えそじま

愛のお荷物のえそじまのレビュー・感想・評価

愛のお荷物(1955年製作の映画)
3.7
人口過密問題。
少子化が深刻の一途を辿る現代とは真逆な当時の社会情勢で、産児制限政策を推し量る大臣が家庭での妊娠速報ラッシュに右往左往するスラップスティックコメディ。

愛の結晶である子の誕生を"お荷物"扱いする、言わば生命の神秘そのものへの冒涜とも言える社会問題を川島流のユーモアで皮肉たっぷりに風刺。あわせて政府の無為無策や、揚げ足を取るのに必死で何も生み出せない野党議員もまた同じ穴の狢であるという現代となんら変わらないハリボテ政治家のお笑い構図や誇張的なマスコミ、婚姻前の計画妊娠を悪徳とする親世代からの抑圧という普遍的なテーマも描かれている。


テンポ良く素早い伏線回収でとても見やすい。


「今は水爆の時代ですよ?ピカッと光ってドン!これだけでみんな死んじゃいますからね!結婚する前に妊娠しようが後からだろうが、そんなのは大した問題ではないですよ。問題は生まれてくる赤ちゃんが平和に楽しく一生を過ごせるかってことですからね」
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