エンディングノートの作品情報・感想・評価

エンディングノート2011年製作の映画)

製作国:

上映時間:90分

4.2

「エンディングノート」に投稿された感想・評価

父は10年前に癌で逝った。

薬のせいか、癌細胞のせいか、
意識が混濁していた父がある晩、
右手をぴーんと天井に伸ばした。
必死の形相だった。
『くっそ!届かない』と父は言う。
聞くと、ドアノブに手が届かないと言う。
見上げると、火災報知器らしきものがあるだけだ。
『オマエも手伝え!あのドアを開けて、ここから
出て行くんだ!こんなとこで死んでたまるか!』
ベッドから起き上がれない痩せ細った父は、
何度も何度も火災報知器に向けて手を伸ばす。
だから、僕も一緒に、火災報知器に手を伸ばす。

(エンディングノート)2011年の作品。
劇場で鑑賞。父の死から3年が経っていた。
是枝監督の制作助手をしていた砂田麻実監督の
監督デビュー作。末期癌となった監督のお父さんの、
家族に迷惑をかけまいと、自分が逝く日までの
準備の日々と、家族の絆を、実の娘が、丹念に、
優しい眼差しで撮りあげたドキュメンタリー。

太陽みたいなお父さんに笑顔になる。
日本のサラリーマンを絵に描いたようなお父さん。
段取り、準備、几帳面に準備をしてゆく。
まるで自分の死が、会社の重要な会議か何かのような
仕事ぶりのお父さん。お父さんの柔らかな空気感が
そのまま、この作品の空気感になってゆく。

カメラに映っていたのは、死よりも、圧倒的な愛でした。

そう言えば、父は、最後は苦しまずに
眠るように逝った。ドキュメンタリー向きじゃないかも
しれないけど、それでも穏やかな顔で逝った。
そんな悪くない最後だったよね?と聞いたら怒るだろうか?
がく

がくの感想・評価

4.3
人はいつか死ぬ。
どうやって死ぬか。
こうやって笑って最期に向かって行きたいな。
hatthi

hatthiの感想・評価

5.0
好きすぎてDVDを買ってしまった。
「死」について考える。

砂田監督の父がステージ4のガンになり生涯を終えるまでのドキュメント。

映画を観て初めて声を上げて泣いた。

「死」というものを受け止め、自分が死んでからのことを考えてエンディングノートを残す。
この家族は「死」について触れることをタブーにしていなくて、死ぬということは辛いことだけじゃないのだろうと感じた。今までの事を感謝できるよい時間なのだと思った。

「一緒にいきたい。」
妻のその言葉に涙が止まらなかった。

産まれたからには必ず訪れる死。
私はその瞬間を迎えた時どのようなものを残せるだろう。
また、大切な人に死が訪れるときなにをしてあげられるだろう。


娘の砂田監督自身が父からの目線でのナレーションにとても愛を感じた。
れいや

れいやの感想・評価

3.5
父と娘が故の映像とナレーション。
自分には何ができるのか、、
初めて観たドキュメンタリーでこんなにいいものを観てしまったら今後他のドキュメンタリーは見れないだろうなと一瞬にして感じさせた。
まず、こんなにお父さんのことが好きな娘がお父さんの死についての映画を作るなんてどんだけしんどかったかと思うと始まる前から涙がこぼれてしまいそうになる。最後の孫が父に遊びに行くところで父の涙まじりの笑顔や入院している時の孫の顔や娘息子の顔を見ている時の強がりなお父さんの涙が流れているのを見て演技ではなくそれがリアルで、でもこれはリアルなんだよって言われなくても全然違うのが読み取れる。
最初の頃の元気で図太い父からどんどん弱くなっていく父を見てこっちまでも嗚咽を漏らしながらお父さんと声を出してしまいました。
最期に母に愛してると伝えたいというところなんてとってもロマンチックでいい夫だなとおもい、母の父と生きたいとおもっている気持ちがフィルムの概念を超えて伝わった。画面なんて今回はなかった。自分の目でずっと見ている気持ちになった。
ただ、自分を父としてのナレーションはたまに頭狂いそうになった
死ぬときに周りに人が囲んでくれることがどんなに幸せなことなのか思い知った。自分もそうなりたいな。
砂田知昭さんの幸せすぎる死を娘が映像に残した作品。
人間誰しもが「いつかは死ぬ」ことを理解しているはずなのに、
こんなに泣けてくるのは何故だろう。
そして自分は彼のように死の直前まで振舞えるのだろうかと自問した。

