銀心中の作品情報・感想・評価

「銀心中」に投稿された感想・評価

mingo

mingoの感想・評価

4.1
水平からズレたカメラアングルは心の歪みか、降り積もる雪と相乗効果をうむ素晴らしい演出の数々、新藤兼人監督作で一番好きかもしれない本作しろがねしんじゅう。というのも影響下にはあまりないかもしれないが助監督に中平康が参加しているのよ。中平が居るだけで芸術臭がムンムン立ち込めてくるから不思議。舞台は戦時から戦後にかけて床屋を営む乙羽信子長門裕之宇野重吉の三角関係を巡るメロドラマだが、焼け野原になった阿佐ヶ谷を再現した美術やどこまでも追いかける乙羽の執念とよく話し合おうの一点張りの宇野重吉と宇野の恩を裏切れない長門の三者の気持ちがぶつかり合う。なぜ一緒に死ななかったんだ?と殿山泰司の声だけがこの世に残る、素晴らしいラストに絶句。傑作
@シネマヴェーラ渋谷

戦時下に生きる床屋夫婦の話なのでどうしても「私は貝になりたい」を想起してしまう。
戦争が生んだ悲劇。誰も悪くないのに、なぜこんなにも心を揺さぶられなければいけないのか。悲劇を一身に背負って乙羽信子が叫ぶ。

殿山さんが良い味を出していた。破滅へと向かうラストのシークエンス、そしてタイトルの意味に唸った。
一

一の感想・評価

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兵隊にとられ戦地で死んだと知らされていた夫がある日ひょっこり帰ってくる。妻はその間に夫の甥とくっついて粛々と生活を送っている。誰も悪くないヨ…。このあいだの池部良特集で観た山本薩夫&亀井文夫『戦争と平和』と同じ"生きていた英霊"のメロドラマだった。「兼人はやっぱ"脚本家"だよな~」とか分かったようなこと言っててごめんなさい。傑作です。全くもって不可逆な恋情にただただ突き動かされるしか術の無い乙羽信子に同情しつつも戦慄する。"元のようには戻れない"ということの悲しさが心底身に染みる展開。気づかぬうちにアチラ側へフッと飛び込んでいくラストは、『乱れる』や『秋津温泉』を思い出させる。「なんで一緒に死ななかったんだ」最後まで重ならない二人。ひどい!花巻を走るやけに薄っぺらい路面電車が印象的だ。電車のことは川本三郎に聞こう。
tokio

tokioの感想・評価

3.2
Rec.
❶20.03.03,シネマヴェーラ渋谷(16mm)/脚本家 新藤兼人
すすめられて。どこまでも女がおいかけてくる。
しとやかな獣も新藤兼人なのね。
あの人みたことあるとおもったら、寅さんのおいちゃんだ。
Xxxzzy

Xxxzzyの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

戦争で夫が亡くなったと知らされ、戻ってきた丁稚だった夫の甥っ子と出来てしまう主人公の元に夫が帰ってきてさあ大変。
雪の中、役者たちを、とことん歩かせる、新藤兼人のサディスティックぶりが炸裂。
buccimane

buccimaneの感想・評価

4.0
乙羽さんめちゃカワ。
長門が帰ってきてから履いてる3タックくらいのめちゃ太いパンツ今っぽくてイケてた。
しかし戦争は別としてあの季節の花巻でダム工事してるの相当地獄だろうな...。
宴会の予約が入るとこのカットかっこいい。
あとBGMのつきかた凄く良いと思った。
戦争と床屋だけに『私は貝になりたい』(1959年)みたいな話かなと思ったけど、新藤兼人がそうするはずがない。メロドラマにのっとった変化球というか違ったアプローチの、らしい反戦映画でした。

苦境を助け合う美しい恋愛が、生きた英霊の登場によって禁じられた恋愛に一転。喜びの代わりに地獄に落とされる乙羽信子と長門裕之。ただ堪えるのみの宇野重吉(英霊)が不憫。

いかにも新藤兼人な物語はベタというか予想通りな展開でなんともない…。一言で本作を表すなら乙羽信子のショウケースでしょう。というか、それだけの作品。悪く言えばオレの彼女プロモ映画。

妻の顔、叔母さんの顔、不幸でやさぐれてしまった顔、女の顔から、二役でスレっからし田舎芸者の顔までも披露。乙羽信子は割と好きな女優さんだけど正直疲れる。次々と顔を変えすぎ。
長門裕之との初対面では叔母さんの顔で、宇野重吉の出征あと二人になったらすぐ女の顔とか、ちょっと気持ちがついていけない。

始めの旅館で剃刀も持って棒立ち、長門裕之との初対面ですぐに剃刀みせてと言ったり、乙羽信子と剃刀というのをもっと活かして欲しかった。
夫の戦死を聞いてやさぐれて疎開した先で、顔に剃刀をあてて上下に動かしながらボーゼンとした表情をしているところとか最高だったのに。

* 助監督が中平康
*読みは、しろがねしんじゅう

(以下、激しくネタバレ)


本作の最重要部分は、独りで死んだことに対する解釈だと思うんですが、私には難し過ぎました。よって楽しめませんでした。修業して出直します。。
延々ジメジメして盛り上がりがなく、断絶の末、性急な死で終わる。素敵だ。
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