タネは誰のものの作品情報・感想・評価

タネは誰のもの2020年製作の映画)

上映日:2020年11月13日

製作国:

上映時間:65分

3.9

ナレーション

「タネは誰のもの」に投稿された感想・評価

Yoshmon

Yoshmonの感想・評価

4.0
一人でも多くの人に観てもらいたいドキュメンタリー作品。

このドキュメンタリー作品を観て全容の全てを理解したかというと、そうでない。

メディアでも全く報道されず、取るに足らない事柄のように扱われながら、日本の食の未来にも、日本の農業の未来にも影響する「種苗法」の法改正がされようとしている。

大半の人が僕と同じく、知らない状況だと思う。
将来口にする食べ物が、今日のそれとは異なるかもしれない未来。

それの意味するところを考えないと。
まずは知ることから。

アップリンク渋谷で鑑賞。
アップリンクが好きなのは、映画制作者側の人たちの話を直接聴く機会が多いこと。
このドキュメンタリー作品のプロデューサーを務めた元農林水産大臣であり弁護士の山田正彦氏。
政治家の方の熱量あるプレゼンスキルと一緒に、その思いと価値ある情報を確かに頂いた良き時間。

食と無関係な人なんで1人もいない。
もっと勉強しよう。
2018年に戦後以降、都道府県、JA、農業試験場が農業で使う種子の品質を保ち、国が予算を付けて、農家に種子を分配する方式の種子法が廃止された。

そして、種苗法がとって変わり、このほど改正されようとしているが、この種苗法の改正には問題があるように見える。

種苗法の改正は、基本は新たな品種を生み出した発明者や、育苗者の権利を守り、海外などへの無許可での持ち出しを防ぐ目的がある。ところが、自家増殖を禁ずる条項もあるので、発明者や育苗者が権利を企業に譲渡して、企業が利益を追求した場合、農家は高価で質の良くない種苗を買い取らなければならない状況に陥る懸念があり、実際に世界的には以前からそんな状況が生まれている。

農家に説明をする農水省の面々は、花形省庁から外れているだけに志を持って入省した方も多く、国内の農家を守りたいと思っている方も多いのだが、立法府は国会で、政治家は企業の意向に従いやすい傾向があり、もちろんそこには企業と政治家の利権も存在している。このままでは、一般の農家がグローバル企業の食い物にされ、この国の農業が廃れかねないと示唆される展開。

民主党時代の農水大臣、山田正彦氏がかつての古巣に立ちふさがって、この国の農政の経緯、農家の声、予想される事態を丁寧に積み上げて説明してゆくドキュメンタリー。

様々な職業、仕事があるけれど、その根幹をなすのは衣食住で、中でも食を支える農業は、国家の危難にあって欠くべからざる、本来もっとも優先され守られるべき職業ではあるが、貿易が盛んになり、より安い食糧の輸入ができ、割合平和が続く日本ではどうしても軽んじられる傾向もあって、それに乗じて企業や政治家につけ込まれかねず、そんな状況をやさしくも鋭くまっとうな視点で見つめ、声高ではなく訴える点に好感。農業に特化したドキュメンタリーで、観客を選ぶ内容だが、この国の国民である以上、必ず最後には個人に関わってくるテーマに違いなく、現状を知り、問題意識を持ち得るよい機会になったと思う。
農業へのアンテナが低い自分(農村地域に住んでいるのですが…)。観て良かった。

説明的な画面は多くなく、あくまで抗議活動の様子、栽培や自家採種の現場の画面で進んでいく。

マクロな農業政策、経済政策や、種苗を売る方々の立場もあるわけだが

どう考えても末端の、現場の生産者の方々に負担がのしかかるのは歪んでいる。

そして多国籍企業の手にかかれば日本の農地など一捻り、儲かる品種だけを栽培させて、多様な品種の研究環境もその成果も恣に…ということがやはり起こりそう。

最後の生産者の方がおっしゃっていた通り、究極の理想ではあるけれど…食糧、インフラに関わる事柄については市場原理を持ち込んではいけないんだわなあと思わされる


最後に。「力強く低い声」というものは代え難い魅力であることよ…
みぃ

みぃの感想・評価

4.1
一般の人には分かりにくい種苗法改正の問題点が、様々な立場の人の意見からインタビューをしているので分かりやすかった。

これは、説明のない国の水面下の動きに翻弄される、今の農業の姿だ。

目先の問題点だけでない、50年後、100年後の種(日本の財産)について、国は一体どれくらい考えられているのだろう。

気候変動、人口問題、国際事情などの中、いずれ食糧確保が深刻化は訪れる。
その時が来るまで、誰も本当の答えは分からないが、日本の財産が失われることだけは、何としても避けたい。

