社会のダストダス

ミアとホワイトライオン 奇跡の1300⽇の社会のダストダスのレビュー・感想・評価

4.1
上映館が少ないから観に行くタイミングが難しかったけど、これは観に行って良かった。
ライオンって飼育下ならあんなに人に懐くものなのか。ムツゴロウさんですらライオンに指を喰われちゃったことがあるから、観ているあいだ謎にヒヤヒヤと緊張していた。
CGなしで人間と本物のライオンを映した映像に、喰われないでと思いながらも食い入るように観入ってしまった。

実際に3年以上の時間をかけて撮影された映画。人間が抱っこできるサイズだったチャーリーが3年で百獣の王たる立派なライオンに成長するのも驚きだし、11歳からミアを演じたダニア・デ・ヴィラーズちゃんも3年で立派な女性に成長、成長期ってすごい。

我が家にもかつて猫がいたことがあり、私は大の猫好き。猫という生き物は、この世でエル・ファニングの次に尊く美しい存在だと考えている。
うちの猫氏は元々野良だったこともあり野性味が激しく、寝込みをよく襲われたため悲鳴と鮮血が絶えない日々だった。うちの猫氏もよく、机の上に飛び乗って物をよく散らかしたけど、ライオンがやったら災害みたいな事態になる。サイズが違っても同じネコ科なんだなと思う瞬間もあって面白い。

猫のサイズでもじゃれ合えば人に怪我をさせることもあるのだから、ライオンのサイズになれば例え向こうに殺る気が無くても、人間にはひとたまりもない。人間よりも成長速度が速いライオンと触れ合う中でミアも生傷が増えていく。どんなに仲良くなっても人間とライオンが同じ囲いの中で生活をしていくのは大きなリスクが伴っていく。ミアは両親との約束を破ったこともあり、チャーリーは売りに出されることが決まる。
ミアとチャーリーは野生保護区に逃避行をする。

メラニー・ロランが出てるんだくらいの認識とジャケットや簡単なあらすじから、ミアとチャーリーがハクナマタタを歌いながら野生保護区に向かうロードムービーなのかと思ったら、全然違った。誰もが知るライオンという生き物が絶滅の危機に瀕しているという現実、背景にある南アフリカの社会問題を絡めたドキュメンタリー的意義も持った作品。

100年前に100万頭いたライオンは、現在では2万頭までに減少。そのうちホワイトライオンの個体数は300ほどだそう。この映画の存在自体も一つの奇跡に思えてくる。
やはりライオンは大自然の中で生きるのが一番だと思う一方、野生下のホワイトライオンは狩りの際、得物に見つかり易く不利になり、餓死するケースが多いとWikipediaさんには書いてあったので、チャーリーにとってはどちらが幸せなんだろうとも考える。