そういえば「Good-bye(さようなら)」の語源は、
「God be with ye(you) (神があなたのそばにいますように)」だと
聞いたことがある。彼は安らかに眠りについたのだろうな。

息子と会話をする砂田さんが、近くにいる看護師に
「いま葬式の話してるんだ」と笑わせる。
看護師が「男の世界だね」と言うくだりが一番好き。

ナレーションが男性だとなおさら良かったかなと思った。
説明するのは難しいんだけど、
もう少し落ち着いたトーンというか、なんというか、
プロレスの実況と同じで声に落ち着きが欲しかった。
第三者視点の「天の声」のほうが映像にフィットしたような気がする。
ここで作品を知り、レンタルないので購入。泣くだろうなと思い心の準備をして鑑賞。笑えるシーンがたくさんあり、最後はもちろん号泣なんだけど、笑いもあり。
ホームビデオのようで、ともすれば単調になってしまうこともあるはずなのに、まるで家族の一員になったかのように感情移入して観ていた。
自分の家族構成とか、年齢も似ていてということもあるかもしれないが、ぐるぐるといろんなことを考えながら最後まで観た。
生き様って死に様でもあるのかなと。
鑑賞後、その場にいたかのような疲労感もあり。上手く言えないけど、出会えて良かった作品だった。
2014.3.14
これはヤバイ。。号泣。 砂田知昭さん強い。
「私は上手に死ねるのでしょうか」

誰もが迎える「死」。そこに上手下手が有るとすれば、全てを受容し、自分の死後、遺された家族や友人、関係者を困惑させないように出来るかどうか。

死と向き合い、自身のエンディングに向けて準備を重ねた監督の父親、砂田知昭さんのエンディングノート。

監督・ナレーションは次女。知昭さんの心情を明るくコミカルに吐露する形で進行します。

父親を撮りつつも特別感は出さず、高度成長期に働いた一人のサラリーマンとその家族を、監督が小さい時から撮り続けた8ミリを挟みながら映像で綴っています。

ドキュメンタリーはドラマや映画と違って、言葉を発した本人にしか、その真意は分からない。
でも、病床の知昭さんが長年寄り添った妻に対して出た一言は、心の底から思わず溢れ出た言葉のようにズシリと重みがあり、素敵な言葉でした。

「上手に死ねるかどうか」。営業のクロージングマニュアルのような知昭さんのエンディングノートには、知昭さんの家族に対する愛情がたくさん溢れていました。
kapo

kapoの感想・評価

4.1
すごく優しく優しく
ユーモアの混じった
愛が溢れた映画だった。

死ぬことでこんなに良い温度の
温かさを感じる映画って、
そんなにないんじゃないだろうか。
バランスが良い。

大げさでもないし、
キレイにし過ぎることもないし、
全然悲観的でもないし、
すごく素直な映画で感動した。

実の娘が撮ったからこそ出る、
家族の中に漂っている
空気感の伝わり方がすごかった。
そして何となく
高貴な雰囲気もあったり。
この家族の品とか賢明さとか。

ドキュメンタリーのリアルさって
その空気感そのものだろうし、
監督自身の愛情とか優しさが
反映されていて、
とっても心が膨らんだ。

家族ってなんだろう。
不思議な集合体だなぁ。
わたしもこんな素敵な家族を
持ちたいなぁ、て。

プロデューサーが是枝監督だったとは。
ほんでハナレグミの歌がいいねぇ、泣ける。
この監督の前作も良かったし、
他の作品も観たい。
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