白痴の作品情報・感想・評価

「白痴」に投稿された感想・評価

よ

よの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

今まで見てきた黒澤映画の中でも異質に感じる濃厚なドロドロ愛憎劇。っていう単純な言葉に置き換えたら失礼だろうけど。

本来の作品は4時間長の大作だったのを映画会社が無理やり短くしたらしい。
ストーリーは難解っちゅーか何を伝えたかったのか分かるような分からないような。
黒澤明のドストエフスキーへの愛が強すぎるからなのか?

ただこの映画で感動したのは「緊張感」の演出の巧みさ。
今までの映画でも(特に羅生門とかは)緊張感の演出は素晴らしかったが、この映画で痛烈に感じれた。思わず息を殺してしまう。この緊張感のお蔭で最後まで見れた。

そしてこの緊張感を生む役者陣の演技。
三船敏郎は野良犬以降、野生化が進行してるが羅生門以降に知れた演技の振り幅は素晴らしい。素晴らしいといえば、原節子の、我が青春に悔いなしでも存分に発揮されてる狂気じみた演技にも感動。そして久我美子の美しさたるや。めちゃくちゃ可愛かった。すこしオードリーヘップバーン感もある。

冒頭での「皮肉な話だが、この世の中で、まことに善良であることは白痴(バカ)に等しい」という文章が印象的。

原作であるドストエフスキーの白痴もいずれ読んでみたい。
高橋

高橋の感想・評価

3.7
原節子と三船敏郎の眼力が凄い。
全編ノーカットで観たいですわ…
モノクロの雪景色って美しい
原作未読。最後まで全然展開が読めなかった
森雅之がピュアすぎてしんどい
てか三船とモリマがちょっとブロマンスぽくてしんどい…
原節子めっちゃこわい、これがファムファタールなのね。
本当は4時間半の映画だそうで、やっぱ端折られてる感があった。はじめの方とか文字で説明多いし。ノーカット版あれば観たいなアと思った
ストーリーについては、
製作会社の強引な編集が
入ってしまったが、
とにかく役者の芝居、、、
特に目から伝わる凄みが印象に残る!

非常に重い展開が続くのだが、
いつの間にやらしっかりと
世界観に馴染んでしまうのは、
そこは、さすが黒澤明
と言ったところなのかな!
ドストエフスキーの原作は未読である。
おそらく、難解というよりは読みづらい、という感じなのだと思う(「罪と罰」なんかを見ても…)。
と、考えると、映画にしてくれることは非常にわかりやすい。
そして、コミックになるよりはそこそこ実在感を持って迫ってくる。

本来なら6時間超えの大作。
それが半分になり、さらにカットされたことにより黒澤監督自身は大激怒だったらしいけれど。
出来るだけ長くない方がいい。
あるいは「人間の條件」のように分けてしまうとか。
とかを考えながら観つつ、序盤の端折り方と、二部からの畳み掛けを考えると、やっぱり完全版が観てみたいなとも思う。

話を見も蓋もなく言ってしまえば「昼ドラ」的。
しかし、当時の日本の風景や世相が今やフィクションに映るので気にならない。
むしろ、舞台が東京ではなく(原作がロシアというのもあり)北海道の雪の中、というのはやはり合っていた。

キャスティングはほぼ完璧。
森雅之、原節子、三船敏郎、久我美子など。主役陣にとどまらず、脇を固める志村喬や千秋実や千石規子や常連組も特に良い。

お話としては、「女の意地」から始まって、女ってめんどくさいよね、ってなりつつも。
それは尊厳に関わる問題であることとして描かれていると思う。
ひとりの女を巡る話でも男同士の問題は比較的単純、且つ簡単に解決する。
しかし話だけ追えば、考えが複雑で意見が変わり。
久我美子がこじらせ、原節子がぶち壊す。

とはいえ、野暮なくらいに言わなくていいことまで言う森雅之も、野暮なことは言わないが比較的粗雑な三船敏郎も実際火種にはなってはいる。

恋という因果がみんな真面目過ぎることで悲劇で終わる。そして、森雅之と久我美子。三船敏郎と原節子が歪でもくっついていれば案外、丸く収まるはずなのが心憎い。
ドストエフスキーの白痴

