小さい頃、見ても良く分からなかった黒澤シリーズを見返そうと思って、チラ見しかしてなかった本作を三時間じっくり見た。
娯楽映画の基礎を作ったとされる黒澤神としてはエンターテイメント性が薄い芸術映画だ…
根津さんがお亡くなりになられたということで再鑑賞。
武田信玄に男惚れしてしまった盗人は親方の影武者になることを承諾。
自分の盾となり犠牲になる家来、戦で倒れていく兵士を目の前に傷つき成長していく男…
トップではなくただトップと顔が似ていたというだけで影武者にさせられた下賎の方に焦点が当てられているのが斬新でよかったです。
いくら顔が同じと言えど、中身が違うのに人というのは同じ人間だと思い込ん…
新宿伊勢丹近くのロードショー館で新作として観たのが初回。
客の年齢層が高く、隣の老夫婦がエンドロールで号泣していたのを思い出す。
おそらくは勝新太郎の信玄で濃厚な人間ドラマを描く予定だったのが交代劇…
初めてリアルタイムに観た黒澤作品。
わあ、あの黒澤が日本で撮るんだ〜
えぇ、主役交代なんだ、勝新から仲代に〜
て、胸躍らせて映画館に行った記憶がある。
でも、その胸の高鳴りは、最後まで続かな…
影武者の意外な器量が面白かった。
役者さんの凄まじい演技力や、全体的な空気感はいつも感じる黒澤明監督のもので、見ていてとてもよかった。
ただ、この映画のテーマになるものを表現するのに179分は少し…