鏡の中のマヤ・デレンの作品情報・感想・評価

鏡の中のマヤ・デレン2001年製作の映画)

IM SPIEGEL DER MAYA DEREN/In the Mirror of Maya Deren

製作国:

上映時間:104分

3.8

「鏡の中のマヤ・デレン」に投稿された感想・評価

sonozy

sonozyの感想・評価

3.5
先日『午後の網目』を見た、実験/前衛映画・視覚芸術のパイオニアと言われる、マヤ・デレンのドキュメンタリー。

ダンス・カンパニーの秘書をやっていた頃、打楽器が鳴ると我慢出来ず踊りだした。
鏡が好きでよく作品のモチーフに使っていた。
小柄な身体だが、エキゾチックな容姿、ありのままのウェーブヘア、パワフルなキャラでどこにいても注目を浴びた。
ハイチで音楽、踊り、ブードゥー、トランス、シャーマン文化にハマる。
感情が激しく、怒った際に何かが乗り移ったように冷蔵庫を投げ飛ばしたこともある。
傷つきやすく、パーティー前には尻に覚醒剤を打っていた。

晩年は長年貧乏で栄養失調。お金が入っても愛猫の餌に使ってしまった。
44歳で亡くなった彼女を看取ったのは、最後の夫、18歳年下の作曲家・伊藤貞司。
彼女の遺灰は富士山が見える東京湾と太平洋の船の往来が多い海へまかれた。...etc
アバンギャルドな映画の女神の生涯に触れられました。

いつも変化の過程の途中にいる。
すべてを"何かになりつつあるもの"として見る。
何もかもが変化の途中。...
という、"女性特有の時間感覚"が私の作品の特長と、マヤは語っています。
McQ

McQの感想・評価

-
一つ一つを吟味した訳じゃないけど、これだけで一連の作品をイイトコ取りで観れるのでお得感あり。個人的には〝眉間にシワ〟の「午後の網目」よりミュージカルテイストな「変形された時間への儀礼」のがテンション上がるかも。

マヤの作品出演者が口を揃えて絶賛する〝マヤのダンス〟が見てみたかったが、台本なしで勝手に撮られると激怒するようである、、汗

彼女がかなりの曲者である事が良く分かった。しかし彼女の作品で最も絵になるのは結局のところ彼女自身ではなかろうか。素材も良いけどスタイリングがカッコいい。
☑️『鏡の中のマヤ・デレン』及び『午後の網目』『DIVINE HORSEMAN(神聖騎士)』▶️▶️
マヤ・デレンの最高作は、その作品がリリースされた頃、映画監督のキャリアをスタートして、いまや日本の映画論壇で米映画界のTOPとして評価されている、イーストウッド・スピルバーグの全作の到達点を上回る(唯一、肩を並べられる偉篇『許されざる者』を例外として)、と断言できる。『午後の網目』としてもいいが(これも、体の部位・意識・神経症・夢・追跡と反復・室内外空間・高速度撮影・図内外の傾斜・鏡・白と黒・波や土の自然・刃物・鍵・他者~自己の中の~・複製・越境を精密に組み合わせた素晴らしい傑作であるは、数十年ぶりに確認した)、それを遥かに上回る作品がある。
何年か前、古本屋で、文化人類学と映像に関する古本を手にして、マヤ・デレンの作品に多くを割いてあったことに驚いた。えっ、そんな作品が? どうも気になって、暫く後、YOU-TUBEを捜すと、あった!! そしてその年の最も感動的な映画の一本となった。官能・自然・肉体が全くズレずに一体化した宇宙があった。 映画としても、その空間・時間・対象の繋がり・拓く可能性・密度・切れ間無、驚き吸い込まれる完全レベルだ。
本作でも扱ってる、'50年代以降、ハイチで実態・共感を究めたが未完となった、ブードゥ教に関するドキュメンタリーである(彼女の死後、十数年経って、1時間弱の未完品としてリリースされた、『DIVINE HORSEMEN』として)。憑依・超越・覚醒が、人間の自然・本能・最深、集合体として描かれている。一方で、中国人の太極拳を修める仕事仲間には、自然は憑依されるものではない、統制するもの、全ての対象は無だ、と言われてたらしい。こと左様にブラッケージのいうように、芸術家は複雑そのもののひとである。愛する恋する、安らぎたい、でもそれより映画創作。だけど時代に先んじていつもファッショナブル、肢体もたくましい。いつも怒りに満ちてて、小柄なのに冷蔵庫をブン投げて皆を怯えさせたことも、しかし共同作業が得意で皆を惹き付ける。そのくせ内面は傷つきやすく、好きな檄やパフォーマンスをやるときも覚醒剤を起点とするほど、誰かが支えないといけない人なのに、芸術仲間支援の組織を立ち上げ気にかけ応援する。その為の日々の生活費にも事欠き栄養失調に。だけど、貧しいなりに存分・かつ生き生きした工夫・活力で、仲間と完璧に計算どおりでいて無限の解放に向かう映画づくりを。打楽器・ダンス、身体表現が自然にでてくる位好きなのに、それをさらに拡げる力をもつ映画はもっと好き。金もかかって大変すら、誇り。彼女に集まってきて、魅了され、引き摺られたも全く苦でもなかった人達の凄い顔ぶれ。次々に新天地へ向かう宿命・活力と故郷ウクライナへの郷愁。
そしてその根底の複雑を極めた女性性認識と芸術認識、その突き抜けてる事で感銘を自然に受け、どこかで泣きたいようないとおしい底力を感ず。「子の出産と成長、一点では計れぬ、過程が重要。変化・変容の可能性を見守り続ける事、それが女性芸術家の特質。」「女性の役割は、必要の(とされ)ない人間性を任う事」。
21C始めの作品で、多くの証言者がいまでは故人となってる貴重さ(彼女の遺灰は日本に撒かれていた事実も)以上に、インタビューの引き出し方、音源発掘、冷静で高邁もフランク・威圧感無の処理・構成力。本作自体また一級品である。デレンをその作風から、ニュー・アメリカン・シネマのパイオニアと呼ぶに抵抗があったが、改めたい。


