農地改革などの社会問題を扱いながら、時代に取り残された価値観を同情的に描いた作品だった。何もかもが新しいものに取って代わられる時代で、過去へのノスタルジーが蓄積していたのだと思う。本家の当主も元々は…
>>続きを読む淡島千景と木村功が部屋に入るまでに襖を二つ閉じる。部屋には夕陽がさして明暗のコントラストが鮮やかだ。部屋に入った木村が外障子を開けるとそれを淡島が閉じ、障子の腰位置にあるガラス部分で二人が抱擁する様…
>>続きを読む【日本の農業危機は昭和30年代に始まっていた】
成瀬巳喜男の昭和33年の映画だけど、最近になってシネマヴェーラの成瀬特集にて初めて鑑賞。
成瀬の映画は、やはりそれなりだなと痛感。
舞台は厚木。今…
成瀬、橋本忍の「コタンの口笛」に先立つ作品で、成瀬初のカラー、シネマスコープ。出演者は淡島千景、新珠三千代、司葉子と、東京近郊の農村には不似合いな女優が揃った。話は戦後間もない問題を浮き彫りにしてい…
>>続きを読むこのレビューはネタバレを含みます
成瀬初のカラー作品。山の緑、田畑の土、トラクターの赤どれも美しい。脚本は橋本忍。淡島千景と木村功の不倫劇が一応は中心となるが、テーマは農家の因習による家族劇で、姑と家に縛られる嫁(淡島千景)、本家の…
>>続きを読む