野性の少年の作品情報・感想・評価

「野性の少年」に投稿された感想・評価

くれお

くれおの感想・評価

3.7
トリュフォーさん自身、親に捨てられた過去があるとか

イタール博士を自らが演じる事に深い意味があったんだな
やん

やんの感想・評価

-
教育や価値観をどう共有するか
幼少期の生活で本当に人は変わる

彼は人間界で生きることは本当に幸せなのか?
押し付けではないか?って考えだけだと
それは彼の未来を考えていなくて
その可能性ももちろん考えつつも
一度は無理やり人間社会に引きずり込んだ者の責任として、未来を考えて教育する
子供を産む母親もそうしなければ

家政婦がいつしか母に
博士がいつしか父に
なれればいい。彼らが知らずに犯す間違いも
いつか少年が指摘してくれればいい。
IMAO

IMAOの感想・評価

5.0
【この際だからF・トリュフォーを観直してみた。その9】

『野性の少年』を観直す。
1799年にフランス・カンヌの森アヴェロンで推定年齢11歳の子供が発見される。この子供は裸で、言葉も喋れず、感情の起伏が少ない、所謂「野生児」だった。この子供を教育したジャン・イタール博士の日誌をベースに映画化されたのがこの『野性の少年』だ。このイタール博士の研究は心理学の研究などで今に至るまで認知度のあるものだが、トリュフォーがなぜこの話を映画化しようと思ったのか?そこには彼の出自と関係がある。彼は『大人は判ってくれない』でも語られている通り、決して裕福とはいえない家庭で育ち、両親からも充分な愛情を与えられないまま育った。少なくとも彼はそういう風に感じていた。実際彼は小学校くらいしか卒業していない筈だし、必要な事は映画と本から独学で学んだのだ。それだけに映画、本、女、子供への偏愛が強くなった。彼にとって人間が育つためには愛情が必要だ、というのが彼自身が体験から得た教訓だった。だから言葉も喋れず感情も示さなかった子供が如何に「人間」になってゆくのか?という話に興味があったのだろう。
「人間形成は動物の場合と違って『種の遺伝」に負うものではなく、『教育』によってのみ可能であるという、この美しいテーマこそ、わたしたちが映画で描こうとしたものなのである」(フランソワ・トリュフォー『野性の少年』オリジナルプレス 1970年 より)
この映画では今までの彼の作品とは違うことがいくつか試されている。1つは彼自身が役者として出演することだ。彼はこの映画の脚本を映画化する数年前に書き上げていたが、このイタール博士を演じれる役者がいないと感じていた。だがこのイタール博士の行っていた「教育」は、いつも自分が行っている「演出」と似通った作業であることに気付き、この役を思い切ってやることになったという。(この映画を観たスティーブン・スピルバーグがこの後『未知との遭遇』でトリュフォーを役者として起用する)
このイタール博士をフランソワ・トリュフォーが演じるという事が、この映画のスタイルを形作った。事実をフィクションという形で表現するのは素人の役者・トリュフォーである。しかしその演技はある意味演技ではなく、子供を演出するというドキュメンタルな所作が映されている。このフィクションとドキュメンタリーの狭間にこそこの映画の魅力がある。
そしてもう1つ重要なのが、撮影を担当したのがネストール・アルメンドロスだ、という事だろう。アルメンドロスはキューバから政治的にフランスに亡命した撮影監督だが、これ以前にエリック・ロメールの現場で偶然カメラマンとなった人だった。そこからの繋がりでヌーヴェル・ヴァーグを代表するカメラマンの1人となり、その後ハリウッドでも活躍した20世紀を代表する撮影監督だが、彼の作り出したルックがトリュフォーの映画の世界観にマッチした。彼の品格ある画作りが、この作品を単なるフィクション以上のものに押し上げたと思う。
この映画は「教育」と「愛情」そして「映画」と「演技」その全てについての考察でありつつも、美しい叙述詩的な作品となっている。その不思議なアンサンブルに、改めて感動させられた。
KOMOTO

KOMOTOの感想・評価

4.8
ヴィクトール役の子の演技が凄い。残された記録からして少年は自閉症か何かだったのでは…?
記録。
僕にとって初トリュフォー作品。
森で捕らえられた野性の少年ビクトールをトリュフォー自ら演じるイタール博士が引き取り、人間の文化的生活を学習させていく内容。モノクロ映像に頻出するアイリスが印象的。
映画はまだ学習が続いてくであろう中途半端な所で終わるけど、史実上のアヴェロンの野生児は完全な回復をする事はなく、あまり明るい結末ではなかったみたい。
んー、色々考えてしまうな。
フランソワ・トリュフォー監督作品。
撮影:ネストール・アルメンドロス。
フランス中部の森林地帯で野生化した11~12歳ぐらいの少年が捕獲された。フランソワ・トリュフォー演じるイタール博士は、少年を引き取り、教育しようとするが・・・という話。

