4月の涙の作品情報・感想・評価

「4月の涙」に投稿された感想・評価

2014/9/8
1918年、右派白衛軍と左派赤衛軍とが対立したフィンランド内戦末期が舞台。
優勢に立った白衛軍は赤衛軍を殲滅するため、女性兵士でも容赦なく連行し、裁判を受ける権利も与えないばかりか、女性の尊厳をも凌辱し、逃亡の汚名を着せ射殺する。
見かねた白衛軍の准尉アーロにより、だたひとり生き残った赤衛軍ミーナは処刑を免れ、アーロの奔走によって、裁判を受けることになる。
イデオロギーを捨てられない女と、その女を守りたい男の描写が素晴らしかった。
暗くて重い映画だったけどストーリーが動くので、このようなヒューマンドラマにありがちな中だるみもなく最後まで観られた。
特にラスト近くは二転三転するので、映画に引き込まれる。
でも、この方向性は必要???と展開するので、少々唖然。
ひろ

ひろの感想・評価

3.5
アク・ロウヒミエス監督によって製作された2009年のフィンランド映画

まず、この作品を理解する上で、フィンランド内戦というものを知らなければならない。1917年のロシア革命により、独立宣言をしたフィンランド。独立により情勢は不安定になり、飢餓、高い失業率、不況といった状態に陥っていた。そして、富裕層の白衛軍と労働者層の赤衛軍による内戦が始まった。

最初は赤衛軍の優勢で始まった内戦だが、農民や女性が兵士として戦うのには無理があり、白衛軍に追い詰められていく。そんな状況下で、女性兵士たちは、乱暴され殺されていった。この映画のヒロインも乱暴され、殺されかける。しかし、戦争で理性が麻痺した人間ばかりの中で、己を失わない兵士と出会う。

前半の展開はかなり重い。しかし、アーロとミーナに芽生える気持ちが、悲惨な状況下で美しく映し出される。そんな、戦場のロマンス映画で終わるのかと思ったら、ミーナを裁判する判事のエーミルが物語を複雑にする。自分の仕事に嫌気がさしながらも、処刑に没頭していて、アーロにまで興味を持つとんでもないキャラクター。

フィンランド俳優の演技も素晴らしかったけど、戦争映画、恋愛映画という枠を越えたストーリーには引き込まれた。この映画で感動的なのは、自己犠牲の精神と信念を貫く心だ。ラストの終わり方には、哀しみと小さな希望の入り交じった気分にさせられた。こういった歴史を映画で伝えることも、映画の大切な役目だと思う。
ばんち

ばんちの感想・評価

3.5
それまで知らなかったフィンランドの哀しき過去を学んだ
戦争による人の愚行を過剰にも、過小にも描く事なく、丁寧に描写されている
良作
love1109

love1109の感想・評価

3.4
戦争は、人間をたやすく破壊し、狂わせ、どんなに残酷で非人道的な行為も、すべて当たり前にしてしまう。人類の歴史が戦争の歴史であるとするならば、即ち、それは残酷の歴史でもある。国土の8割を森と湖が占める美しき国フィンランドにも、かくも哀しい過去があったということを初めて知る。忘れられそうな歴史を、忘れてはならない歴史を、映画はいつも教えてくれる。
1918年内戦下のフィンランド。
ある一つのシーンが実に暗黒で美しい。
ベートーヴェン交響曲第七番。
准士官と判事の妻はバスルームでやり始め、判事は隣の部屋で静かに聞き耳を立てる。
判事の秘密。
妻の性。
准士官には別の愛。
全ての孤独と葛藤が、緩やかに火を吹く。
ミチ

ミチの感想・評価

3.5
現在は福祉国家として知られるフィンランド。
そんな国にも悲しい歴史がある。

1917年にロシア革命が起き、フィンランドはこれを好機とみて独立を宣言。

しかし独立に関してフィンランド内は意見が分かれ 、国会でも僅差での可決だった。

独立後のフィンランド情勢は不安定で 、自らの資産を守ろうとする資産化階級が白衛軍を 、革命を目指す農民や労働者たちが赤衛軍を結成。

両者の対立が深まり、内戦が勃発した。

最終的には白衛軍が勝利を収めるのだが、 その影で行われていた蛮行も勝利のもとにうやむやにさた。

この戦争で4万人もの人が、戦闘ではなく、処刑や捕虜キャンプで命を落としたのだそうだ。

フィンランドは1年間に作られる映画が数本と少ないそうだが、映像、音楽、そして俳優さんもとても良かった。

特に女兵士ミーナを演じたピヒラ・ヴィータラが素敵。

ただ、現在では国内でも この内戦を知らない若者が増えたそうで、もう少し内戦に至るまでの時代背景などを描いて欲しかった。

ミーナがどんな思いで髪を切り、銃を手にしたのか。
そういう部分がわかればもっと感情移入できたのかなと思う。

エンドロールに使われている内戦当時の写真は衝撃的で、これが現実なのだということを再認識させられた。
villjobba

villjobbaの感想・評価

3.0
1917年、長年ロシアに支配されていたフィンランドは独立を宣言。
しかし、国が独立すると前体制派と新体制派で争いが発生するもの。ロシア派の赤軍と独立派の白軍で戦争が始まる。これがフィンランド内戦であり、思想の対立する同国民同士が戦った。だが本作で描かれる通り単に戦うだけでなく、同じ国の国民に非常な扱いをする悲惨な内戦となった。
北欧諸国は二度の世界大戦で大ダメージを受けていないこともあって、この内戦での死傷者の規模は北欧の歴史上最大とも言われている。

