「これは映画ではない」に投稿された感想・評価

映画政策を禁止されたパナヒ監督が政府から隠れて撮った映画。
パナヒ監督の内心的な心情が中心だけれど、この普通の日常感が小津っぽい映画になり得てる。
こういう映画は初めて。内容、映像を把握するのが大変だった。おじさんとイグアナの生活を観させられてびっくりした。
どこまで演出なのかわからない。
映画じゃないと言いつつ映画になってしまっているのも最高。
昔の作品の鏡を見せながら言ったセリフが印象的だった。

このレビューはネタバレを含みます

メモ。
政府から二十年間映画作りを禁じられた監督の紛れも無い映画。
数年前、初めて東京に遊びに行ったときに観て、一度しか観てないんだけど、今でもたまに鮮明に思い出す。
ドキュメンタリー映画ではあるものの「もしかして脚本が存在しているのでは」と思わせる不思議な映画。いや、これは映画ではない。
混沌としているかと思いきや、「内と外」という核があるものにキッチリ仕立ててあることに驚く。
唯一無二のオリジナリティであるが、キム・ギドクが自ら引き籠って自撮りした『アリラン』を想起してしまう。

エレベーターのシーンが最高にワクワクする。ただゴミ回収に来た青年と1階ずつ降りるだけなのに。エレベーターのシーンにおいては映画史上最高なんじゃないかな。
「これは映画ではない」というタイトルから「映画とは何か」を逆説的に問いかける作品。


フェイクドキュメンタリーなのかどうか明確ではないが、そこの線引きはして欲しいという考えなので、そこだけ。
映画になれなかったものの弔いと新たなる映画の萌芽のにおい。

これは映画ではない。と言いながら、スクリーンの外側の映画を雄弁に語る。

抑圧の"代弁者"ではなく、"当事者"だからこそ作れた映画。
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