野性の少年の演技がいい。いつも落ち着いていないで視線が定まっていない。コップを両手で抱えて飲み、雨と外での散歩の嬉しそうな感じ、荷車に乗せてもらって楽しそうにしているのが良かった。
イタール博士とのやり取りにより、少しずつ物事を覚えていくので、喜びを感じられる。

カメラの絞りを使った編集が、昔のサイレント映画を思わせた。
犬

犬の感想・評価

3.6
ミルク

自然の中で育った少年が、周囲の暖かい眼の中で人間性に目覚めていく姿を描くドラマ

勉強

注目の的ですね

暴れ回る
ただ、どんどん変わっていく

周りの必死さ
関係性が良かったです

モノクロ
独特な感じもありました
wong

wongの感想・評価

3.5
四足歩行だった、少年が二足歩行になり、博士の横を同じ速度で歩くことが何故こんなに感動的なのか。1人で暮らしていた彼にとって、誰かの隣を歩くことは、内部(人間社会)と外部(自然界)を繋ぎ
共存させる。
HK

HKの感想・評価

4.2
『大人は判ってくれない』『ピアニストを撃て!』などのフランソワ・トリュフォー監督によるフランス映画。イタールの『アヴェロンの野生児』の映画化キャストはジャン=ピエール・カルゴル、フランソワ・トリュフォー、ジャン・ダステなどなど

フランス中部の森林地帯で、獣の習性を持った野性の少年が捕獲された。百姓たちには虐められたがある老人に愛情ある接し方をされた。その後彼はパリの聾唖研究所に勤める医者の保護下、医者の愛情と献身的な指導を受けながら徐々に人間味を取り戻していく。

野生児を演じるジャン=ピエール・カルゴルの演技もさることながら、冷静に愛情ある指導をするトリュフォーの佇まいなども含めて、父親と子供のような関係性をこの映画から感じることができました。

トリュフォーは『アヴェロンの野生児』から感銘を受け、育てられる野生児に過去の自分を重ね合わせてこのような映画を作った模様ですね。ヌーヴェルヴァーグらしい、プライベートな人生観というものがとても反映された作品となっています。

アンドレバザンに指導されて人間味を取り戻した”今の”トリュフォーが、『大人は判ってくれない』の時のやさぐれて野生児のようであった”過去の”トリュフォーの面影を残す少年をバザンのような愛情でもって指導するというのがとても興味深かったです。

それでいて、今のヒューマン映画であったら絶対に過去回想みたいなものを加えてヒューマニズムに寄りすぎてしまうようなショットを絶対に入れてしまうのにも関わらず、今作はそのような卑怯な手段は一切使用していません。

冷静なイタール先生が、時折暴れる野生児ヴィクトールをとにかく時には優しく時には厳しく教育する様子を、何一つ装飾することなく記録映画のようにとにかく映しとる。それはまさに『大人は判ってくれない』から通ずるドキュメンタリータッチのトリュフォーの真骨頂のように感じますね。

途中庭の草原の中を全力で駆け回りながら大雨の雨粒を受けて喜ぶ野性味あふれるヴィクトールのショットがあるのですが、そこがとても美しく感じられましたね。なんか、あそこのショットは『パラサイト』でも似通ったショットを見たような気がする。

イタール先生がヴィクトールに対して教育する際に試行錯誤する様子をただ眺めるだけでもやはり面白い。どうしても上手くいかない場合はまたレベルを落としたりするなど、とにかく色々やるのが良いですね。

ただ、サルと同等な野生動物を人間の掟に無理やり適応させようとする偽善性みたいなものがどうしても出てきてしまうというのがこの映画で、その危うさも最後の最後の展開で見事に脱するというのがとても良かったかなと。

人間のマナーが彼にちゃんとしみ込んだのは分りませんが、しっかりとトリュフォーの愛情だけは彼の心に残ったかのような気がしますね。

やはり映画というのは何一つ装飾や形容をせずにただそのままの過程を見せるだけでもどれだけ見応えある作品に仕上がるのかというのがこの映画を通じて分かったのかなと思います。

いずれにしても見れて良かったと思います。もっとトリュフォーの映画を見てみたいですね。
イタール博士をトリュフォー自身が演じた理由は「俳優としての利害を忘れて何よりも子どもを大切にできる人」という条件に当てはまる適役がいなかったかららしい。幾度も親から感化院に放り込まれていた経験のあるトリュフォーがこの映画を撮りイタール博士を演じた事実は感慨深いですね。
レムリ夫妻とその子供は「なまいきシャルロット」の監督クレード・ミレール一家が演じていて、本作は戸田奈津子が初めて映画字幕の翻訳を担当した映画でもあるそうです。
ヴィクトールがお風呂に入ってるシーンが可愛くてたまらなかった〜
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