世界の作品情報・感想・評価

「世界」に投稿された感想・評価

ロラン

ロランの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

「北京から世界が見える」。グローバリズムの波の中で息ができない人々。この感覚は痛いほど分かる。

ユー・リクウァイの撮影はもちろん、ワンカット内での人物の出入り、視点のスイッチ、画面外の演出が冴え渡る。エモーショナルなカメラの動き、現実と空想を往来する演出など、アンゲロプロスに通じるものがある。

チャオ・タオが「ここではないどこかへ行きたい」と願った時にインサートされる「移動」を描くアニメーション。彼女の結婚後は、噴水が湧き上がるのを合図に、ウェディングドレスを着た舞台上に雪が降る。

彼女が知り合ったロシア人労働者との交流、言葉の通じない二人が同じ歌を口ずさみ、ふと再会して涙を流す。そのシークエンスでの廊下や遠景で飛行機が横切る屋上のショットも忘れ難い。嫉妬深い男が恋人の前で服に火を点ける場面は、リヴェットの『狂気の愛』でジャン=ピエール・カルフォンが服を切り裂く場面を思い出した。

チャオ・タオは北京という都会を「信じている」人物として描写されるけど、ロシア人の友人と再会して以後、表情が空ろになる。作品を貫くスコアといい、映画自体にもその根底に悲しみがあると思う。だからこそ、文字通り呼吸を失うラストには、画面の暗さも相まって何とも言い難い気持ちになる。このラストの台詞は、北野武の『キッズ・リターン』と同じだけど、最終的に死が横たわる本作には希望が見えない。
人生で好きな映画と言われたらあげる作品の一つ。

狭い北京でミニチュアの世界を通して人を描く作品。何がと言われると言葉にできないんだけど、兎に角人が生きていることをちゃんと描いていると思える佳作。些細な事にも人は希望を感じられる、それが砂一粒みたいなものであっても。

終演後最初に思ったこと
「他の作品よりチャオ・タオが綺麗だわぁ…」
ジャ・ジャンクー監督の極彩色映画。
また、実写映像の合間にアニメ場面を挟むなど、やや実験的要素も感じられる作品になっている。

ダンサーらしき役で登場するチャオ・タオが、いつになく色っぽい。

「世界公園」という実在のテーマパークを舞台に、さまざまな人間模様が描かれている。

ジャ・ジャンクー監督の佳作。
世界のサイズは十人十色。サイズに自分を合わせるか、自分にサイズを合わせるか。

世界40ヵ国109ヶ所の観光名所を1/10のスケールで再現したミニチュアパーク「北京世界公園」で繰り広げされる群像劇。自分の身の丈に合った世界を探し求めて、若者は今日も奮闘する。

感情の増幅、背景の収縮、音楽の強弱にメリハリをもたせることで、世界の不安定さを際立たせるところに監督の技巧を感じた。
kkcckkcc

kkcckkccの感想・評価

4.4
おおらかなのか雑なのか、確信犯か天然か、、わからないけどこれは大成功。すごい飛び道具。

このレビューはネタバレを含みます

「北京から出ないで世界を回ろう」
大都市北京の中の、小さな「世界」。
そこに見えるのは、驚くほど狭く矮小な人間たち。どんなにこの世が広くとも、見ることのできるのは、自分と関わりのある、自分の中にあるものだけだ。
北京から出て行く者たち。彼らには世界はもしかしたら広く感じられるかもしれない。しかし、北京から一歩も出ない人間の世界は、生活でしかない。関係に縛られ、秩序に締め付けられ、狭い世界で「世界」を演じる。控え室は狭い地下にある。
そこにいる人々の目にはもはやピラミッドもビッグベンもハリボテでしかなく、一番高いエッフェル塔から見渡せるのは、たった北京の一景でしかない。世界とは、どう足掻いても、世界を思う自分でしかない。
なぜかずっと曇りのように暗く全てに距離のある画面はいつも狭く、主人公はショウでは華やかを演じても、実際は暗く、服もあまりに地味でダサい。流れる音楽は伝統のものに電子音を混ぜ込み馴染まない異質な混沌としたもので、時折挟まれるまるで無意味のアニメーションも登場する人々の目も行動も生活も、どれもが暗く苦しく狭い。
それは作者の思いとか本音というよりも、そのまま自分たちの今の状況そのものがただ表出しているだけのように思える。あらゆる空想性とその破壊がリアルだ。
ジャ・ジャンクー、ベスト3の1つ。
北京世界公園を舞台にした人間交差点。

作られた世界のあちらこちらで、それぞれの人生を生きている人たち。
漠然とした目標は、虚構と不安と悪い意味での諦念の波に飲み込まれてしまうだけ…
決断する勇気がある者だけが、この世界を上空から見下ろしながら、今いる世界と外の世界を行き来できる。
時に人の心は、青い空や降り注ぐ太陽の光や潮の香りなどからだけでなく、点滅する都会のネオンや微かな月明かりやさびれた中華屋の排気口からの匂いからだって希望を見い出すことができる。
HAL2016

HAL2016の感想・評価

3.4
映像は流石に綺麗です。世界は広いようで狭い。人の心の中=世界?
87

87の感想・評価

4.0
好きなんだけど、上手く良さを伝えられないのでとりあえず見てほしい
tjr

tjrの感想・評価

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いくつかの閉じた世界と微かに見える外の世界。2004年当時に観てたら染みたのかもしれないが内に籠っていく感じに乗り切れなかった。建造中の柱が並ぶショットはすばらしい