くりふさんの映画レビュー・感想・評価 - 57ページ目

叛乱者たち(2012年製作の映画)

3.5

【先住民大統領誕生までの屍たち】

特集上映「ボリビア・ウカマウ集団制作 革命の映画/映画の革命」にて。

これが(当時)現時点での最新作だそうですね。18世紀末から2006年までの、先住民による抵抗
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地下の民(1988年製作の映画)

4.5

【死ぬために踊る男】

特集上映「ボリビア・ウカマウ集団制作 革命の映画/映画の革命」にて。

今回みた7本の中で、桁違いに面白かった!

斬新とは思わねど、他のどの映画にも似ていないような感覚に、ど
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ここから出ていけ!(1977年製作の映画)

3.5

【福音派という名の悪魔】

特集上映「ボリビア・ウカマウ集団制作 革命の映画/映画の革命」にて。

米国の医師団が、ボリビア先住民の女性に不妊手術を行っていた事件を描いた『コンドルの血』を引き継ぐよう
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コンドルの血(1969年製作の映画)

3.5

【平和部隊という名のアサシン】

特集上映「ボリビア・ウカマウ集団制作 革命の映画/映画の革命」にて。

米国人医師団が来て診療するようになった先住民の村で、1年半も子供が生まれなくなった。心配した首
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ウカマウ(1966年製作の映画)

3.5

【復讐のケーナはいつ響く】

特集上映「ボリビア・ウカマウ集団制作 革命の映画/映画の革命」にて。

ウカマウ集団の長編第一作とのこと。今回短編含め7本みられましたが、私にとっても、ボリビア映画たぶん
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クライング・ゲーム(1992年製作の映画)

4.5

【単なる肉のかけら】

『オンディーヌ』も『ビザンチウム』もイマイチだなあ…と思いながら、久しぶりに本作をみ直しました。N・ジョーダン監督作、みた中では一番好きです。

性差を忘れそうになる愛の迷宮に
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ビザンチウム(2012年製作の映画)

3.5

【少食ヴァンパイアは二世紀悩む】

出だしから前半にかけ跳ねるように面白く、劇場でみたかったと後悔しかけたら…終盤に向けあらら失速。前作『オンディーヌ』に近い残念感でした。映像力はこちらの方が強烈でし
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雪の女王(1957年製作の映画)

4.0

【バレットガール】

これは随分前に、ジブリ提供による新訳版が公開されたとき劇場でみたのですが、『アナ雪』にあわせ再見してみました。

60年近く前の作品ですが、イマジネーションの豊かさで比べると『ア
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ワンダーランド(2003年製作の映画)

2.5

【肉棒バカ一代/完結編】

実在の大物(モノもね)ポルノ男優ジョン・ホームズが関わり4人が死亡したという「ワンダーランド殺人事件」を追ったいわば再現ドラマ。『ブギーナイツ』の終盤付近をクローズアップし
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ブギーナイツ(1997年製作の映画)

4.0

【肉棒バカ一代】

少し前の『ラヴレース』からの流れで再見しました。

実在の大物(モノもね)ポルノ男優ジョン・ホームズを主人公ダーク・ディグラーのモデルとし、70年代怒涛に屹立…しかし80年代しゅる
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アナと雪の女王(2013年製作の映画)

3.0

【単純姫】

単純なつくりで驚き。

これ要は氷結ハンデを背負ったエルサの心の持ちようだけが物語の課題なのですね。

その氷解法は確かに、ディズニープリンセスものとしては変化球でしたが全体、語り方に厚
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塔の上のラプンツェル(2010年製作の映画)

3.5

【太陽のしずくと光る赤ん坊】

これは劇場でみていたのですが、なんとなく投稿タイミング逃してました。先日『アナ雪』みてこっちの方がまだ面白かったなーと思い出したので投稿。

ディズニープリンセスの系譜
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天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

4.0

【天が許し給うすべて】

まず邦題が変わった件について。

原題『All That Heaven Allows』である本作、元々は『天はすべて許し給う』でしたが、2007年発売のDVDでは『天が許し給
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大統領の執事の涙(2013年製作の映画)

4.0

【そして黒い手は白い手袋を外す】

前作『ペーパーボーイ』でこの監督独特の「見据え方」に気づき、本作にもそれを期待しましたが健在でうれしかった。露骨ではないが誤魔化さないフラットな視線。例えば冒頭、殺
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ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)

4.0

【燃焼系マコノ式】

とにかく役者陣の魅力!

まずぶっちぎりマコノヒー。生きんとしたモデルのロン・ウッドルーフ氏とは逆に、命を絞った体型絞り(力石徹か!)の結果、かえって命の生々しさを突きつけてし
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あなたを抱きしめる日まで(2013年製作の映画)

4.0

【神のネグレクト】

過去にみた数本のフリーアーズ作品に比べ、静かな躍動感に溢れてよかったです。が、カトリックの鬼畜行為に対しては甘いまとめでした。

映画としては、実話が元ですが、人が物語を求める切
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ヘンダーソン夫人の贈り物(2005年製作の映画)

3.0

【ああ、プッシーね!】

先日『あな抱き』をみたので、デンチ×フリーアーズの過去作品としての興味から…という先に、おっぱい目当てでみてみました。

WWⅡ前夜、実在するウインドミル劇場(現在はストリッ
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心のともしび(1954年製作の映画)

4.0

【素晴らしき強迫観念】

ショパン「別れの曲」で幕を開ける、サーク監督のど・メロドラマ…なんだけれど冷静な視点が冴え、シニカルな視点が深みになり、浮わつかず楽しめる堅実な出来栄えです。しかし当時は、こ
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ウォルト・ディズニーの約束(2013年製作の映画)

