エリート養成機関 ナポラの作品情報・感想・評価

「エリート養成機関 ナポラ」に投稿された感想・評価

https://twitter.com/ryoko_movies/status/1262013033548668928?s=21
綾

綾の感想・評価

-
ナポラといえば、アンソニー・ドーアの『すべての見えない光』を思い出す。ヴェルナーやフレデリックのいた、閉ざされた異様な世界。ナチス政権下のエリート養成校。

正義と悪はほんとうに相対的なものだし、人の強さや弱さを推し測る絶対的もの差しなんて存在しない。そう頭では理解していても、どうしたって混乱してしまう。人間の心の動きは、ほんとうに、ほんとうに複雑なんだと思う。

繊細な文学青年アルブレヒトは、『ジェネレーションウォー』のフリードヘルムを思い出さずにはいられない。トムシリングはこういう役がほんとうによくはまるなあ…

すべてを俯瞰した神の視点、かつ、ナチスや第二次大戦が「過去のもの」(あえてこの言葉を使う)である私からすれば、アルブレヒトは誰よりまともに見えるけれど、もしあのとき、あの場所に、私もいたなら、どうするやろう。何を思うやろう。

ナポラのことを少しでも知りたくて本作を観たけど、当時、実際にナポラにいた青年たちのことが、ますます分からなくなってしまった。彼らは何を感じ、何を思ったのやろう。“この映画が良くなかった” わけではなくて。想像すればするほど、実際の彼らが遠のいていってしまう。
本編のどのシーンより、エンドロールの数行が重たく響いた。

ラストのフリードリヒの表情がとても印象に残っている。
この映画鑑賞後:誰でもが自分のままで生きていける時代を作るのが我々の使命だと思った。
1942年、ナチスの英才教育と選抜エリート士官になるためのNAPOLA. ここにボクシング推薦で入学した労働者階級の主人公、フレデリック。彼は父親の反対を押し切ってもボクシングでナチスのエリートコースに。かたや、ナチス幹部の文才のありすぐ17歳になる子息アルバートも入学し、書斎をあてがわられるほどの特別待遇。でも、寝る場所は主人公の隣になり同様に訓練を受ける。フレデリックはアルバートの書いた父親が読まないエッセイを読む意思を見せたことで二人の交友関係が深まっていく。

初めて、学内訓練以外で外に出て、武器を持たないロシアの捕虜の子供を森に放ち追い詰め虐殺するシーン(私にはこのように見えた)でアルバートは傷ついた青年を助けようとしたが、甲斐なくナチス幹部(父親)に青年の息を止められた。彼は以前から疑問に思っていたが、この後から、ナチスの犯したこの行為(自分はその一員)に倫理観を見出せなく悩む。その葛藤。(I did myself good.)
その善悪で判断する倫理観を理解し始めたフレデリック。それにより勝ち負けの勝負の世界に疑問を呈するアルバート。機械のように訓練、特訓されているところに人間性が入ってくるとその人間が変わってくる。この反対はあり得ないと思うが。強靭なエリート族のリーダーをうみ出そうとしたナチスの時代、これはどの侵略国にも通じることだが。これは??? 今の社会構造にも通じることだが、男らしさ、男は強いものという時代の生産物のような概念を我々の世代でもう潰すべきだ。一番怖かった言葉が父の言葉:息子は弱かったと。
zogli

zogliの感想・評価

3.2
なんでキャストに主人公役のマックスリーメルトが入ってないんだよfilmarksさん?

過去に一度だけ観たけど日本語版がどうしても手に入らなくて「before the fall」という英題で出回っている英字幕版を購入(なので、レビュー内の用語が日本語字幕/吹替とは異なる可能性大です)

1942年というと独ソ戦後のあたり
少年を集めて教育と訓練を施すナチスのエリート養成所ナポラが舞台
「衣食住は保証される」「生まれや家柄は無関係、皆が同じ身分でスタート、個人の努力次第で上を目指せる」…若者にとっては大変に魅力的な謳い文句 人生を変えるまたとないチャンスだと、とくに裕福でもない家の子供は思うだろう
主人公フリードリヒもその1人
親の反対も家出でおしきり憧れと期待を胸にボクシングの腕をかわれ誘われたナポラに入ってみれば、そこで待ち受けるのは古城での寄宿生活、厳しい規律と訓練、上級生からの嫌がらせ…全ては根性論、落ちこぼれは不要物、情けは捨てろと繰り返し教えられ、心を殺して指示をこなしながら内なる良心と現実との相違にもがく日々
戦況は変わり訓練生までもが銃を構えて捕虜の掃討に出なければいけなくて、身の回りで身近に命が潰え また自らが誰かの命を奪わなければならない環境に変わっていくなかで、友の選んだ道に涙し、このままで自分はいいのだろうかと葛藤する、みずみずしくも危うい話

まぁナチ映画なので人死の描写はあるけどガチの戦闘描写までは無いので耐性の無い人でも多少はいけそう
海外版観たからぼかしも何も無かったけど全く性的な意味でなく裸が出てくる
アルブレヒトのシーンだけ安っぽくて後半の大事なパートなのに興醒めだったけど思えば15年くらい前の作品だし水中表現の手法に限界もあったんだろうな〜うまく加工してリマスター版とか出てくれないかな

いだいた希望が萎んでいくのに従って笑顔が消えていく主役の演技も良かったし、見目麗しい制服姿の少年達も見どころではあるけれど、注目すべきは父と息子の複雑な関係の描き方だと思った
フリードリヒと実父の「厳格な父の言う事は絶対」「それに対する反発心」みたいな昔ながらの父子関係と、ナポラに入ってからのボクシングの指導を兼ねる上官と主人公との実父よりも打ち解けた擬似父子のような関係を対比的に表現するのも良かった

