキーパーとしての才能を見込まれ、プロサッカー選手として活躍していく姿を描いたスポーツ伝記ドラマなのだが、単なる英雄譚ではない。

敵国ドイツの兵士だったことから差別や偏見を受け続けていた彼が、目を見張る活躍によっていつしかブーイングを声援へと変えていくさまが感動を呼ぶ。

当時のイギリス国民の多くは、肉親や友人を戦争で失っており、敵対国であったナチスドイツへの個人的な恨みや憎しみが彼個人に向けられたとしても何の不思議もない。

特にマンチェスターは、ユダヤ人の多い町で、映画の中でも元敵兵のトラウトマンにマスコミは厳しく、地元ファンからも激しいブーイングを浴びてしまうが、この描写は事実だろう。それでも彼は、完全アウェイのスタジアムで罵声に耐えながら黙々とゴールを守り続ける。

普通に考えれば、安全な母国ドイツへ帰るところだろうが、なぜ彼が敵国イギリスに残ったのか?サッカーの名門マンチェスター・シティにスカウトされたからだけではないはずだ。

映画の中で描かれたユダヤ人の少年のエピソードが事実かどうかはわからないが、何かしら帰りたくない理由があったのだろう。おそらくマーガレットとの出会いだけではないはずだ。

敵意に満ちた会見で吊し上げにあった後、夫婦で問答するシーンがあった。〝あなたの真実が知りたい〟と迫る妻に対して彼が放った言葉が重い。〝君が犯した最大の罪は?恥の記憶を人に話せるか?〟戦時下の極限状態で彼が経験した一生のトラウマから、彼は母国へ帰らなかったのではないかと想像する。

あくまでも推測だが、そのトラウマを抱えながら彼はゴールマウスに立ち続けたのではないか?イギリス国内だけでなく、ドイツにまでその活躍が轟きながら、遂にドイツ代表のユニフォームへ袖を通さなかった理由もそこにある様な気がしてならない。
人間らしさが詰まってて、澄んだストーリー。

みんな過去を背負ってて、それでも前向いて歩かないと、そこで朽ちるだけなんだなぁなど。

久々に良い作品見つけた。
どえらい人生だった…。
拍手してやりたい。人間味たっぷりだった。
ju

juの感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

ノンフィクション。
主演のデヴィッドクロスの演技が大好きで観ましたが、素朴な青年の演技が上手すぎる。ドイツ訛りの英語も良い。時代背景は重たいけど、なんだかあったかくなるような場面も多々あり。
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