三樹夫さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

人斬り(1969年製作の映画)

4.0

製作フジテレビと勝プロ、監督五社英雄、脚本橋本忍、出演勝新、仲代、石原裕次郎、三島由紀夫、倍賞美津子とハチャメチャな座組で作られた、使い捨てにされる野良犬の悲哀。橋本忍の重厚な脚本に五社英雄のケレン味>>続きを読む

白昼の死角(1979年製作の映画)

3.2

東大きっての天才が経済犯罪に手を染め悪の道を突っ走っていくピカレスクロマン映画。キャッチコピーは「狼は生きろ、豚は死ね」と、プロットとキャッチコピー共に威勢よくギラつきまくっているが、実際に主人公たち>>続きを読む

カリートの道(1993年製作の映画)

3.9

『スカーフェイス』のトニー・モンタナ先生がもし生き残って刑務所から出所したらみたいな『スカーフェイス』のかもしれない続編とでもいうような作品。『スカーフェイス』はド底辺の何も持たないキューバ移民が麻薬>>続きを読む

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(1984年製作の映画)

4.0

私が観たのは本編229分のバージョン。禁酒法時代のギャングの少年期から老年までの4時間近い超大作の一大抒情詩。ただしギャング要素は結構少なくて、『スタンド・バイ・ミー』の一番幸せだった少年時代とその後>>続きを読む

全身小説家(1994年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

井上光晴の晩年に密着したドキュメンタリー。井上光晴のワークショップや講演に密着し、ワークショップの生徒から井上光晴の人となりが語られ、観ている我々も井上光晴について、何歳の女性だろうが手当たり次第に手>>続きを読む

アイリッシュマン(2019年製作の映画)

4.0

トラック組合のいち運転手からマフィアの殺し屋まで上り詰めた主人公の一大絵巻。デニーロ、ジョー・ペシ、パチーノとマフィア俳優大集合で、特に60年代70年代はすべての事柄の裏にはマフィアありの、3時間半に>>続きを読む

機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ベイブリッジにて爆発が発生。どうやら自衛隊の戦闘機による空爆の仕業と思われたが、後藤と南雲の元に荒川と名乗る怪しいおっさんが現れ、今回の事件は自衛隊機に見せかけて米軍機の仕業であり、平和ボケした日本を>>続きを読む

グラン・プリ(1966年製作の映画)

3.9

車で激走大好きのフランケンハイマーが放つ血が沸騰するようなカーレース映画。OVERTUREの後、劇伴が消えエンジン音だけが響く骨太な始まり方。ヘリからの空撮や車載カメラを駆使した迫力満点のカーレースシ>>続きを読む

ジャッカルの日(1973年製作の映画)

4.1

アルジェリアを解放したシャルル・ド・ゴール大統領を暗殺する為に過激派右翼軍事組織OASは国籍も正体も不明のプロの殺し屋を雇った。一方フランス政府側も情報をキャッチし、殺し屋VSフランス政府の戦いが描か>>続きを読む

戦国自衛隊(1979年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

自衛隊の一個小隊が戦国時代へとタイムスリップ。現代に戻るには歴史に全くないことをすれば、歴史の揺り戻しにより現代に戻れるのではないかと考え、長尾景虎(上杉謙信)と手を組み現代兵器を駆使して天下を取ろう>>続きを読む

皇帝のいない八月(1978年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

自衛隊が各地でクーデターを起こし、渡瀬恒彦率いる一個小隊は寝台列車をジャックし、車体下に爆弾を取り付け乗客を人質に東京を目指す。
メインキャストも豪華だが、太地喜和子がママで中島ゆたかがホステスという
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

3.6

クローネンバーグ相変わらずだなと安心する作品。肉体を中心とした謎近未来が舞台の話だが、クローネンバーグとしては未来はこうなるという予想ではなく、箱庭でこんな世界だったら面白いだろうなみたいな感覚の模様>>続きを読む

ハード・ターゲット(1993年製作の映画)

3.8

ヴァンダムにジョン・ウーと暑苦しい2人が合体してできた花火大会のような映画。監督はこれが初ハリウッドのジョン・ウー、製作総指揮にサム・ライミ、出演はロン毛オールバックのヴァンダム、ランス・ヘンリクセン>>続きを読む

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

まどかが魔法少女になって戦い、目覚め、学校に行き、転校生ほむらが紹介される、テレビ版第一話と同じ始まり方をする。何かがおかしい。テレビ版のラストでまどかは神のような存在となり、実在としては消滅したので>>続きを読む

君よ憤怒の河を渉れ(1976年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

角川映画かと思ったら松竹映画という映画。主演は東映の高倉健でプロデューサーは大映の永田ラッパという、色々ごちゃまぜの闇鍋感があふれる。
冒頭、強姦強盗の証言を受け逮捕される主人公の検事。なぜあの夫婦は
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

3.1

ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキで、それぞれの乗客とタクシードライバーのやり取りを通した悲喜こもごもの人間模様の5編からなるオムニバス映画。低賃金労働者や黒人、移民、視覚障碍者、キ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

3.8

冒頭『2001年宇宙の旅』のパロディがあり、女性は母親になることしか許されなかったのが、あなたは何でもなれるというようにこの映画は始まる。バービーランドには医者や大統領のバービーがおり、あなたは何にで>>続きを読む

ルーキー(1990年製作の映画)

3.0

80年代的なアクションとイーストウッドが合体してよく分からないものになった1990年のイーストウッド監督作品。話はベテランの頑固ジジイ刑事と若手の刑事がコンビを組んで捜査するという、対照的な二人がコン>>続きを読む