性の平等に対する意識が高く、現代で女性労働者が多いのはもちろん、当時すでに女性参政権が認められていた(世界でほぼ最速)国・フィンランドでは、女性兵士がたくさん戦っていた。
経済的に優位に立っていた白軍はドイツ軍やスウェーデン軍に協力を要請しており、舞台となる1918年中期には白軍圧倒的有利な戦況となっていた。
白軍は捕まえた赤軍兵士たちを捕虜にし、適当に裁判して殺しまくるのだが、先述の通りフィンランドには女性兵士が多い。女性捕虜たちは次から次へとたくさんの白軍男からレイプされた挙句、それが明るみに出ないように全員殺害される恐ろしい状況になっていた。繰り返すけど両軍ともフィンランド人である。

この映画では、赤軍の女性銃撃部隊に属する兵士ミーナが運よく射殺から逃れ、優しい白軍青年に会ったことで起こる出来事を描いている。
愛を前面に押し出すわけでも、裁判での駆け引きを押し出すわけでもなく、色んなバリエーションのドロドロ愛を見せてきたりするので予想と全然違う展開だった。

テーマがエグいのに、金髪美女が死ぬと怒り狂う私でも見れるくらい、ヤバいシーンを直接見せたりはしないのが良い。
主人公の青年も優しさが滲み出ている。ミーナの生脚を見てオ○ニーするシーン、地味に彼の性格をしっかりと分からせてくれる大事なシーンだと思う。
この監督の映画はあまり好きじゃなくて、感性があまり理解できないけど、同じ役名で別の映画に出演していたピヒラヴィータラが美しすぎたので良し。
セリフほとんどなくても強い女性をしっかり演じていたと思う。この映画でもヌードを披露しているけど、肉のつき具合がちょうどいいです。
子供役の人がデジャヴだったけど、同監督の別映画で出演してたらしく、納得。ところが監督と苗字が同じなんだよな。まさか息子か。
あとエーロ・アホという名前の俳優も出てる。フィンランドの苗字はおもしろい。

これはフィンランド映画なので、現代のフィンランド人から見ると大低は感情移入して応援するのは白軍たちの方であり、ロシア派・赤軍であるミーナは本来は敵として描かれる存在というのが大事。この原作が何故作られたのかを考えるときに重要。国や思想より命だ!
日本人である自分は最初赤軍に感情移入しがちなんだけどね。
周辺諸国から嫌われまくっているロシア。ロシアより前に支配されていたスウェーデンは普通の仲良い隣国だけど、フィンランド人もロシアは超嫌い。
スウェーデンに対しては経済的・知名度的に下だと(心の片隅で)思っているので「君かわいいね、スウェーデン人かと思ったよ」と言うと、「あらありがとう。違うけど」みたいな反応が返ってくる。
フィンランドの金髪美女に平手打ちされたい紳士諸君は「君かわいいね、ロシア人かと思ったよ」と言ってみると効果大。

北欧の歴史は日本で学ぶ世界史ではあまり出てこないので、そこらへんを宣伝したいと気持ちもあってオススメ。
でももっとまともな映画見つけたいな。
hate

hateの感想・評価

2.0
原題は"Käsky(コマンド、部隊)"。英題は"Tears of April"でそのまま。

内線中のフィンランドにおける男性兵士と女性捕虜の云々かんぬん。

・・・と、よくある恋愛映画と思いきや、フタを開けてみると不倫やら同性愛やらの性癖描写に満ちあふれたコッテリ濃厚作品。登場人物が少ないのによくもまぁここまで詰め込んだものねと感心してしまう。こういう意外性は嫌いではないのだが、『戦時下の狂気、捕虜と兵士の禁断の恋、北欧の荒涼とした大地、時おり現れる精神病患者、そしてアブノーマルな性癖描写を織り交ぜたらとっても芸術的な作品が撮れるんじゃね?』という制作者の狙いが透けて見えるため、作品の世界に入り込むことができない。アヴァンギャルドな作風ながらもどこか安っぽい映画に思えてしまうのは、大筋を支えるシナリオがありきたり過ぎて展開が容易に読めてしまうからかと。

・・・と、ざっくり言えば面白くない映画なのだが、じゃあ何でそんな映画を2回も観たんだと聞かれれば主演のピヒラ・ヴィータラがとにかく綺麗だから。あんまり小難しいことを考えずに、PV感覚でボケッと観るのが実は一番楽しめる見方なのかもしれない。

141217観(再)。
haru

haruの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ミーナ最強。やっぱ女は強いんです。情に流されず、仲間との約束をきっちり果たす、オトコのような女でした。

アーロは心優しい青年。敵であるはずのミーナを他のやつらのように扱うことができない。そして愛のために死んだ。時代が違ったら、敵同士じゃなかったら、結末は違ったのかなぁ。

この時代、女は人間として扱われません。家畜同然。散々欲望の捌け口にしておいてそのあとゲーム感覚で殺す。とにかくこいつら死ね!(#`皿´)って感じ。
そんな中、ミーナはあらゆる手段を使って生き延びる道を模索する。どんなひどいことをされても、目が死んでないのがすごい。

戦争はいけないことなのは当然だけど、それよりミーナの強さを感じました。
戦いの中に渦巻くあらゆる愛。
愛の足りない場所での、生まれにくく見えにくい、でも確かに存在した愛が、切なく涙のようにあたたかい。
戦いの醜さを描いている映画。
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