札幌ロケ

生活のスピードが、2018年の3分の1のようなかんじで、進みます。

オールスターキャスト
森雅之さん凄すぎ
原節子さんは、こんな役もするのか。

馬の飾りの鈴の音と、雪と氷上仮面カーニバルが印象的でした。
hagy

hagyの感想・評価

4.0
初めての黒澤明
私はドストエフスキー小説のファンなんですけどね、全くこれは素晴らしいとしか言いようがないです
映画ですから、人物描写の細かさやエピソードの省略は大目に見るとして、それを上回るあれやこれやがありました、それが何かは映画のこと知らない私にはさっぱりですけどね、
とにかく何がすごいって、あのロシアの独特な雰囲気を日本バージョンでやってのけてしまうところです、それも違和感なく、いやそれどころか魅力的に仕上がってましたよ、映画として面白い
世界の黒澤はとんでもなかった...
黒澤監督が、ドストエフスキー原作の物語を、舞台を戦後の札幌に置き換えて映画化。
人間の心の醜い部分を全部削ぎ落としたかのような、ピュアな心を持つ白痴の青年。その青年と魂レベルで惹かれ合う不幸せな美女。青年との友情を結びつつも美女に激しく恋焦がれる男。生真面目で潔癖な性格ゆえ、青年の純真さに心惹かれ守ろうとする若い娘。この男女4人が繰り広げる、修羅場満載の四角関係愛憎劇。

キャストがとても豪華で、主役の4人は、森雅之・原節子・久我美子・三船敏郎。表情での演技が凄くて、原と久我の対決シーンとか、森と三船の秘密共有シーンとか、ホントにもう怖くて怖くて…原節子の凄味はもう、下手なホラーより数倍怖いよぅ…ブルブル
脇も志村喬・東山千栄子・千秋実・左卜全らが固める安定感。

映画を見慣れている人向け、だとは思う。話の展開は地味でゆっくりだし、ずっと雪に埋もれているし、人によってはとても退屈に感じる鬱映画かもしれません。
でも欺瞞に溢れた世の中で、いつも正直に真実を語るのは、人から馬鹿にされている白痴の青年だけで、果たして本当に美しく尊いものとは、虚飾のない真実とは何なのか?と全編通して突きつけられる。

監督の肝いり映画で、4時間以上の大作でしたが、制作会社の意向で166分になったのだとか。完全版が存在するなら、見てみたいものです…
百合

百合の感想・評価

4.1
ドストエフスキーの原作を読みたくて、先に視聴。主役級4人の存在感が凄絶。ただ4人の中ではちょっと三船ロゴージンの影が薄かった気がした。ムイシュキン侯爵に押されて、ロゴージンの粗暴な感じが今ひとつ発揮されなかったように思える。森ムイシュキンの怪演、原ナスターシャと久我アグラーヤの対決は強烈で大変良かった。とくにムイシュキンの狂気を感じさせるほどの無垢性は森雅之にしか演じられないと思うし、原節子は小津映画の「永遠の処女・原節子」より、こういう鬼気迫る役の方が似合っている気がした。久我美子の美しさと誇り高さはアグラーヤにぴったり。
moto

motoの感想・評価

4.5
ドストエフスキーの長編を読み終わらせる時間があまりないので、黒澤明を通して。

最後のろうそくのみで部屋を照らすシーン、妙子と綾子の睨み合うシーン、音楽、映像がうまく絡み合い、緊張感がすごかった。
ちなみにオルゴールのシーンも好き。

原節子は本当に化けていた。というのも、小津映画の原節子をずっとみて来たから。
森雅之の血の気のない、狂気を孕んだ、紙一重の、危ない、優しさと誠実さをみながら、いつ裏面にひっくり返るのか、戦々恐々しながら見ていた。この役柄は森雅之で正解だったと思う。
三船敏郎の羅生門の時と似た、野蛮な、時たま小心者な演技もさすがであった。

すごく見応えがあった。
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