エルマー・ガントリー/魅せられた男の作品情報・感想・評価

エルマー・ガントリー/魅せられた男1960年製作の映画)

ELMER GANTRY

製作国:

上映時間:145分

ジャンル:

3.8

「エルマー・ガントリー/魅せられた男」に投稿された感想・評価

バートランカスターという俳優が好きです。監督に好かれ名画に恵まれた人でした。地上より永遠にに出ていますし、フランケンハイマーやアルドリッチの男臭さを体現しました。かと思えばヴィスコンティにも招聘されました。

美男といえば美男ですが、線は太い人です。野太いというほうが適切です。裕福な印象はありませんが、何でも対処できる甲斐性があり、善人ですが悪人の知り合いがいます。見上げるほどの偉丈夫で粗野ですが、思いやりがあり賢明でもあります。

畢竟何でもできました。軍人もインディアンもガンマンも。囚人や貴族や老人にもなりました。
ここでは流浪のセールスマンでした。口から先にうまれたごとくによくしゃべります。その日暮らしですが人たらしで直向きなところもあります。ジョークを飛ばすと自分も溜まらず笑います。そのとき大きな体躯を仰向きます。デカい男が明解な大声と抑揚で語り笑いながら、身体を躍動させます。

それを見ると山猫や家族の肖像にバートランカスターを招いた故由がなんとなくにせよ呑み込めます。なぜ裕福な印象のない、土臭く荒くれな大男がイタリアの貴族を演じたのか、その細かい経緯はどこかの解説に任せるにしても、バートランカスターの出演映画を見ているとスクリーン越しとはいえバートランカスターの人間性が伝わってくるのです。
それが最も無条件に伝わってきたのがエルマーガントリーでした。

146分ですがあたかも長い叙事詩のように天と地を駆け巡ります。ドラマチックかつエモーショナルです。文化人が自己映画ベストをやるとかならず市民ケーンですが、私のばあいそこにエルマーガントリーが来ると思います。

遺作となるフィールドオブドリームズでランカスターの演じるMoonlight Grahamが跨いだら戻れないラインを跨ぐシーンがあります。そのとき、物語内の喫緊の状況と同時に、バートランカスターの役者人生が走馬灯のごとく巡るのです。私にとってあれは二重の涙でした。
Ricola

Ricolaの感想・評価

3.7
自ら偽善者と語る雄弁で女好きなセールスマン、エルマー・ガントリー。
彼は偶然会ったある新興宗教の教祖シャロン(ジーン・シモン)に一目惚れし、彼女に近づくためだけに教団に入る。
天性の口のうまさで確固たる地位を築いていき、シャロンとの仲もうまくいくが…。


調子の良い偽善者という役柄は、バート・ランカスターにはまり役な気がする。

新興宗教がテーマになってはいるが、起承転結の型にはまった王道な流れの映画で、観やすいしわかりやすかった。

「祈りは一番手軽な薬だ」
たしかにそうかもしれない。
しかし、だからといってそれに依存してしまうのはあまりにも危険すぎる。

そしてこういった類の宗教がビジネス的なものに陥りやすいというのもよく描かれていた。

テーマがテーマだが、痛快だけど良心的なバランスのとれた作品だった。
Ridenori

Ridenoriの感想・評価

3.4
1960年のアメリカ映画。
女たらしの行商人エルマー・ガントリーがキリスト教復興運動を進めるシスターのシャロンに一目惚れ。自分もその一員としてお供をすることになり、得意の話術でその中でもトップに登り詰める。しかしそこには記者や過去の女など様々な障害が立ちはだかる・・・

最後まで忙しくて、飽きさせない映画。
舞台となっているのは1920年代のアメリカなんだけど、当時の社会風刺もうまくされているし、恋愛ドラマとしてもシンプルでよい。
そしてなによりも宗教をこんな風に真正面からド直球で扱ってるのはすごい斬新。
進化論やリバイバル運動のことについてとか色々でてくるんだけど、最後の火事のシーンから見ても「最終的にみんな人間で身勝手で人間くさい人間なのである。だからこそ神にすがるんだよね」なんてことなんじゃないでしょうか。

