照射されたものたちの作品情報・感想・評価

照射されたものたち2020年製作の映画)

Irradiated

製作国:

上映時間:88分

3.3

「照射されたものたち」に投稿された感想・評価

mappii

mappiiの感想・評価

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なんで三分割にしたんだろうって思うけど、時たま流れる悲惨すぎる記録映像に、目を逸らす暇すら与えてくれない。
歴史としてしか知ることはできないけど、やっぱり忘れてはならない人類の記憶。

被害者・加害者の目線両方からナレーションを入れられてたのも印象的。
お互いに何が起きているのか知ることもできない。加害者と思わせて、加害者もまた被害者だって気付かせる。
[自慰行為による戦争被害者記録の蹂躙] 0点

初リティ・パン。全ての戦争の記録及び戦争被害者の記録は後年の自称"芸術家"による自慰行為に消費されるために保存されたものではない。この時代に三画面出してくる神経も、それを"アベル・ガンスですよね?"と指摘させたい感じも、白塗りのダンサー(山海塾?)を出してくるのも、それに"ヒバクシャ"を押し付けるのも全く理解できない。山海塾は"日本的なもの"として"ヒバクシャ"を押し付けているのか、それとも単に白いからなのか、監督が気に入ったからなのかは知らんが、どっちの文脈も完全無視してるのが終わってる。『ある夏の記録』に帰結を丸投げするのもセコすぎる。誰かこいつに映画製作をヤメさせてくれ…

延々と残虐な記録を見せられると心が麻痺してくるのが怖い。それが狙いなら成功はしてるが、麻痺させてどうする。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.0
【3画面に刻む記憶】
第70回ベルリン国際映画祭でドキュメンタリー賞を獲った『照射されたものたち』を第21回東京フィルメックスで観た。リティ・パンと言えば、『消えた画 クメール・ルージュの真実』でポル・ポト政権による虐殺を土人形を用いて再現するユニークな手法で有名である。そんな彼が今回、3画面という手法を用いて広島、長崎の原爆投下、ナチスのホロコースト、カンボジアのポル・ポト政権下の虐殺を描いた意欲作である。これが厄介な作品であった。

3画面の中に、広島、長崎原爆投下後の街並みが映し出される。かつてアベル・ガンスは『ナポレオン』の中で3画面という手法を用いてスペクタクルを表現していたが、3画面とも同じ風景が投影される。映画とは一回性の現実を複製できる存在だ。複製できることは、痛みをアーカイブすることであり、痛くも未来にその痛みを伝える役割がある。それを強調するために3画面を使ったと思えるこの演出に驚かされる。そして自由自在画面サイズを変え、途中からナレーションで語ることを諦め、観客の感性に全て委ね始める。回転するネズミ、宝石のように煌めくDNA配列と思しき画、太陽か爆発かそれとも瞳なのか判別し難い代物を観客に突きつけてくる。ヴェルナー・ヘルツォークやテレンス・マリックのようなスピリチュアルに包まれた本作には圧倒される。コラージュ映画として面白いのだが、同時に同祭上映の『平静』でのワンシーンのように、「これは映画館で上映する意味はあるのか?」という疑問が湧いてくる。東京都写真美術館や森美術館で上映すればいいのではないだろうか?3画面で何かを語ろうとするのは、数年前に森美術館でのインスタレーションで目撃しているだけに、本作は第70回ベルリン国際映画祭の受賞を意識し過ぎた作品に思えた。
Terrra

Terrraの感想・評価

-
カンボジアのクメール・ルージュによる虐殺、広島/長崎の原爆投下、ナチのホロコースト、ベトナム戦争の大量爆撃…世界の戦争による暴力の歴史を生々しく惨たらしい映像のモンタージュで俯瞰する。
横長の3画面分割スクリーンへの投影は観客が視線を外すことを許さず、人類が繰り返す愚かさを注視せよと強要してくる。
7年前の『消えた画』では写真のモンタージュと土人形を使って自国の虐殺の記憶を自己セラピーの如くナイーブに表現したリティー・パン監督。本作は白塗りの舞踏や乱暴なジャン・ルーシュの引用など解せないところも多々あるものの、きな臭さ立ち込める世界に対してもう後がないと言わんばかりの悲痛な叫びを感じた。
milagros

milagrosの感想・評価

3.5
三面分割が単なる欲張りにみえてしまう。慎み深さがまるでないように思う。ぜんぶ等価にされた悲劇はつらい。
果たして効果的だったかどうかはさておき、アベル・ガンスがナポレオンで使ったようなポリヴィジョンとか原爆投下後の広島の上に亡霊のようなコラージュを施していた点とか、表現に面白い部分がそこそこあったのは良かった。

でも消えた画もそうだったんだけど、切実であろうリティ・パンの主張に反して描写や語り口が淡々としているから途中で少し眠気を覚えるくらい辟易ともしてしまった。
カオチ

カオチの感想・評価

3.0
スクリーンを三分割して映し出す事により恐ろしさ、惨たらしさが増強されていた様に思う
ベルリン天使の詩の天使が掛け合いをしてる様な第三者目線のナレーションと最後のメッセージが良い
凛

凛の感想・評価

3.8
第21回東京フィルメックスで鑑賞。

カンボジアのクメール・ルージュの生き残りのリティ・パン監督のドキュメンタリー。
広島・長崎の原爆投下、ナチスのホロコースト、ベトナム戦争の爆撃、ポル・ポト政権下の虐殺など、20世紀に人類が経験した戦争による暴力の歴史を様々な映像を駆使して描く。
自らもトラウマがあり、こうした負の体験をした人達の傷が癒えることは無い。

かなり残酷な写真や映像があるのでTVでは見ることが出来ない目を覆うような真実が広がっている。
天災ではなく全て人の手によるもの。
そして繰り返される恐れがあるもの。
今を生きる私達が負の連鎖を止めなければいけない。

外国人監督がこうして日本の原爆の悲劇を語り継いてくれるのはありがたい。
広島出身のダンサーが印象的に登場し死のイメージを膨らませる。
たむ

たむの感想・評価

4.1
『消えた画』以来、マストで鑑賞しなければ、と思っているリティ・パン監督の新作です。
なので個人的には今年のフィルメックスのハイライトです。

クメール・ルージュから生き残ったこの監督は、ドキュメンタリー作家となり、明確な目的のもと映画を撮り続けています。
ここがホロコーストから生き残ったロマン・ポランスキー監督とのちがいかもしれません。
『消えた画』では土人形を使って心理療法的な手法でクメール・ルージュを描きましたが、本作はホロコースト、原爆、クメール・ルージュなど20世紀の人類の蛮行の記録映像をモンタージュします。
目を覆いたくなるような映像の数々に鎮魂の舞踏と灯籠流しといった日本の伝統も使います。

パン監督がクメール・ルージュから生き残ったトラウマと目的を常に自覚して映画を作っているように感じられるのです。
だからこそ、ゴダール監督的な難解なナレーションは若干観客を混乱させますが、明確で具象となったイメージがこびりつくような映画になっていますね。
リティ・パン、見れたものではない。一昨年のフィルメックスで見た『名前のない墓』が壊滅的な酷さだったわけで、にもかかわらず本作のチケットを懲りずに押さえた自分に非がある…ような気がしないでもないけれど、ひたすら酷かった。見ていられないレベルの駄作しか撮れないのだろうか。90年以上前にガンスがやってる三分割画面を、21世期のいまになってドヤ顔で出してこれる気がしれない。

(上映題『照射されたものたち』)

2020/11/03
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