4.0

【Forgive Mrs. Goff】

情報豊富で多面的、療法的な面白さ。まずは父親、また内なる父についての物語ですね。その切り口からだと原作メアリー・ポピンズに、父親バンクス氏が殆ど出ないことにま
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パーフェクト・フィット(2021年製作の映画)

3.5

【ロンタールな不自由婚】

Netflixにて。バリ島舞台のインドネシアン・ラブストーリー。なるほど尼映画もネフリを通じ、こうして最新ファッションまとって世界の目に、気軽に触れてゆくわけだ。いい流れだ
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マグダレンの祈り(2002年製作の映画)

3.5

【女囚三人娘/けもの尼の館】

『あなたを抱きしめる日まで』より以前に作られ、同じ題材を扱っているので併せてみてみました。

1960年代、婚前交渉などの「罪」でマグダレン洗濯所に収容された少女たちの
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僕の彼女はどこ?(1952年製作の映画)

4.0

【愛と成金の果て】

アイロニーもほんのり効かせた、ダグラス・サーク監督渡米後・初期のさらさらコメディ。私はたぶん、サーク作品をきちんとみたのはこれが初めて。

サーク監督が目をつけたロック・ハドソン
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ピナ・バウシュ 夢の教室(2010年製作の映画)

3.0

【「コンタクトホーフ」のきらめく欠片】

ピナ・バウシュ作の舞台「コンタクトホーフ」を素人の少年少女のみで作り上げる10ヵ月を追ったドキュメンタリー。

劇場公開時にみていたのですが、やっぱり実際の舞
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アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)

4.0

【アメリカのたわごと】

期待薄でしたが…なんだ、面白いじゃん!同監督前作『プレイブック』の延長として楽しみましたが、あちらより巧いと思った。

相変わらず自己愛爆裂な連中が、自己愛衝突させてコミュケ
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くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ(2012年製作の映画)

4.0

【くまのアーネストおじさんジブリ風味】

東京アニメアワードフェスティバル 2014、コンペティション上映にて。これ、ガブリエル・バンサンの絵本シリーズ「くまのアーネストおじさん」のアニメ化なんですね
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ラヴレース(2013年製作の映画)

2.5

【死体を見せない戦争映画みたい】

とにかく全体ヌルいのと、あっけない結末にガクッ。こんなゆとり映画にしたらリンダ・ラヴレースという人をかえって誤解させるんじゃないだろうか?

『セルロイド・クロー
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インサイド・ディープ・スロート(2004年製作の映画)

4.0

【喉の奥 金が唸るなり マフィアには】

これはよくできたドキュメンタリーですね。

性解放、反体制、女性の自立、そして保守層の逆襲…といった時代の流れの中、『ディープ・スロート』がどう生まれ、関係者
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ディープ・スロート(1972年製作の映画)

2.5

【喉の奥 鐘が鳴るなり 絶頂時】

『ラヴレース』公開に合わせ改めて、正規レンタルできるバージョンにて(笑)。

当時世間が大騒ぎしたおかげで大ヒットとなった、アメリカン・ポルノの記念碑的作品。とりあ
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アルターフ -復讐の名のもとに-(2000年製作の映画)

3.5

【愛するか憎むか、よく考えて撃ちなさい】

カシミール紛争を舞台とした、2000年のボリウッドLOVE & HATEアクション。

過激派によるテロの余波で息子を失くした夫婦(サンジャイ・ダット×ソー
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マーニー(1964年製作の映画)

3.0

【チンコネリーの苛立ち】

「スクリーン・ビューティーズ」での上映にて。これはしんどかった。前作『鳥』からガタッと落ちた感。歌を忘れたカナリアいうか演出リズム忘れたヒッチいうか。

ティッピ・ヘドレン
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ゴッドファーザー・オブ・ゴア(2010年製作の映画)

3.5

【血まみれ父ちゃん意気揚々】

ゴア映画の父、ハーシェル・ゴードン・ルイスを追ったドキュメンタリー。しかし監督がフランク・ヘネンロッターなもんだから批判視線皆無。それがいっそ清々しいですが、ちょいと内
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白い恐怖(1945年製作の映画)

3.5

【バカップルサスペンス】

先日『マーニー』を劇場でみたのですが、同じサイコアナリシス系なら本作の方がよくできていた気がする…と思い出して久しぶりに再見。…デキは思い込みでしたが(笑)。しかし、こちら
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キャプテン・フィリップス(2013年製作の映画)

4.0

【あめちゃん怒らすとこわいでー】

…という映画だと思った、要するに。でも日本も他人事じゃないし、少しでも海賊への抑止力になるならプロバガンダでもいいや(笑)。

渾身のイラク取材原案をB級アクション
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キス・ミー・ケイト(1953年製作の映画)

4.0

【「So in Love」にFall in Love】

本作の魅力はまず、主題歌「So in Love」のうっとりな名曲ぶりです!(きっぱり) かつての日曜洋画劇場、淀川さんのサヨナラ×3後に流れた
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フォー・ザ・ボーイズ(1991年製作の映画)

3.5

【なるほどメイ・ウエスト】

最近みた『ソウルガールズ』からの戦場慰問つながりと、その他いくつか興味があり、みてみました。WWⅡ~朝鮮~ベトナム戦争…と慰問ショーを続けたエディ&ディクシーの、半世紀に
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ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

4.0

【パルプ・ノンフィクション】

このネタなら面白いのは予測できましたが、前作『ヒューゴ』の嘘臭さに比べたらスコセッシ、まるで水を得た魚のよう!(笑)

しかし本作のバカどもにはほぼ、自己投影していま
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