Zuidou

Zuidouの感想・評価

4.5
「映画は世界を踊らせることが出来るの」

あまりにも素敵な答え合わせ。『夜の深み』は余計な物を取り去ってただ世界を踊らせることだけに集中した作品だった訳か。資金難という側面もかなり影響してはいるのだろうけど。マヤの書いた本が読んでみたい。日本語訳出てるのかな。探してみよう。エレアノーラ・デレンコフスキーっていう本名もとてもかっこいい。ロシア出身なのはなんだか凄く合点がいく。幼い頃身体に染み付いたロシア的な神秘性と、後年文字通り取り憑かれたようにはまり込んでいったハイチのブードゥー的思想が彼女の核。そしてそれを動かしていたのは最終的に自分自身すら燃やし尽くすことになってしまう程の激しい炎のような感情。こんな人生もあるんだ。散文は横の動きで詩は縦の動きっていう意見も面白かった。詩は積み重なって上昇していき、最も激しくなった地点で静止する、まさしく彼女の作品そのもの。
ヨシ

ヨシの感想・評価

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授業で鑑賞。
マヤ・デレンのドキュメンタリー映画。
彼女のことが知れて嬉しい
あ

あの感想・評価

4.0
映画作家の悩みは今も昔も変わらず。作品も人となりも早死にも映画界の伝説みたい。
こづ堂

こづ堂の感想・評価

2.8
ザ・芸術家と言った女性だったのですね。直情的で脆さと力強さが同居してる、一言で語るのは難しい人という印象。

身体的な表現が作品で多く見られたから、ダンサーだったという点がものすごく腑に落ちた。

初期の神秘性が鮮烈だったから、年齢を重ねていくことは苦しかったように感じた。スピリチュアルなものに傾倒したり、クスリをやっていたり、どのみち長生きはしなかっただろう。
Eriko

Erikoの感想・評価

4.0
大好きなマヤデレンについてのドキュメンタリー。映画監督になるには金銭も技術も必要で、画家や作家になるより大変っていってた。ほんとにこの時代そうだっただろうな マヤって感情的な人だったんだね
この映画のおかげでマヤ・デレンという素晴らしい映像作家を知ることができ、それだけでも感謝し尽くせない
☆☆☆

2010年1月16日 シアターイメージフォーラム/シアター1
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