けど、なにより友人アルブレヒトとナチ高官である彼の父との、忌避と愛情の複雑に混じった父子関係が良かった
体格も小さく心も高潔で繊細で、戦闘事よりは文学を愛する芸術肌の息子を疎ましく思う「ナチ高官」「権力者」としての立場が強調されて描かれる反面、父親としては確かに息子を愛していて でもそれを表立ってあらわすわけにもいかず「too weak」と自分に言い聞かせて別れを自分に納得させてる感じはネタとしてはよくある見飽きたパターンだけれど、それに加えて “体格も申し分なく戦闘能力も備えている息子の友人=主人公を有望な若手としてとりたてあからさまに贔屓して息子の嫉妬を誘う” という捻くれエピソードも絡まっていてなかなかのこじれ具合だったのはユニークだった

主人公とアルブレヒトの関係には個人的には同性愛的な捉え方は出来なくて、極限状態+唯一心通わせた友人+主人公が最近組織に入ったばかりで精神的にはまだナチに染まりきってないという背景を考えるとあんな感じでもおかしくはないような
ただ、あの試合に勝ってアルブレヒトの父親に取り入って最終的に高官の息子的な立場になって上を目指す事すら出来たはずなのにそうしなかったのはやはりただの同僚以上の存在であったのだろうとは思う

アルブレヒト役が成人してて16歳役やってたらしいけど違和感皆無
フリードリヒ役のマックスリーメルトもこの頃はこんなに愛らしかったんだなー
エリートといえども根性論なんだな。
所詮、人を伸ばす教育じゃない。
tomtom

tomtomの感想・評価

3.8
まさに皆川博子先生の「総統の子ら」の世界!ナポラや親衛隊といえばヴェーヴェルスブルク城だけど、この映画ではモラヴィアにある古城が使われてるみたいです。
やるせないのが、どんなに頑張ってエリートになっても、武装親衛隊(Waffen SS)に入っても、最後は戦犯として処刑されるのがオチっていうのが、観てるこっちはわかってるっていう。。だからまあ主人公たちの結末はあれで良かったんじゃないでしょうかね。
無

無の感想・評価

3.5
手塚治虫の「アドルフに告ぐ」に出てくるアドルフ・ヒトラー・シューレが更に精鋭化したような、エリートだけが入学する事を許される「ナポラ」が舞台の二人の少年が主人公の物語。
余分な彩度を排したセピア色の画面の中で、彼らの理想と現実のギャップに苦悩し藻掻く様が痛いほど瑞々しくて美しい。
主人公のボクサーの少年は強さを買われ入学するだけあって、冒頭に出てくる上半身裸の後ろ姿の僧帽筋から広背筋にかけての筋肉は息を飲むほど逞しく、顔もいかにもドイツ人らしい輪郭のくっきりした容貌だ。
特筆すべきはもう一人の主人公の少年をトム・シリングが、当時21~22歳で演じてるようだけど本当に十代半ばにしか見えないほど幼い童顔ぶり!
彼のキャラクターが他の少年達とは違い、国の為同士の為に戦うというナショナリズムに疑問を呈する考えを持っているがあまりに、哀しいラストへと繋がってしまう。


美少年ばかりなのでそういう映画が好きな人にはおすすめ出来るが、主人公がフィギュアスケートの某選手みたいな狂気じみたナルシスト感を漂わせていて自分はちょっと苦手なタイプだった。
綿

綿の感想・評価

3.2
ナチスの士官学校にはイケメンだらけ。特にトムシリング演じるアルブレヒトがクソイケメン。そういえばコイツwho am I にも出ていた。ナチス系の映画は制服が超カッコイイから好き。もう少し派手なイジメやいびりがあると思ったらその描写は意外とあっさりしていてもうちょっと感情移入させてくれって感じだ。戦争映画というよりはヒューマンドラマといった感じ。なかなかいい感じだけど知名度が低いのもなんとなくわかる。
ナチスの言う千年帝国でエリートとなるはずだった少年たち..彼らの末路を考えるとやるせないですね。あとトムシリング好きになりました...。まだ幼くてあどけなさが残っているのに何だか悲しい雰囲気が漂っていて目を離せない。美少年ですね。
一五四

一五四の感想・評価

4.0
2017/8/21

トムシリングのキュルンキュルンっぷりが。そして今回も不憫な役。繊細な青年がヒス起こして泣きわめく、というのは彼の定番の役どころですね。
今回のトムシリングは「力こそ正義、弱き者は叩き直すべき」という脳筋な閉鎖的空間にぶっ込まれた文系青年役でした。考えただけでも恐ろしく気の毒な境遇ですねえ..。同氏の『ジェネレーション・ウォー』の役となんとなく被る..
せっかく素敵な感性を持っているのに、環境がその才能を本人もろとも潰そうとする。誰からも見向きもされなかった彼の才能と彼自身に向き合ってくれた主人公フリードリヒに、そんな時代・環境の中で出会えたなんて、ほんとに良かったね...
悲しくてやり切れないけど、2人のラストは本人にとってもお互いにとっても、1番良い選択だったんだろうなと思います...

そんなわけで殆どトムシリングに持っていかれた感ある初視聴でした(いやフリードリヒ役のマックス・リーメルトも勿論良かったけど!)。せめてもう一回観たいところだけど、返却期間の都合上、断念..
>|