くりふさんの映画レビュー・感想・評価 - 60ページ目

リヴァイアサン(2012年製作の映画)

3.5

【おさかな地獄】

イメージフォーラム・フェスティバル2013にて。

荒ぶる海で狩りを続ける漁船の内実を活写したドキュメンタリー。が、撮影は極小カメラでのみ。するとこうも世界は違って見えるのか!とい
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バーレスク(2019年製作の映画)

4.0

【ルッキズムを贅肉でゆさぶる】

アマプラで偶然見つけ、バーレスクと聞くと反応してしまうので見てみたら、まるで予想しなかった内容で、ちと優等生ぽい仕上がりながら、掘り出し物でした。

2019年のチェ
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ヒステリア(2011年製作の映画)

3.5

【医師よりイカセ師】

瀉血と不潔、19世紀末ロンドンの驚愕医療現場を端的に見せる冒頭が巧い。

それに耐えられぬ若き医師モーティマーが、婦人科に流れて隠れた才能(笑)を発揮してゆく前半はすごく面白か
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ミーン・ガールズ(2004年製作の映画)

4.0

【いじわるという女子力】

ディズニー番組出身なのに、相変わらず塀の中に呼び戻されるばかり。今やハリウッドの田代マーシーであるリンジー・ローハンさんですが、本作の頃は可愛らしく、爆乳で(重要!)、演技
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エデンより彼方に(2002年製作の映画)

3.5

【健全という名の不健全】

米50年代、すべてに満たされているはずだった、ジュリアン・ムーア演じるセレブ主婦の、砂上の楼閣物語。

最近、ダグラス・サーク作品をまとめてみたのですが、その後にみた『天が
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ソルジャーブルー(1970年製作の映画)

3.5

【荒野のノーパン】

1864年に起きた、騎兵隊によるサンドクリークの虐殺を描く、ニューシネマの流れを汲む、西部劇の転換点ともなったろう作品。

初見は子供のころ、TVでみた記憶があります。虐殺シーン
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劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.5

【脳外彼女が止まらない】

TVシリーズをネフリで見始めたら面白かったので劇場へ。行ったの、ちょい前だが。

鬼滅よりは劇場スクリーンを意識した画でよかったし、イマドキ売れる映画とも思ったが、こぢんま
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ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.0

【拳銃仕掛けの黒神】

前作はそうでもなかったのですが、今回は全カットをいちいち面白く感じ、眺めているだけで楽しかった。

遊んでいるように見えて、しっかり表現として着地させるタラちゃんは、やっぱり映
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チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ(2009年製作の映画)

3.0

【おとぼけマサラ式カンフー 】

『恋する輪廻』でディーピカー・パードゥコーンに萌えたので、萌えを燃え続けたくレンタルしました。

こちらは恋輪より後の作品で、こちらでも2役。でも双子だから同時に現れ
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100人の子供たちが列車を待っている(1988年製作の映画)

3.5

【子供たちは列車に乗れただろうか?】

再度フィルムでみておきたく、下高井戸シネマの上映、行きました。16mmフィルムを直にみる機会なんて、あと何回くらいあるだろう?

80年代末、ある女教師の貴重な
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走れ走れ!救急車!(1976年製作の映画)

3.5

【デカパイって死語だよな】

競合よりいかに早く、患者の発生を嗅ぎつけモノにするかで日々、シノギを削る、民間の救急屋さんのお話。救急車とは命綱車ですが、ビジネスとなると他人の不幸でいかに儲けるか、て話
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パラノーマン ブライス・ホローの謎(2012年製作の映画)

2.5

【パラノーマルよりノーマルが見えにくい】

ライカの前作『コラライン』が大好きでした。だから比較視点は入りますが、見せ方は進化したのに語り方は退化した、という印象。

物語に自分でも驚くほど乗れず、脚
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フレッシュ・ゴードン/SPACE WARS(1974年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

【ちんこ宇宙へ】

『フラッシュ・ゴードン』を下半身で楽しむ、ポルノ版パロディ。1978年、日本ではSW上陸商戦で当てるべく、一般公開されましたね。

劇場には行けませんでしたが、公開版のビデオは見た
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ジャズ・シンガー(1927年製作の映画)

3.5

【お楽しみは声からだ!】

Blu-rayレンタルでみました。元のフィルムが古いDVDでは見逃した、細部の演出に気づいたりして、鮮明、の恩恵に浴しました。Blu-ray化は『アーティスト』がヒットした
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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.0

【老いるを堂々窃視】

リバイバル公開の『八月の鯨』と併せて、みました。自虐だ(笑)。自らにも降りかかる、老いの現実をシビアに見せるかと思わせた先で、映画は離れた他者の物語として浮遊し終わります。
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八月の鯨(1987年製作の映画)

4.0

【龍涎香を夢見て眠る】

未見でしたがフィルムに期待し、久しぶりに岩波ホールへ。正解。

老いを見つめる題材からも、ニュープリントでも古びたフィルムの質感が嵌って特に、褪せたような空と海の青が柔らかで
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じゃじゃ馬馴らし(1929年製作の映画)

3.0

【フェアバンクス家の微妙な戦争】

シェイクスピア「じゃじゃ馬ならし」は何度も映画化されていますが、これは1929年、まだトーキー映画始まりの頃、当時の大スタア、ダグラス・フェアバンクスとメアリー・ピ
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ラスト・シューティスト(1976年製作の映画)

3.5

【血まみれの矜持】


ノスタルジックに響く、エルマー・バーンスタインの音楽に乗り、寒々しい山を背に、ゆったり現れる老ガンマン。そこに彼の、若き日の活躍が幾つもインサートされるが…カッコ悪い。むしろ醜
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フラッシュ・ゴードン(1980年製作の映画)