無力ながらそんな風に感じた。
けんと

けんとの感想・評価

3.6
伝えたいことは伝わってきたので、良いのではないか。イデオロギーの差はあれど。
ただ、コストをかけ、新たな品種を作った人間に対して、「食は人類のものだから、金の話はなしね」は流石にどうかと思う。
経済学的にはそれはフリーライダー。経済活動の停滞要因になりますよ。
あの法案に問題があることは、みんな薄々分かっていると思うので、機会があれば見たほうが勉強にはなります。
花椒

花椒の感想・評価

4.5
この作品のプロデューサーは民主党政権時代に農林水産大臣であった山田正彦(現在は弁護士)。
現在審議入りしている種苗法の改正案について(おそらく今週通過)の問題を指摘

自分も全部理解できたとは言い切れないが、いわゆる「農家」が農作物を栽培する時の種や球根、苗木を自分で作ることはできず、種苗業者から買え、という話が今回の改正案。全ての農作物が、ではなく「指定」された品種のみではあるが、作物によっては例えば沖縄で栽培するサトウキビは8割が該当するという。

あくまでもこの作品は種苗法についての導入部分に過ぎないので、これをきっかけにしてあとは各自で。

ナレーションを務めた江原啓之が自身のHP で種苗法改正案の問題点を記しているのでご参考までに

アップリンク渋谷は今週までの上映だが、ゲストトークのある回もあるので。

オンラインでも視聴可能なので是非見てほしい。

種苗法の改正案に反対するタグが先週、twitter でトレンドから突然消えたらしい。政府に反対案を述べるタグは削除されるのはtwitter ではよくあること。twitter はそういう場所
ふれり

ふれりの感想・評価

4.0
種苗法改定案が参議院での審議間近なので急いで劇場観賞。

諸外国で規制されているモンサント(現バイエル)のラウンドアップがそのへんのホームセンターに行けば大量に売っているし、遺伝子組み換えとうもろこしも形を変えて普通に出回っている日本。さらにモンサントをはじめとする外国企業に食の安全を支配されてしまう改定案が十分な説明もなく(というか「外国への種の流出を防ぐ」とハッタリかまして)通ろうとしている、、怖すぎるけどそう遠くもない未来の話。

改定反対の農家さんの声(自家増殖ができなくなると困る)が中心だったように思うけど、育種権者さんからの賛成意見の紹介もあり。
ただ、改定しなくても対処可能だし、本当に育種権者さんが期待した通りになるのか?国が儲けさせたい人は別にいるのでむしろ排除する方向に行くのではという専門家の声を紹介していたので、(報道を自称する番組がよくやりがちな逃げとしての)垂れ流し型両論併記とは異なるかなと。

さとうきびの農家さんだったかな?アメリカのとうもろこしが余っていてそこから砂糖を作れるのだから、国は日本の砂糖業者が壊滅してもいいと思っているのではないか、という指摘が何だか全てを表しているようで特に印象的だった。

コロナ渦に乗じてスーパーシティ法案がスピード採決されたのも記憶に新しいけど、結局コロナが蔓延してずっと混乱している状態が国(国民のためではなく外資のために働いているので!)にとっては一番都合がいいんだろうな、そりゃまともにコロナ対策するわけないよなぁ、、感。
このドキュメンタリーの内容も本来ならマスメディアが報道すべき内容だろうに、ろくに報道されないまま農水省のもっともらしい虚偽の理由だけが何の検証もなく雑に紹介されて(一部地方紙をのぞく)、どさくさに紛れてこっそり日本の農業、ひいては食の安全が売られようとしているのが本当に恐ろしい。
製作に関わられた全ての方に感謝。

