八重子のハミングの作品情報・感想・評価

八重子のハミング2016年製作の映画)

上映日:2017年05月06日

製作国:

上映時間:112分

3.6

あらすじ

四度のガンの手術から生還した夫が、アルツハイマー病を発症した妻に寄り添って介護を続ける12年間を描いた、夫婦の純愛と家族の愛情にあふれた物語。

「八重子のハミング」に投稿された感想・評価

Hitoshi

Hitoshiの感想・評価

2.7
実話を基にしていても、どうして講演の形をとってしまったのかがわからない。感情移入しにくかった。
また、認知症の描き方にも違和感があって、もう少し認知症について知った上で映画にしてくれればと思った。
はる

はるの感想・評価

3.0
後援会の話してるところがいらないなぁと思った。
娘とのお風呂のシーンは切なくて泣いた。
年の召した方がラブホに入る所は、面白かったけど、あとはなんとも言えない悲しみがこみ上げてくる。
アルツハイマーとその病気に対する介護の描写がとてもキツくて、観ていて辛かったです。

すごいありふれたことなんだけど、この映画を観て、やっぱり思い知らされました。

それは、本当の意味での強さとは自分以外の人間にどれだけ優しさと愛情を注げるかということ。

どんどん見る影がなくなっていく奥さんを健気に支える主人公の姿に泣かされました。
メイ

メイの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

一応ねたばれ?かな?
映像美とかよりも、本格的にストーリーで引き込んでくる映画。
八重子さんの演技がめちゃめちゃ上手い。アルツハイマーの役なんて難しいだろうに、徐々に病状が悪化していく過程が丁寧に演じ分けられてて凄かった。
勉強になるというか、学ばされる台詞も多い。

妻が記憶を失くしていくことを、しっかり思い出にしよう

教育の結果は20年先に出ればいい

素敵です〜。
達観というと言い過ぎかもしれないけど、遠くをよく見れる人の言葉だなぁって。

時々、画がシュールに感じられるところがあって気になったけど…運転してるシーンとか、車のCMが思い浮かぶような撮り方で、これはどうなんだろうと若干考えた…。
でも美術の配置とかは好き。寝室の枕元に行燈とか、男先生の書斎的な部屋の机と明かりの感じとか、いいなぁっておもいました!
 吉田拓郎の「我が良き友よ」という歌がある。先日亡くなったかまやつひろしが歌ってヒットした曲だ。その中に「男らしいはやさしいことだと言ってくれ」という歌詞がある。男らしさとは強くたくましいことだが、強くたくましいとは即ち、人にやさしくできることなのだと、そういう歌詞である。

 人は無一物の裸で生まれてくる。泣き喚く声は大きいが、それは強さではない。自分の存在を知らせて守ってもらうための泣き声だ。生まれたばかりのときは、ひたすらに弱い存在である。
 成長しはじめると間もなく、強さを求めるようになる。他と比べて優れているという物理的な証拠を求める。それは自分の存在理由を証明し、自己の存在を肯定するためだ。そして人類の大半は、この段階に留まっている。互いに競争し、優劣を争う。世間の価値観に精神の自由を蹂躙され、権威や流行を崇める。豪邸に住んで高級車に乗り、ブランド品を身に着ける。それが勝ち組だと自己満足に浸る。そのくせ心の内では、負け組に陥る恐怖に身を竦ませている。

 強さはやさしさだというフレーズは、すでにおなじみである。多くの映画や小説、漫画で言い尽くされた感さえある。吉田拓郎の歌がリリースされたのは1975年だ。既に40年以上も経っている。
 にもかかわらず、人はいまだに強さがやさしさであることを理解していないように見える。他人を物理的に支配することが強さだと勘違いしている人が多いように見えるのだ。
 店の店員や窓口の役人みたいな、言い返すことのできない立場の人間を土下座させる人が強い人と言えるだろうか。部下に暴力を振るい、怒鳴り散らす上司は強い人間か。格闘技を習い、武器を携帯する人は強いのか。軍事に膨大な予算を費やし、強大な武器を手に入れたら、その国は強い国なのか。
 誰もが、そんな人は強い人ではないし、そんな国は強い国ではないと思うだろう。表面的な強さを求めるのは恐怖の裏返しであることは誰でも知っている。知っているが、我々は内なる恐怖をなかなか克服できない。

 この作品は、やさしさについての映画である。つまりそれは、強さについての映画でもあるということだ。人は無防備で生まれ、成長するにつれて強さを獲得していく。しかしそれはおもに他者に対しての強さであって、自分の内なる恐怖を克服する強さではない。
 アルツハイマーを患った人は、徐々に赤ん坊に戻ってゆくような弱さそのものの存在である。そういう存在に対してやさしくすることは、自分のなかの恐怖を克服し生理的な嫌悪感を律する強さが必要とされる。
 高橋洋子はそんな無防備な赤ん坊のような老妻を存分に演じていた。夫役の升毅はやさしく妻を介護する夫の内なる強さを十分に表現していた。ベテラン俳優の渾身の演技だ。升毅はこの映画が初めての映画主演とのことだが、1億3千万人を泣かすことができる作品の主演俳優として、誇れる仕事をしたと言っていい。