主演のバート・ランカスターはかっこいいんだかなんだかわからん・・・
たまに見せるニカッとした笑いが気味悪いようにも思えるけど、それは役にはすごい合ってたよなー
ジーン・シモンズ(KISSのジーン・シモンズとスペルが一文字違うだけ笑)はきれいだったけど、それ以上にアバズレ、ルル役のシャーリー・ジョーンズがかわいいっ!なんか役のわりにすれた感じじゃなかった。

アカデミー賞3部門受賞の良作
GaryKing

GaryKingの感想・評価

3.0

このレビューはネタバレを含みます

豪快な笑い声と陽気な笑顔が魅力的な男、エルマー・ガントリー。賛美歌(マタイ4章5~10節に基づく)に引き寄せられるようにテントの中へ入り一緒に歌う。

[神の家]の集会に参加するガントリー。その底抜けに派手な笑い方と振る舞いは、大衆の中で物凄く目立つ。
登壇したシスター・シャロンに一目惚れしたガントリーは、言葉巧みに近づき取り入ることに成功する。

登壇するガントリー。[救われたビジネスマン]という説教(詩編18章2節、91章2節に基づく)で、信者の心を掴み人気者となり[信仰復興は事業だ]と開き直る復興派の仲間となる。

⛪「キリスト教の始まりは13人(イエスと12使徒)からだ。キリストの事業は成功した」と言い切るところが素晴らしい。

まず[復興反対派]との闘い。復興派は讃美歌(詩編23章27節)を歌い、復興反対派は国歌を歌う中、ガントリー登壇。そしてシャロンの祈り(ローマ12章17~21節)に反対派もひざまづく。

次は[新聞社]との闘い。一見、筋道立てた理論にみえて、実は見事な論点ズラしの熱弁で勝利。

電飾キラキラの十字架を掲げた[みんなの信仰の家]を「自分の夢だったの」とうっとりと見上げるシャロン。
さらに奇跡を演出するシャロンの正体に愕然!(*_*)!見守るガントリーの哀れみの眼差しが印象的。

当然の帰結とも言える、ラストは衝撃的(((((((・・;)!

言葉で酔わせる稀代の道化ガントリー。向かう先は……何処だ!?

シンクレア・ルイスの[宗教界を徹底的に風刺した]小説が原作。
人間の持つ自由意思を[ねじ伏せる力]への抵抗、マスコミ批判、思想弾圧への不満など、タブーへの挑戦を結実させた作品の映像化。
ガントリーを演じたバート・ランカスターの熱演に拍手!(*^O^*)!
犬

犬の感想・評価

3.8


口達者なセールスマン、エルマー・ガントリー
女宣教師のシャロンに惚れ、彼女の活動を手伝うことに
そんなある日、伝道活動で訪れた街で、かつて彼に弄ばれたあげくに娼婦となった女ルルと再開し....

ノーベル賞作家シンクレア・ルイスの原作を、リチャード・ブルックスが自ら脚色・監督し、ある野望に燃える1人の男を描いたドラマ

意外と面白かった

基本的には十字架の映画

ただ、ストーリー自体は見応えあり
ラストはスゴい展開に

冒頭にもありますが、これは問題作
いろいろ問題発言が

布教活動はビジネスなのか⁉︎
奇跡は事実なのか⁉︎

賛美歌が印象的だった

そして、何と言ってもバート・ランカスター
テンションがすんごい高い
美声も聴けます
あと、シャーリー・ジョーンズ

やっぱり悪い女性には用心しないと
宗教を正面から取り上げながら、そのメッセージ性よりも人間臭さに重きを置いた作品と私には思える。あまりにストーリーの浮き沈みが激しく最後まで息を抜けないが、結局のところどんな場面でも首尾一貫しているバート・ランカスターの楽天主義に救われる。
mikoyan358

mikoyan358の感想・評価

2.0
2011/6/14鑑賞(鑑賞メーターより転載)
美しい女性伝道師へ近づきたいがために布教活動にのめりこんで行ったセールスマンが迎える、波乱万丈すぎる人生。宗教というテーマがあるが、それ自体よりもエルマーという人物のだらしなさと一途さという人間臭い部分を、宗教の持つ崇高さと対比させるように描いている。ただ、個人的にこのエルマーの理念や責任を取らない行動、そして伝道師の現実離れした考え方についていけず共感がまるで出来なかったのが残念。神がかったようなバート・ランカスターの暑苦しい演技、ジーン・シモンズの思わず視線が止まる美貌は素晴らしかったが...
Yuya

Yuyaの感想・評価

5.0
We remain a young nation, but in the words of Scripture, the time has come to set aside childish things

つい数年前もオバマさんが引用した一節だけど 本作のラストでも強烈に用いられ これほどまでに現代アメリカ そして資本主義の原点を 際どく的確に捉えてる映画って 他にないんじゃ…?