(11.25 劇場観賞)
あお

あおの感想・評価

4.5
今日本で通るかもしれない法律の話↓

2020年11月19日に種苗法改正案が衆議院を通過、26日に審議されるそう。

このドキュメンタリーは「種を守る会」の方達の強い思いの中きっと作られたはずだが、今後日本でどういう事が起こり得る可能性があるかを簡潔に、わりとフラットな目線で教えてくれる。
Vimeoで1000円でオンラインで見れます。1時間くらい。

国は農家の権利を守ると表向きは言っているけれど、どこが問題点かというと農家が登録品種の種を自家増殖できなくなるそうで、これは種のような生物に対して著作権のような物ができてしまうという事。
個人の農家はつぶれてしまい、大企業が独占する仕組みを作っていると言われている。

国は登録品種は1割くらいしかないので影響は少なく、むしろ開発者の権利を守ると言っているが、1割では決してないという情報も出てくる。

自家増殖できなくなると、今まで農家が何年もかけて品種改良して採取してきた種で栽培できなくなり、企業からその種を買わないといけなくなる。

そうなると、品種が同じであれどういう栽培法で作られたかがわからない種や遺伝子組み換えやゲノム編集による海外の種も今後出回る可能性があるという。
モンサント(現バイエル)のやり方のように種と農薬をセットで売られる可能性も。
日本の食の安全と、農家が危機にさらされている…

発展途上国ではすでにモンサントに支配されていて、インドの農家は借金まみれになり命を絶つ農民もいると聞いたことがあります。

日本の種子を守る会のHPでも内容は見れて署名もchange.orgでやってます。

コロナの心配だけしてる場合じゃない可能性大いにありです…
 昨年(2019年)の7月に鑑賞したドキュメンタリー映画「SEED〜生命の糧」では、モンサント(現バイエル)のような巨大多国籍企業が農民から種を奪った経緯が描かれていた。強力な除草剤を開発、販売し、その除草剤に耐性を持つGMO(遺伝子組換植物)を開発して特許を取る。GMOは知的財産として保護される。ということは農家の自家増殖が禁止になるということだ。既にインドでは禁止になっていて、農家は毎年モンサントのような巨大多国籍企業から種子を買うしかない。その際にモンサント社製の肥料と農薬もセットになっている。貧しいインドの農家は借金をして買うが、自然に左右される作況のために借金が返せない場合もある。インドでは毎年15,000人の農家が自殺している。そういう作品だった。

 日本ではどうなっているのかをわかりやすく伝えるのが本作品である。2018年の種子法の廃止と2020年の今年まもなく採決される種苗法の改正に対するアンチテーゼが主体で、日本の農作物の安全性と安定供給が脅かされていることについて、元農林水産大臣の山田正彦さんが中心になって解説している。簡単に言えば、安倍政権からスガ政権へ続く自民党は、日本国民の健康をアメリカに売り渡しているということである。
 上映後には山田さん本人が登壇して、来る11月17日の種苗法改正法の成立に向けて全力で反対行動をするとのこと。御歳78歳の山田さんに座り込みは堪えるだろう。
 仕事や用事を抱える我々には座り込みは出来ないが、次の選挙に向けて、国民の健康を脅かす化学薬品まみれの農作物やGMOを排除する政治家に投票することは出来る。誰に投票するか迷った場合は、この基準で判断すればいい。問題なのは、こういう大きな問題をテレビや新聞が報道しないことだ。
 確かに知らなければ反対もできないが、少しでも関心を持てばインターネットその他ですぐに調べることが出来る。知ろうとしない国民に支えられ、スガ内閣の支持率は57%と高水準で推移している。日本国民は、子供がアトピーになったり奇形になったりしても構わないという政治家に未来を委ねたいのだろう。国民は自分たちのレベルに合った政治家しか持てないという原則は未だに真実であり続けるのだ。
出演者の思想は強めだけど、映画としては割とニュートラルで、人によっては分かりにくいと思うだろう。観た人が自分で考えて行動することを促しているという点でいい映画だと思う。

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