 印象的な台詞が満載の作品で、観客によって心に残る台詞が違うだろうが、ひとつ挙げるとすれば、孫が授業参観で読み上げる短い作文だ。アルツハイマーの祖母をいたわる強さとやさしさに満ちた文章で、泣かずにいられる人は少ないだろう。
小次郎

小次郎の感想・評価

3.3
歌のTV番組で本人さんの話を聞いた後に見たもので...老いを考えさせられる映画。
かつ

かつの感想・評価

3.6
若年性アルツハイマーの辛さを知った。
赤ちゃんへと逆戻りする病気で一人では何もすることが出来なくなってるのを見てると苦しくて辛くて、涙が止まらんかった。
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〖八重子のハミング〗
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山口県のとある市民ホールで、白髪の老人が講演するシーンから物語は始まる。
アルツハイマーの妻を12年間介護した男性が、彼女との思い出を振り返る。音楽教師だった妻は歌が大好きだった。特に好きだったのは、谷村新司。彼女は死ぬまで歌を忘れなかった。
記憶をなくしていく、自分すらも忘れていく妻を介護するのは、やっぱり辛かった。
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『でもある時、思うたんです。
妻は、ゆっくり時間をかけて僕にお別れしよるんやと。やったら僕も、妻が記憶をなくしていくことを、ちゃんと僕の思い出にしようと……』
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夫にガンが見つかり、妻はそれを甲斐甲斐しく世話した。夫は腫瘍を取り除き命を取り留めたが、その頃から妻には異変が生じていた。
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『八重子さんは、あんたのガン治すために代わりに病気もろてくれたんや。あんたがしっかりしてやらんと』
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過去の出来事をわすれる、自分がしていたことをわすれる、やがて目の前の人が誰なのかも、自分の好きなものがなんなのかもわからなくなる。
発語も難しくなる。意思疎通も難しくなる。食事も排泄も介助が必要になる。
幼子に還っていく妻を、夫は妻をいたわり、可愛がり、献身的に介護した。

その記録。ドキュメンタリーのような物語。

時代設定は平成のはじめから15年頃までかな。介護保険法が成立したのが確か平成9年、その頃は介護ヘルプも存在しないし、アルツハイマーもそこまで認知されていなかったんじゃないかと思う。
やれ社会保障だ高齢社会だホームヘルパーがケアマネジャーがとか言ってるこの時代に、こういう物語を映画化すんのか~と。逆にね。たいへん複雑な気持ちになってしまった。

たとえば助けを必要としている誰かがいて、そこに支援を探す時、公的である〖フォーマルな社会資源〗と、身近で個単位な〖インフォーマルな社会資源〗とがある。
いまの時代の日本は世界になんとか追いつこうと法整備ばかりやっきになって、現場がどれだけ疲弊しているかわかっていない。現場の人員不足や施設各々のサービスの質は置いておいて、ハードの面については公的な支援としての介護はそれはもう充実している。

だけど、それらが充足すると同時に失っていったものがたくさんあって、それはひとえにインフォーマルな社会資源だと思っている。

夫一人で介護するのがたいへんだから、一緒に住もうと娘夫婦が声をかけてくれる。
娘は息子(つまり孫)にもちゃんと介護を手伝わせる。
週末には馴染みの喫茶店の奥さんが妻の介護を数時間代わって見てくれる。
昔子どものように可愛がっていた教え子が、介護の勉強に通い、空いた時間に妻の介護を手伝ってくれる。

夫が介護する物語だけど、この夫婦を支えるすべての人たちがやさしかった。いまの時代にはぜったいに起こりえないこの介護のあったかいバトンが、見ていてほんとに微笑ましかった。

誰も悪い人いないんだよね。夫の友人も、教え子たちも、家族も、ご近所さんも。あったかい目で夫と妻を見守る。転びそうになったら手を貸してあげる。歩きにくい道は支えてくれる。
だからこその12年間。愛おしいほど眩しい12年間。

物語そのものよりも、職業病的な目線で見てしまったのが悲しいとこですけど。
(ちょうどその日、施設長とGHに関する法改正のことでタイムリーに話してたので、福祉熱が高まってたのもある)

ガンとアルツハイマーなんてなくとも、夫婦ふたりの愛そのものが愛おしかった。
アルツハイマーが進行して、旦那の居ない間に便失禁した八重子がそれを隠そうと大好きだった花の鉢をわるんだよね。そういうところも愛おしいんだけど、それをみた夫がまず、『母さんごめんね。ごめんね』ってずっと謝る。
こういうところがつねに愛おしく観ちゃう映画だったな。

でも泣けたのは、父にぶたれた娘が落ち込んでるところに、娘婿が声をかけるシーンだったり。
教え子だったサキさんが、男先生と女先生のためにいま何をしているか話すシーンだったり。
孫息子の授業参観の作文だったり。
号泣ってほどではなかったけど、夫婦に関わる色んな人たちの、夫婦への思いを知った時にちょこちょこ泣けたな。

でも、映画そのものの作りが雑でちょっとおこです。冒頭とラスト、気に入らない。気に入らないよ~。萩市の素敵な景色がふんだんに使われてるのに、どうしてあんな感じになるの…
《2017年52本目》
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(2017.12.1 飯田橋ギンレイホール)
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