インファナル・アフェア(2002年製作の映画)

4.0

警察は潜入者をマフィアに送り込み、一方でマフィアも警察に潜入者を送り込んでいた。両陣営で犬は誰なのかと探り合いになる潜入捜査もの。THEエンタメという方向で作られた映画でエンタメ度の高い娯楽作品になっ>>続きを読む

ダーティハリー5(1988年製作の映画)

3.2

『ダーティハリー』のDVDの特典に、ダーティハリーシリーズは右と左に揺れる作品と解説されていた。1作目の『ダーティハリー』はクズに人権はねぇと権利も読まず撃ち殺す右な作品、一転して『ダーティハリー2』>>続きを読む

推定無罪(1990年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

主人公の同僚の女性検事補キャロリンがレイプされ殺害される事件が発生。選挙活動しか頭にない上司から担当を命じられ調査を進めるが、実は主人公は殺されたキャロリンと不倫関係にあった上に未練タラタラだった。悪>>続きを読む

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.8

トム・クルーズのハードアクション挑戦シリーズ。ジャッキー化がもはや止まらず、クライマックスでは『ポリス・ストーリー3』みたいなことやりだして、挙句実写で『ルパン三世 カリオストロの城』をやりだすという>>続きを読む

人生スイッチ(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

6つの話からなるオムニバス映画。それぞれの話のクオリティーが高く、意地の悪い話ばかりなのが性格の悪さを感じられてよい。

「おかえし」
飛行機に乗っている人全員がガブリエルという男と何らかの関りがあり
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.2

映画自体は劇場で観ていたが、最近やっとNHKのドキュメンタリーを観たのでそれ込みでのレビュー。NHKのドキュメンタリーはこの映画の主にアクション場面の撮影にフォーカスしていたが観終わると、庵野秀明の監>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.7

いわくつきの修道院で少年が悪魔に憑かれ、バチカンよりエクソシストが派遣される。ただこのエクソシストが、呪文唱えるより悪魔ぶん殴った方が早いんじゃねというような異様にガタイのいいおっさん。演じるはラッセ>>続きを読む

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

4.2

シュワ、『ゴッドファーザー PART III』のパチーノと肩を並べる3大洋画角刈り主人公のひとつ。主人公ではないが『ビッグ・リボウスキ』や『マインドハンター』にも角刈りのおっさんが出てくる。洋画の角刈>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

今作は前作『風立ちぬ』とかなり近しい、これまでアニメを作ってきた宮崎駿の話となっている。『風立ちぬ』では主人公が完全に宮崎駿で、アニメ作りを飛行機作りに置き換えて、私は堀越二郎のような人間という宮崎駿>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

3.8

『X エックス』の殺人ババアの若き日を描く前日譚。何故あのようなババアが生まれるに至ったかというのを、脚本にミア・ゴスも参加して、鼻水垂らす熱演までしてという気合の入れようで作られたミア・ゴスのアイド>>続きを読む

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

3.9

1984年の東独で、反体制の疑いのある劇作家の監視の任を受けた主人公が、盗聴していくうちに劇作家に共鳴していくという話。主人公は東独のKGBみたいな組織シュタージの大尉なのだが、真面目さゆえの邪心なき>>続きを読む

キクロプス CYCLOPS(1987年製作の映画)

2.5

80年代にスプラッターの隆盛を受けて作られた日本産スプラッター作品の一つ。ある意味早すぎた『マリグナント』と言えるかもしれない。スプラッターは本編52分あるうちのラスト10分に全振りで、エレベーターの>>続きを読む

新仁義なき戦い(1974年製作の映画)

4.2

仁義なき戦いシリーズは大ヒットを記録。柳の下にドジョウは2匹も3匹もいるが社是の東映は、なんと『完結編』を公開したその年に本作を公開、1作目の『仁義なき戦い』から約2年でストーリーが基本同じの本作を公>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

前作に引き続き相変わらず作画は最高というか凄すぎ。アメコミの絵柄がそのままアニメなっている上に、世界観を表したタッチ異なる背景に、それぞれ絵柄が異なったキャラが1つの画面の中に共存する情報量の多さに、>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スピードがもの凄い速いヒーローが主役程度で前知識はほぼなし、どんなストーリーかもわからん、役者は誰が出てるかもわからんぐらいの両手ぶらり戦法で観に行ったが、思ってもみない展開だったので楽しかった。思っ>>続きを読む

死霊のえじき(1985年製作の映画)

4.1

ロメロゾンビ三部作の三作目であり、なぜかイタリアンゾンビ風味が悪魔合体し、スーパーゴアシーン満載のゾンビ映画となった。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』、『ゾンビ』のゾンビ映画のヒットに触発されて制>>続きを読む

ロスト・バケーション(2016年製作の映画)

3.2

メキシコの隠れスポットのビーチでサーフィンを楽しんでいた医学部の女性がサメに襲われる正統派のサメ映画。冒頭、浜辺に流れついたカメラに残されたサメに襲われる映像を地元の少年が見るところからスタート。これ>>続きを読む

シャークネード(2013年製作の映画)

2.8

もはやサメ映画の最大勢力になっているんではなかろうか奇想系サメ映画の筆頭作品。まあ奇想系というかバカ映画というか。サメ映画の王道かつ常套手段の演出は、先にサメの存在を見せておいて、サメに気付かずのんき>>続きを読む