善魔の作品情報・感想・評価・動画配信

「善魔」に投稿された感想・評価

H

Hの感想・評価

2.0
森雅之の愛人が黙って出て行くシーンがいい。煙草の吸い殻を捨て、珈琲を忘れずに置くという作業にだけ集中する。つまり、森雅之の遠回しな別れ話を受けて、心をあえて空っぽにする。感傷的でわかりやすい感情表現が木下恵介の作品には過多であるが、こうした微妙な場の空気の演出が見られて嬉しい。
怪優三國連太郎が鮮烈なデビューを果たした記念碑的作品。
三國連太郎が三國連太郎役を演じていると言ってしまえば可笑しな話だが、事実彼の藝名はこの作品の主人公に由来しているそうだ。

良く言えば純粋、悪く言えば愚直な青年記者が高級官僚夫人の失踪事件を探っていく内に死の無為性やリアルな欲望の醜悪と邂逅し、若さゆえの独善的な牙を剥き出しにしていくというお話。

タイトルの"善魔"とは、善が何故悪に太刀打ち出来ないかという哲学に基づく。
森雅之曰く、「人間の善性とは本来己を守る事に精一杯で進んで悪に戦いを挑むようなものではない、つまり社会の澱みを失くす為には純粋な善性に悪の一面を持たせなければならない。この一面を魔性と呼び、善性と併せて"善魔"」だそうだ。


本日午前柏のキネマ旬報シアターで「聖なる犯罪者(2019年)」を鑑賞したばかりなので同じような語り口になってしまい大変申し訳ないが、本作は今から丁度70年前戦後日本で木下恵介によって制作されたものでありそのテーマの不変性こそがIT技術の進歩に対する人類の停滞を物語っている。


人間とは過ちを繰り返しては互いの傷を舐め合い一歩ずつ前進していく弱い生物なわけで。主観的に正しい攻撃、即ち魔性の善は時に必死に立ちあがろうとする弱い人間の心を真上から叩き潰す凶器にもなり得る。"正義"ほど矛盾に満ちた言葉はない。この矛盾を最も分かりやすく現代エンターテイメントとして風刺しているのが映画ファンなら誰もが知ると言っても過言ではない「ダークナイト(2008年)」のジョーカーだろう。
本作における三國クンの猪突猛進な正義感が敵味方問わずおよそ褒められたものではない大人の深い恋愛情緒や夫婦関係の齟齬に水を差すという結末は、我々現実に生きる"弱い人間"にとって不快極まりないものとなっている。
ayako22

ayako22の感想・評価

3.2
『善魔』
清く正しく美しく! な人を見ると薄ら怖く感じるが、まさにこの三國という男、真っ直ぐ過ぎてコワイ。。
正義という名の棍棒で人を殴る的な。
確かに君は正しいけどさ。

三國廉太郎さんの初作品らしく、滑舌悪いとこも含めて初々しかった。
主演の皆さま顔が美しい。。特に部長の愛人役の女優さんは現代的な顔立ち。
癌で死んだ女性との愛を貫く為結婚式をあげるほどバカ真面目な新聞記者、三國連太郎が主人公の話。
monaminami

monaminamiの感想・評価

4.2
三國連太郎デビュー作にしてそのまま役名が芸名になったという適当なのかへぇー!なエピソード。
その若さほとばしるが故の善が前のめりで勢いにみんなやられる。
正しいようでいてちゃんとしたこと決めない!と女から言われる冷酷すぎる森雅之最高最低で好き。
で、惑わせ続ける淡島千景の麗しさったらないし、出てくる皆様の顔面が綺麗すぎてすごい。
otom

otomの感想・評価

4.2
三國連太郎は立派です(震)。役名=デビュー作からって事でへぇー。とりあえずいきり立ち過ぎ滑舌悪過ぎて何言ってるか分かんない。で、飲み屋の善魔の下りがいまいちピンと来ないんだけど、死体にも想いを貫く程のピュア男の狂気にはマジかなわんって事なんだろう。偶然偶然〜って云う出来過ぎなプロットはともかくとして、森雅之が愛人を追い返す下りの緊張感は異常でこう云うの木下恵介は上手いねぇ。やたら美しい淡島千景と森雅之の何か慎重深く青春を浪費した無惨な中年が若者の衝動、エネルギーにやられて余計惨めな感じになるのを見てこっちも何かショボんとなるな。桂木洋子はいつも病人のイメージ。みんな揃って火鉢に手を当てるのはみんな寂しくて凍てんだね。
そ

その感想・評価

2.9
デビュー作だけあって流石に三國の演技がおぼつかない。テーマは理解できるがどうもうまく落とし込めてないような…
思わぬポイントでブチ切れる三國(ピュア乙女かよ)、それを「魔性の声」などと大仰に表現する上司カップル。ちょっとついていけない世界だった。
MS

MSの感想・評価

-
下手に正義感を持っていたり、空気を読む自分がいると生きにくい世の中だが、全て善い判断をしているのだと完全に自分を信じて生きていれば、生きにくいも何も感じないだろうなと思った。が、そう思えるのも相手に罪悪感を覚えさせる位の強さ、パワーが三國さんから発せられていたからだろうが。

役者に頼らない、 全ての役割の人がどっしりとした美意識を持ち仕事をしている美しい映画。素敵。こういうを見た子供たちは 描かれた(新聞記者)、又は描く側(映画関係)の、この職業につきたいとか 夢を持つだろう。

大事な台詞が猛烈早くなるor声ちっちゃくなる等、 ほぼ、言葉がつぶれているので思わず笑ってしまったが五回くらい聞き直してなんとなく理解できた、映画館で見ていなくて良かった、現代に生きていて良かったと感じる。

ここまで書いたが、三國連太郎さんが格好良すぎて はげそう。
この時代特有の早口台詞なんだが、三國連太郎があまり滑舌が良くないせいか、もはや何を言ってるのか分からない部分があり、観客に伝わるかどうかよりも大切な速さって一体なに、と思った。全員早く喋ってるわりに尺が108分もあって長いし。
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