アバンチュールはパリでの作品情報・感想・評価

アバンチュールはパリで2008年製作の映画)

밤과 낮/NIGHT AND DAY

製作国:

上映時間:144分

ジャンル:

3.6

「アバンチュールはパリで」に投稿された感想・評価

現実と妄想と夢が何も隔てずに同居している。「今日は特に何もなかった」を映画化しました、というかんじの平坦さ。パリをこんなにもアジア人の日常に落とし込めるとは。登場人物みんなにダメなところがありすぎて胸にくる。
動物が沢山。動物の糞が演じるドラマもある。街路を水が流れるだけで生じてしまうリュミエール的なドラマ。
ホン・サンス作品で一番長い作品だが、その長さを感じさせない程に軽妙。

鳥とか猪とか人間以外の動物が印象的。(というか終盤の猪怖い)

しかしロメールに影響を受けたホン・サンスがフランスで撮ったら、それこそ構図がロメールみたくなってる。

ところで途中老人とその孫っぽい二人が映ったのは、オリヴェイラの家路のオマージュだったのだろうか。(ホン・サンスならオリヴェイラも好きそうだからあり得るが)
netfilms

netfilmsの感想・評価

3.9
 2007年初夏、アメリカ人留学生と弾みでマリファナを嗜んだソンナム(キム・ヨンホ)は、彼の逮捕の知らせを受け、警察の目から逃れようとフランスのパリへ飛ぶ。故郷に新婚妻(ファン・スジョン)を残し、憧れの地に降り立った男は、空港に降りた瞬間から不安でタバコが手放せない。火を貸してくれと強請る男は、「ここでは気を付けろ!!」と絶妙な忠告をする。8月8日、韓国人の宿主(キ・ジュボン)が経営する民宿に泊まった男は、新しいフィリップモリスにも気持ちが晴れることはない。パリに到着して5日目で、男は極度のホームシックに陥り、韓国に残した妻に電話をかけ、ひたすらメソメソする。絵描きのソンナムは数週間経っても、絵を描くテンションになれないでいる。そんな彼の様子を見かねた宿主は、パリ観光の案内役としてヒョンジュ(ソ・ミンジョン)という留学生をソンナムに紹介する。クールベの「世界の起源」の絵をしげしげと眺めた男はヒョンジュを通り過ぎ、やがて彼女の友人でルームメイトの画学生イ・ユジョン(パク・ウネ)と出会う。

 うだつの上がらない男が故郷から旅先へ出かけ、やがて運命の女と出会うというホン・サンス映画の骨子は揺るがない。それに加え、今作ではエリック・ロメールの映画のような日記的な叙述スタイルが新味を与える。マリファナの恐怖に怯える自閉症気味の男は、やがて太陽のように溌剌とした自由奔放なユジョンと出会うことで、生きる気力を取り戻す。それと共にソンナムの自分探しの旅は、10年前に付き合っていたミンソン(キム・ユジン)との出会いを経て、奇跡のようなロマンスが始まる。側溝に捨てられた犬のフン、公園の片隅で行われる太極拳、6回中絶した元カノの退廃的態度、ひな鳥が落ちた撮影現場。ピンク色のタオルケットからうっすら覘く彼女の綺麗な脚に、男は衝動的な行為にひた走る。男の癖にという年下女の冷ややかな侮蔑の態度、元カノやヒョンジュの精一杯の強がりと嫁の嘘、言葉が通じず買えなかったコンドーム、好奇心で昇る螺旋階段、割れた白磁、砂の上に捨てられたゴム紐、窓に映るイノシシの鼻。青い空にもくもくと立ち並ぶ雲の絵は、ソンナムの夢という奇妙な罪悪感を相まって巧妙にティルト・アップされる。据え置かれたカメラのあざといズーム・アップとズーム・アウト、90°パンの巧妙な使用は反復を繰り返し、ホン・サンス映画独特の味わいとなる。
特にズームに言及できると思うのだけど、劇映画でこの異様なカメラの動きはなんだ? 起こっているシーンと撮影の乖離こそがゴダール的な逸脱なのだろうか?
長いよ
紫色部

紫色部の感想・評価

4.0
2018.5.23 DVD

このデタラメな周到さ、これこそがホン・サンスの本気なのかもしれないと思ったりする。
nagashing

nagashingの感想・評価

4.0
日付のインサート(『オルエットの方へ』あるいは『夏物語』のオマージュ?)によるぶつ切り編集のテンポが心地よい。ウディ・アレンとはちがって、舞台をホームグラウンドから移すと非日常への憧憬が前景化してシニシズムが後退する、なんてことはなし。この監督らしく、異国の風景をきわめてフラットな視点で切りとっていく。キム・ヨンホのクマさん的な愛らしさもよかったが、やっぱり魔性の魅力が炸裂しているパク・ウネが絶品。こういう、周囲の同性から好かれていない美人にのめりこむ心理はよくわかる。ルームメイトと派手に喧嘩したあとで、主人公の手をこっそりつないできて味方に引きこもうとするあたり、ほんとうにあざとくてずるくてたまらんなあ、と身もだえしました。主人公の状況の反映と思しき、小鳥の墜落と復活の反復もさすがにうまい。
1カットの尺にもズームのポイントにも登場人物の感情の動きにも論理構造が一切感じられず、それは俺だ。かと言って移入する箇所もなく、あらゆる解釈の落とし所をすり抜ける映画は稀有であり、何が面白いのかわからない。アホばっかり出てるけど世の中アホばっかりや!
クズいなかなか絵を描かない主人公とそれらを取り巻く女性たち。パリが舞台な割には狭い世界でしか生きない、ちょっとオシャレな要素とかあえて入れないのにパリは最高だなーとか言ってる辺りが良い意味でゲスくて良い。
Mitsunoir

Mitsunoirの感想・評価

4.0
これは何が面白いのかわからんけど面白い。韓国のゴダールと言われるホン・サンスだけど、この会話劇枯らしてロメールの方が近いように思われる。あとはミンソン(?)の足を舐めてるっぽいあれは海辺のポーリーヌを思い出す。同じように主人公はクズだけど、どこか寂しげでアバンチュールなんて銘打たれて周りにユジョンみたいな女の子がいれば、しょうがないわけじゃないけど憎めない。

そこんところは置いといて、やはり謎ズームは常に存在していることを確認。あと気になるのは結構中途半端なところでシーンをきる点。「帰ってくるの待ってて」→9月×日みたいな。あと「あ、そっちにカメラ振ります?」みたいなカメラの動き。それに長回しが多くて、画的には一見シーンが変わっているようで実はカットが変わった程度の変化しかないことも。ズームとかよくわからないカメラの振りは一つの区切りのように思える。
日にちも含めそれら分節化された断片を物語・線的にわかりやすく繋いでしまうのでなく、散布図的に色々な要素を散らし、その中から点と点をつなぎ、あ、関係ないようなのも繋がるなと楽しくなったり、エスプリが効いてたりと不思議な魅力が浮かび上がってくる。雲のモチーフで繋がってくるのが気に入った。
>|