古い映画を観ていて楽しいのは、「こういう映画はもう現代以降には作れないだろうな」という作品に出会うことである。日本映画でそういう作品は、七人の侍の次ぐらいに鬼婆が来るのではないかと思うほど。
内容と…
生への執着が、人を鬼にする物語
新藤兼人監督による、戦乱という極限状況の中で、人間がいかに容易く獣へと堕ちていくかを描いた、凄烈な寓話。「人間」を題材にした傑作ホラーです。
物語は、戦で荒…
大日本帝国のいう臣民にもなれず、戦後民主主義を担う国民にもなれなていない人を喰いあって生きている我々に何を訴えかけるのだろう。
鬼は女の女への嫉妬のみならず、性的不能の男のそれでもあるし、老人の僻み…
モノクロに揺れるススキの群生とフリージャズ。オープニングからしてかっこいい。
落武者を殺して身ぐるみ剥いで、死体を穴に棄てて、戦利品を持ち帰ったら立ったまま飯をムシャムシャ食って即寝る。その間一言…
仮面で素性を隠し欲望の赴くままに他人を脅し穴蔵の闇の底に突き落とそうならば、時として人間は鬼以上の怪物に変わり果てることもある。
この種の悪意というものはその闇を通じて太古から現代へしぶとく生き続け…
構図陰影動きすべてがビビッドで、人物の欲望懊悩恐怖に生身で引き摺り込まれる。人間の文化伝統を"大人の狡知"とする解釈は進歩主義の臭いをさせつつも、大いに説得力を持った"物語"となっている。鬼面の表情…
>>続きを読む恥ずかしながら、新藤兼人は初めて観るのだが、想像以上に凄かった。南北朝時代、落ち武者狩りをする姑と嫁、亡き婿(息子)の戦友だった男、三人の物語。
カットの力が全て凄い。徹底したリアリズムで南北朝時…
映画冒頭から終盤まで象徴的に映し出される“穴”は言葉通り墓穴として機能する一方、ハチはこれを縁から覗き「おなごが欲しいどぉ」と独りごつ。女体そのものでもあり、生命の通り道である穴が、そのまま死とシー…
>>続きを読む「人生で美しいものを見たことがない」
日本の昔の映画といえば、多くの人が黒澤明監督を思い浮かべるでしょうが、私は新藤兼人監督も思い浮かびます。
『鬼婆』は、ミニマルでインパクトのあるストーリーテ…