4.0

【天空のディスコ】

これ、好きなんですよねぇ(笑)。久しぶりにみ返してしまった。

公開当時、ポーリン・ケイルが「Disco in the sky」という称号(笑)を本作に与えたそうですが、見事に言
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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(2012年製作の映画)

4.5

【くいしん坊!万才】

面白い!映像は幻惑的でも観念に酔うのでなく実践的ですね。心の崩壊を物語の力で食い止めるわけだから。

つまり私は、語られる第二の物語が基で、それが第一の物語を生んだ、と捉えまし
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ルー・サロメ/善悪の彼岸 ノーカット版(1977年製作の映画)

3.5

【ニーチェは色ボケ】

これは『危険なメソッド』の後で思い出し、久々に再見したものでした。インテリ男女の三角関係って意味で物語が近く、時代的にも接点があります。ルー・サロメは、ユングが離れ始めた頃のフ
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クラウド アトラス(2012年製作の映画)

3.0

【輪廻はしても学習はしない】

久々にペ・ドゥナに会えるぞー、という動機で劇場へ(笑)。

が、輪廻のペラい捉え方と、それを通して言いたいのは結局人類への愚痴?と感じた所で頷けず、表現としても、異なる
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フラッシュ・ゴードン スペース・ソルジャーズ(1936年製作の映画)

3.0

【スター100均ウォーズ】

1930年代、新聞連載されたSFアメコミを、連続活劇として映画化した、『テッド』に登場する1980年版の、元祖版。1本が約20分で、計13本つくられたんですね。

地球に
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HICK ルリ13歳の旅(2011年製作の映画)

2.5

【空しきクロエ萌エッツ】

スクリーンでクロエ萌エッツしたかったが怪しい臭気を感じ、DVDレンタルにしました。正解。えらく退屈。

HICKは田舎者の意味だそうですが、田舎少女が田舎大人の狂った性癖に
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恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム(2007年製作の映画)

3.5

【カレー茶漬け】

頭の中にカレー味のお花畑が咲き狂うかと期待したけど、意外とお茶漬けでした。

舞踏監督出身とのことで、ダンスはどれも楽しかったんですが、ドラマは凡庸。締めがあまりにありがちの尻すぼ
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アルゴ(2012年製作の映画)

3.0

【謀略エンタメのジレンマ】

レンタル始まってますが劇場行きました。画はそれなりに面白かったんですが、お話は添加物過剰で胸焼けしました。

トニー・メンデス本人による事実上の原作を読み、映画としてどう
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侵入者(1962年製作の映画)

3.5

【カーク船長の悪人時代】

オーディトリウム渋谷の特集上映、コーマン・スクールにて。

多産なコーマンですが(まだ現役らしい)、産まれたうち、一番望んで作ったのに、一番鬼っ子扱いされた、不遇の佳作。
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オンディーヌ 海辺の恋人(2009年製作の映画)

3.5

【セルキーの化けの皮】

「ある日、寂しい漁師が海で、豊かなおっぱいのお姉さんを釣りました」

ニール・ジョーダンの新作という興味から、DVD借りてみました。

釣られた女を演じるアリシア・バックレー
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マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.5

【愛に向かぬ時代、を波乗る女】

特集上映「ファスビンダーと美しきヒロインたち」でみました。「西ドイツ三部作」の一本目。

これは見応えあります。面白かった!初期に比べ大衆化した表現を、評価しない向き
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ローラ(1981年製作の映画)

4.0

【歌う娼婦とけがれた円満】

特集上映「ファスビンダーと美しきヒロインたち」でみました。『マリア・ブラウンの結婚』に続く、「西ドイツ三部作」の二本目。

『嘆きの天使』を元にしていて、舞台を50年代の
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マルタ(1974年製作の映画)

4.0

【こうして理想の妻ができました】

特集上映「ファスビンダーと美しきヒロインたち」三本中の一本。三本とも面白くて東京だけでなく、横浜での上映にも行ってしまった。

とある新婚夫婦を見つめる観察記録みた
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シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

3.5

【女はそれを我慢できない】

荒唐無稽、時に笑っちゃうジャンル映画だが、ちいさな快作ではありました。

WWⅡ中、敵機うろつく空に向かうB-17輸送機。乗員みな頑迷ホモソーシャルズ。そこに女性兵士が独
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トムとジェリー(2021年製作の映画)

3.5

【微温トゥーン】

Netflixにて。映像商品としては口当たり良くできているが、物語はいいのコレ?と首を傾げました。

まずクロエちゃん演じるヒロイン。冒頭でよくわかりますが彼女、仕事をマジメにやる
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ロジャー・ラビット(1988年製作の映画)

3.5

【酩酊トゥーン】

最近の『トムとジェリー』を見たら、キレイに収まっていても、実写とアニメの握手具合がおざなりな気がしたので、久々にコチラを見返してみた。

比べればコチラはアナログ時代謹製。画と写を
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レッド・ステイト(2011年製作の映画)

4.0

【テキサス・ファナティック・マサカー】

「シッチェス映画祭」ファンタスティック・セレクションの1本として、シアターN渋谷で上映された作品ですが行けず、レンタルしました。

これオモロイです。シッチェ
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世界にひとつのプレイブック(2012年製作の映画)

3.5

【おこりんぼとやりまんの走!踊!愛!治!】

カメラワーク含め、閉塞感ある慌ただしい映画でした(笑)。

これは登場人物の視界と言動に沿ったものですね。心を程よく統御できぬ人の、ギスギスした日常を体感
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