贅沢な骨の作品情報・感想・評価・動画配信

「贅沢な骨」に投稿された感想・評価

みるめ

みるめの感想・評価

5.0
記/2021/4/13(火)

過去鑑賞作品気まぐれマーク☺
淡々と進むローテンションな映画だが、映像・演出から滲み出る変態性に心をくすぐられた。
真っ暗なテレビ画面の反射や街頭に照らされた影で映される情事、時代を感じる白物家電、金魚の泳ぐ赤いミキサー、口をパクパクさせる仕草、少し濡れた髪と布切れのようなワンピース、アコギとレコードの擦れる音。
挙げたらキリがないほど魅力的な要素が詰まっている。
全体を通しても、儚くてどこか異国のように感じられる作品世界は余りに美しくて、目が離せない。
それは35mmフィルムのざらついた画面や淡いオレンジと緑の光のせいかもしれないし、湿度の高い夏の暑さのせいかもしれない。
ミヤコの愛すべきだらしの無さや、サキコの無垢な艶やかさのせいかもしれない。
とにかく、画面に引力があったのだ。

物語に関しては評価が分かれるかもしれない。
終わり方や作品の速度・温度が合わない人は多そうだ。
私は好きだった。
なぜなら演出の一つひとつに込められた意味を見つける度に、切なくなるからだ。
ミキサーの中の金魚は、スイッチを押したらぐちゃぐちゃになってしまう。簡単に壊れてしまう人間関係の脆さを揶揄しているようで、そしてそんなこととは思いも寄らない無邪気な瞳が眩しくて、怖くなる。
喉に魚の骨が刺さったような、ほんの小さな、だけど確かな違和感は、何か言おうとしても喉がつかえて言葉が出てこないときの感覚みたいだった。
屋上での影踏みも象徴的であった。自分に付き纏う黒いものとの戦いであり、決して追いつけないものへの憧憬でもある。他人の影を踏むのは、その人を救いたいからなのか、捕まえておきたいからなのか、或いは傷つけたいからなのか。
ミヤコはサキコのことを救いたかったのだろうが、同じくらい傷つけたかったのだろうと思う。一緒に堕ちること、同じ男を共有することが、考えられる唯一にして精一杯の愛し方だったのかもしれない。
ある日、目を覚ましたミヤコは手前にいるシンタニよりも先に奥にいるサキコに気付き、その名前を呼んだ。
それだけで、充分すぎるほど伝わった。
結果的に救われたのはミヤコの方だった。
サキコという天使に救われた。
だからこそ、あの結末だったのだ。
『贅沢な骨』
初めは皮肉に感じられたこのタイトルが、ラストで至高の幸福の一解釈へと昇華された。

麻生久美子さんとつぐみさんの体を張った、且つ繊細な演技が光っていた。
評価はそこまで高くないが、個人的にはかなり心を掴まれた。

主題歌は、映画で登場した架空バンドTHE HUMPBACKSの楽曲『Torch Song』。
ボーカルはシンタニ役の永瀬正敏さん、編・作曲は朝本浩文さん。
陰鬱で、切実。
同年公開された映画のリリイ・シュシュを想起させる、息の詰まるような楽曲。
サントラを買う予感。
R

Rの感想・評価

3.8
正反対な女性として描かれるミヤコとサキコだが、きっと女の子はこの2人をどちらとも内包している。ボタン1つで壊れてしまう金魚とあの部屋は似ていた。残された人々の続いていく生活を予感させるラストは残酷にも見えるし希望があるようにも見えた。すごく好きな作品。
mn

mnの感想・評価

3.3
永瀬正敏好きとしてはたまらない一本。ちょっと影があって、孤独で、とても優しくて、でも優しくなくて…要するに絶対手出してはいけないタイプ。
麻生久美子の絶妙に安っぽい感じと、つぐみの純粋で抑圧された女っぽさとの対比。「女と、女、そして男」とただ繰り返されるだけの予告編も良かった。

街中で、少し離れたところで誰かのことを見つけて"〇〇さん!"って呼ぶの、むちゃくちゃ何気ない行為だけどなんかすごく良いよなぁ。
ミイ

ミイの感想・評価

2.9
行定勲さんが撮る麻生久美子さんってなんでこんなに儚いんだろう。
ごう

ごうの感想・評価

3.5
お互いに思い合う女性二人が、一人の男性の登場で嫉妬や疎外感を感じるようになる。

ミヤコ自身、サキコに対する感情をよく理解していなかったんだと思う。得体のしれない感情を不器用な言動と行動で確かめたかったんだと思う。
不感症のミヤコがシンタニと出会って初めてオーガズムを感じた事が引き金になって、サキコへの感情の正体が確信めいていく。

スイッチを押せばぐちゃぐちゃになっちゃうミキサーの中を泳ぐ三匹の金魚は、ひとつボタンを掛け違えば崩れる危うい関係の3人そのものだった。
人間はみんな汚くて、美しい。
Pepe

Pepeの感想・評価

3.4
内容はよく理解できなかった
部屋のシーン等、きれいで記憶に残るようなカットがたくさんあったのは流石

コメント欄見て諸々理解できました
金魚の入れ物。あれは完全にホラー。
屋上での影踏み。あれはドキッとした。
寄り添って生きていく。ミヤコにはサキコが必要だったんだ。大事なものはキズつけたくなるのか。
喉に刺さった骨。それほどの違和感であり、さほどの違和感。
いっしょに旅行に行くって言ったのに。
ミヤコもサキコも魅力的だった。
学生の頃に観てすごい影響受けた。1人でいる時にわざと口をパクパクしたりして笑。つぐみさん、普通に女優さんのままでいてほしかったなぁ。
艶々艶っぽい、艶全開の作品。
裸体の魅せ方がきれいだ。じっくり眺めてた。
つぐみさんという女優さんを初めてみた。すっごくかわいいね。
永瀬正敏が突然怒鳴るシーンはちょっと怖かった。
他の出演作品でも怒鳴ってたし、彼は緩急つける演技が得意なのかな?

序盤に出てきた鉄道マニア?wの癖がすごくて笑ってしまった。
ガタンゴトン~ガタンゴトン~。
金魚をミキサーに入れちゃおうとする発想よ!
金魚の尾びれが下の刃物にゆらゆら触れてハラハラ。
このミキサー金魚鉢が現れるたび、私の緊張感は半端じゃなかった。

「なにも刺さってないのにね」
最後につぐみがまじまじと見つめていた骨は、どこの部位なのだろう。
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