現れた男の作品情報・感想・評価

「現れた男」に投稿された感想・評価

ao

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2.5
いかにもプラブダー的な世界観が展開する不条理劇だが、今回はあまり上手く行っていないように思う。前作『MIST HOTEL』がチャーミングな作品だっただけに、残念。
東京国際映画祭「アジアの未来」の1本。公式パンフレットには「タイ文学界の若きカリスマ、プラープダー・ユン2本目の監督作」とあるが、彼は1973年生まれで、「若き」とは言えない感じだ。それとも、タイでの文学界では、40代でもまだ若手なのか。ともかく作家がつくった作品ということで、興味があり、観賞することにした。

物語は、かなりシュールな展開をみせる。まず若い女性がマンションのドアを開けると、そこに傷ついた男が横たわっている。部屋に戻り外部に連絡していると、男はいつのまにかリビングに入り込み、ソファに腰を下ろしている。壁にかかっているアンリ・ルソーの絵は自分が買ったものだと男は主張し始め、その他にも部屋のいろいろなものを知っていると言い出し、最後にはこの部屋は自分のものだと若い女性に強い言葉を突きつける。女性はそのうち戸惑い始め、もしやと疑心暗鬼に……。

いかにも作家が監督してつくりそうな不条理劇が展開するのだが、正直言って意匠だけの作品のような気がする。舞台も部屋のなかで、いろいろアングルに工夫はしているのだが、いかんせん映像はそれほどキレを感じさせるものではない。作家が書いた脚本の割には、内容は単調であまり面白いものではない。映像というよりも舞台にふさわしい題材ではないかと感じた。

多分バジェットなどの制約もあったのだろうが、もう少し意想外の展開も期待したが、残念ながらそれも観ることはできなかった。タイ映画のレベルがどのくらいであるのかわからないが、日本なら学生がつくる作品にさえもっと良いものがあるような気がする。とはいえタイの国情と考え合わせると、いろいろ示唆に富む表現もあるのかもしないが、そこまでの準備が自分にはなかったので、ちょっと残念ではある。
mosfilm

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1.5
プラープダー監督は小説他マルチ分野で活躍されてるんだとか。 また大好きなラッタナルアーン監督の中でも一番好きな『地球で最後のふたり』の脚本の方と言う事で期待してた作品。面白く拝見しましたが正直かなり期待はずれの作品。
オシャレな室内中心で最小限の人物って既視感ありあり。不条理劇のテンプレートというか古今東西の新人映像作家さんが既に何度も作ってますよね。
新人映像作家とはいえプラープダー監督って40超えてるんだからもう少しヒネリというか意外性ある展開出来なかったのかなぁ?
りす

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2.8
2017年271本目、劇場95本目の鑑賞

東京国際映画祭にて鑑賞
タイ映画

あらすじ
いつも通りの朝を送る主人公の女性
しかし、1人の血だらけの男を目撃して実態は一変するのだった‥


シチュエーションスリラー作品
こういう低予算ながらのアイディア勝負の作品を私は好き
ただ、今作に関して言えば短い尺ながら長く感じてしまった
会話劇の中で、中々話が進行しないことに苛立ちというか間延びというか、そういったものをおぼえたのだろう

良い点は監督の国歌の使い方
見事な程のユーモア

今後も期待できる監督のように思える
Vega

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3.6
プラープダー・ユンの小説がポップな文体の中に政治性を孕んでいるように、本作もまたタイの社会事情とは切り離せないのだろう。政治的メッセージを前景に置くというより冷たい空気のように漂っている。
Q&Aで、ご本人いわく、国歌が流れるシーンにはちょっとしたユーモアもあるよと。なるほどかなり冷笑的、皮肉が効いてる。
けっこう面白かったよ!



プラープダーさんめためたチャーミングな人だった!
小説も映画も作品楽しみにしてるよってお伝えしたら「よろしくよろしく〜」ゆーてた。
題材は斬新で、面白い演出もあり、観る価値が十分ある作品ではあると思った。それでも何かが足りないとも強く感じる。具体的には、、、

①文明が見えてこない。仮にあえて原始的な争いを見せていたのであっても、何かしらの方法で下界の発達した文明を強調して対比させることは必要に感じる。低予算のためにロケは厳しいとしても、例えばインターネットを絡めるとか、何かしらの処置は可能だったはず。スマホをもう少し有効活用できそう(電話機能しか使っていなかった)。

②登場人物を誘導する仕掛けが甘いのも気になる。「一方が動けない」という設定を長く引きずったのが原因なのだろうけれども、所有の証明のくだりが平坦。三つの証明に難易度的な位置付け(もしくはそれに相当する仕掛け)があれば、さらに切迫感のある展開に導けたのでは。

④異性という設定があまり有効に活用されていないように感じる。せっかく可愛い女優を使っているのだから、もっと何かがあれば良かった(決していやらしい意味ではなくて)。

次回作が気になるので、またこの監督の作品を映画祭で上映してほしい。また、本作とは関係ないが、東京で東南アジア映画の特集上映を定期的に行ってほしい。
冒頭からすでに心配だったが、予感が的中。ダメ押しの国歌。顔のアップがひたすら繰り返され、後景も活きない。人物をとって家を撮らない。「場」が重要なんじゃないの……。その所有をめぐる話だし。
Kimura

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5.0
ふじこAふじおみたい。プラープダーの短編ぽい。第1作目よりは全然いいと思う。

2018/8
2回目@バンコク。
1回目の印象と大分違うのだけど藤子不二雄的な不条理ものでは決してなく、タイの政治の話なのだよな。自分がどっち側かというのは問題ではなくらどちら側にもなるしどちらも自分の正義だし。ある時間に向かって進んでいきそこで刺し違えても何度でも蘇るゾンビどもは全然笑えなく自分のことであるのだ。
でもあの窓から見える建物の意味が分からないおれ☆1つ。
小説家として知られるプラーブダー・ユンが監督した映画はアイデンティティーに関するものだった

ノイジーな音楽に合わせて黒いビルがこれ見よがしに映された冒頭のシーンから既に惹かれたのだけど、その次のシーンで男の背中にピントが合ってなかったり主人公の女以外最初顔が見えなくなっていたり電話相手の声が聞こえないようになっていたりと、後の展開に繋がるような描写を丁寧にかつミステリアスに映していて、映画監督として優れた手腕を持っているなと唸った

想像力で描かれたルソーの蛇使いの女から着想を得た話の内容も、見ていたら主人公の女と男がどういう関係かなんとなくわかったものの、文学的な問いや幻想的な演出のおかげで最後まで見入ってしまい、若干世にも奇妙な物語臭のする話でも語り口でこうも魅力的になるかと感嘆した

BGMが途中からルソーの絵のように熱帯雨林チックになるような細やかながらハッとさせられる演出も多々あって、もし劇場公開されたらもう一度見たい作品
タイ映画初めてだけど、女優さん美しい!
話はどう解釈すればいいのか難しかった。
当たり前だと思ってることは実は当たり前じゃない、そういうことなのかなあ。
この監督の1作目、見てみたい
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