暗黒街の女の作品情報・感想・評価

「暗黒街の女」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

ロバート・テイラーとリー・J・コッブの擬似親子(とはいえ未満)的関係性こそレイの過去作品でも見覚えがあるが、そのほかの物語展開については正直微妙…しかし、むしろ割り切って職人として演出に"のみ"徹した仕事という気がする。ゆえに演出の純度は高い。

下心、ないし脅迫材料として絶えず"狙われる"シド・チャリシーは"被虐の赤"装束だし、回数こそ多くはないが"階段"使いも効いている。本作においては、上階において危険な出来事が起こり、下階が安息。だからこそ、階段を降りたチャリシーは地上で待っていたテイラーと距離を急速に縮めるし、終盤でチャリシーが判事と「説得するために二人きりで会わせてほしい」と非密度の高い電話をするのは背後に階段があることからわかる、安心の"下階"。いうまでもなく、クライマックスは当然"上階"。

ラスト、危険から逃れたふたりが画面から遠ざかる。基本的に後退色のフレーム内でひときわ目立つ赤い給水塔と右手の建物。彼らの背中はだんだんと"赤"から遠ざかる。危険から遠く離れて、これから彼らは生きる。

鏡、横たわる、手に触れる…いちおう全部出てくる。ダンスのカッティングアクション&体技も見せ場としてとても良し…だが、どうやらこの部分は振付担当ロバート・シドニーが監督したらしい…加えて編集段階にも、レイは入院のため全く携われていないというのだから、振り切って現場演出にのみ注力した結果として、完成時にここまで水準を維持できているというのはいささか驚き。"職人"としても本当に優秀だったのだと改めて。
にく

にくの感想・評価

-
N・レイ監督『暗黒街の女』(58)。1930年代のシカゴを舞台とする本作は、原題が“Party Girl”というだけあって、キャバレーのダンス・シーンに始まる。ギャング(L・J・コッブ)と顧問弁護士(R・テイラー)と踊り子(C・チャリシー)と。三者の間に生じる裁判/拳銃/愛憎劇。
ニコラスレイがこんなにショーを撮るのが上手かったとは!
列車が横切るアジトがとてもよい
ダンスシーンの滑らかなカッティングインアクションは映画芸術の粋だ。電車の通る部屋といい、鈴木清順みたいな歪さがとても素晴らしい。
堊

堊の感想・評価

3.6
シド・チャリシーがロバート・テイラーの治療元へ駆けつけたシーンで扉を映しておきながら「そこ」ではなく後ろからロバート・テイラーが現れ、さらに「待ってて」って言いつつゆっくりと歩いていく二重のフェイントがキマっていて美しい。『ビガーザンライフ』のリュミエールっぽい学校の入り口の扉を否が応でも思い出させる(『ビガーザンライフ』が二年前)。時計へのこだわりや演劇のような裁判に『暗黒への転落』のハンフリー・ボガートを思い出すも挿入されるミュージカル(とその色彩)にそこまでノレず。もうすでに『エヴァグレイズ』の時点で酒・薬による奇行で現場をパニックに陥らせていたはずのレイがかなり完璧に演出をこなしてることには感動してしまうがさすがに『大砂塵』『夜の人々』『ラスティメン』には及ばない。青山真治やヴェンダースがベストに挙げている真の傑作にして「最後」の作品である『バレン』を日本でみたいのう……
傑作ギャング映画。
シド・チェリシーのカラフルなダンスシーンも凄いが、足を洗いたがっている主役の弁護士と、リー・J・コッブ演じるギャングのボスの友情が崩れていく様子がスゲー面白い。唐突な暴力シーンも凄い。
コッブの暴力性はアンタッチャブルのデニーロに通じる。
シド チャリシーのダンスが官能的かつ魅力的。女優がキレイに映ってる作品はそれだけで魅力的。