キリスト教を僅かでもかじってれば 福音派や復興運動の やや盲信的な部分を垣間見る事になるし
何より セールスマンや移動サーカス 果ては映画の原点さえもまた 聖書販売や布教活動から始まってる事実を踏まえて観れば この恐るべきトリックと突きつめた真意に 驚愕しないはずがない気がする

バート・ランカスターとジーン・シモンズの対比もまた ホント象徴的過ぎて 物語の説得力に拍車をかけてたなぁ
神に心酔して語る者と 神を雄弁に語る自分に心酔する者 しかしつまりは神を語る事自体がナンセンスというか 例えばひとつの結果に対し 何処までを神の意志と捉えるかなんて 結局はただのエゴイズムのように思えてしまうんだなぁ
そりゃ ビリー・サンデーも怒るわけだけど
この人も見事に この映画を体現するような運命に堕ちてったしさ

本当に不思議なもんで
聖書を売り歩き 街から街へと 阿漕なパフォーマンスを続けたアメリカ人
神社から神社へ渡り 阿漕な商売を開いて テキ屋を続けた日本人
宗教と商売と過剰な演出が密接に繋がってる両国が 共に経済大国になってるなんてね
究極の神は 究極の紙にもなるんだろうね

これ観てから続けて『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』とか攻めると わかりやすくて最高に面白いっ!
でもって ポールとマイケルの『Say Say Say』のPVに踊るとか レクター博士の教会の火事の話にほくそ笑むのもまた…
1960年?いやいや、誇張でなくまったく色褪せていない。
現代アメリカに限らず、それこそ世界中の盲信に囚われる人間の弱さと危うさを、今もなお的確に射抜く事の出来る問題作。

福音派のラジオ伝道師として成り上がる元セールスマン。
口八丁手八丁のペテン師であり、どこか本当に愛や信仰にも誠実である様にも感じさせるエルマー・ガントリー。
スコセッシのピカレスクドラマの主人公達の雛形の様な複雑な男を名優バート・ランカスターが活き活きと演じています。
堂々とした体躯と朗々と響く声を存分に活かして聴衆に演説する姿は痛快に感じさせられると共に、時に滑稽に、時に恐怖を感じるさせられる。オスカー受賞も納得の怪演。

エルマーをはじめ、主要な登場人物たちが聖俗混濁としており、単純な人間に描かれていない事が返って本作の作品としての揺るぎない普遍性の要因になっている様に思います。
エルマーのあざとい手口を看破しながら、その人間臭さに魅了される新聞記者や、一度は策略を謀りながらも情を捨てきれない娼婦(シャーリージョーンズがとっても魅惑的!!)など。
そして、人間という複雑な生きものが、いとも簡単にひとつの盲信に囚われてしまう恐ろしさ、容易さもしっかり描いており、今も変わらないアメリカの姿や、現代の我々の姿を思い起こさせられ、背筋が寒くなります。

最後のエルマーの台詞。
私たちが子供の様に考えるのを止める事が出来るのは、いったい何時になるのだろうか?
「どうして聖書の厳しい文言ばかりに目を向けてしまうのかしらね」



1920年代、キリスト教原理主義を理想とするシスター(っていうか教祖)に惚れた一人の男が、教団内で成り上がり人気者として有名になっていくが...という話

バート・ランカスターがマジ大好きなので、オスカーを個人で獲った本作をチェックした

やはりカリスマ伝道師、加えて調子の良いセールスマンを見事に演じていたけれど、それ以上に助演の娼婦・ルル役の女優が余りにも上手かった
かつては自分を弄んだ男、それでも憎みきれないジレンマ...



近年のイギリスやフランス、ロシアなどで勃発している、イスラム過激派によるテロとか、信仰心の引き起こす暴走が未だ無くならない哀しさを改めて実感

地味ながらも、かなり傑作だと思う
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