群衆の中の一つの顔の作品情報・感想・評価

「群衆の中の一つの顔」に投稿された感想・評価

『群衆の中の一つの顔』というラジオ番組の女性プロデューサーが拘置所を取材
そこで出会った謎のカリスマ性を持つ男を番組でフィーチャーしたところ、次第に彼は人気者になっていくのだが...

いかにも自分が好きそうな題材だと思って観たら、本当にそのまんまで満足度が高い
『ネットワーク』『ジョーカー』『キング・オブ・コメディ』の系譜

あんまりにもオーバーで暑苦しい主演のギラギラした芝居も、徐々に慣れてくる
エリア・カザンだから『欲望という名の電車』のスタンリーに近いキャラだと思った

アメリカ人はこの映画の事をドナルド・トランプ出現の予言と捉えている人が多いけれど、私は日本のアイドルがSNSで誤爆したり裏アカが発覚するのと近い感じがした
lemmon

lemmonの感想・評価

3.7
マーシャ、マーシャまろ、マシュマロちゃん。


留置所から出発し、ラジオスター、TVスターを経て政治世界に足を突っ込む。

民衆を大切にしていた男が、徐々に民衆を馬鹿にし始める。民衆もバガだし、彼もバカ。が、民衆は頭も良い。


自分もだが、表に立つのって、結構面倒臭い。なら近いことを言うやつに代わりに代弁してもらおう、ただそれだけ。だから誰でもいいのだ。だから、すぐに忘れる。


根拠のない才能のないカリスマ性は周りがいてこそ。
とってもバカバカしく、わかっちゃいるけど物語をカザンはエンターテイメント作品としてまとめ上げている。


ラストを見よ。才能に苦悩した挙句の末路。。。なんてドラマ、彼には起きないのだ。



でもなあ、嫌いじゃないよ。
アンディグリフィスはお顔立ちもなんか憎めない。歌も情熱的。
この系統の映画だと周りが利用するとか、そういった目立った悪役が出てきたりするが、本作はいない。ただ主人公が登って落ちただけ。


なかなかでした!

このレビューはネタバレを含みます

監督はエリア・カザン。脚本は名作「殴られる男」の原作や「波止場」の原案などを手掛けたバッド・シュールバーグ。撮影は14回アカデミー撮影賞にノミネートされ2回受賞したハリー・ストラダリング。スタッフだけでなく俳優もなかなか豪華だが、長くなるので割愛する。メディアの恐ろしさを描いた傑作。同時代のマスメディアの人々が主役の「成功の甘き香り」などといった作品よりもシドニー・ルメットの「ネットワーク」を思い起こさせる。話の筋自体シェイクスピア的で大変面白いがネタバレになるので割愛。演出はキレキレで撮影なども陰影が印象的で実にいい。俳優たちはどれも魅力的。当時よりも、誰でも気軽に情報を発信できる現代の方がこの作品の恐ろしさを痛感できる。社会派のイメージが付いているエリア・カザンだが、「アメリカ・アメリカ」の重厚なドラマや今作のような気持ちいいテンポの作品を見ると監督の多彩さに驚かされる。一見の価値あり。
tristana

tristanaの感想・評価

5.0
字幕ないと一ミリも台詞の中身わからなかったけど『巨人と玩具』的な大好物の話。最後のウォルターマッソーの説教も気合入りすぎ。早熟なノータリン役のリーレミック(デビュー作)も素晴らしい。
「下に参りまぁす」

ラスト15分間が衝撃だった。

それまで頂点を極めた男が一瞬にしてどん底まで転落する。その状況をあのエレベーターのシーンで見事に表現されていた。

エリア・カザン監督の『群集の中の一つの顔』はポピュリズムの恐ろしさそして脆さを描いた傑作。

この映画が観たくて観たくてどんなにソフト化されることを待ち望んだことか。

アーカンソーの田舎町の留置場からこの物語ははじまる。地元ラジオ局のインタビュー番組『群集の中の一つの顔』で取材された飲んだくれの男ローズ(演:アンディ・グリフィス)。

ふてぶてしい態度ながら魂をゆさぶるような歌声で、放送された途端、番組には大きな反響があった。

彼を取材したマーシャ(演:パトリシア・ニール)は彼の才能に可能性を感じ、番組のMCに起用する。

歌だけではなく本音をズバズバ語るローズのパーソナリティーは早速評判を呼び、あれよあれよという間に人気タレントとして爆発的な人気になる。

しかし怪しい取り巻きも増え始め、やがて彼はわがままな本性を剥き出しにしてきて……。

演じるアンディ・グリフィスの風貌がドナルド・トランプそっくりなのが興味深い。やっぱり扇動家はああいうルックスになるのだろうか。

『欲望という名の電車』『波止場』『エデンの東』に比べると知名度は低いが、内容そして演出に関してはカザン作品の中でも一、二を争うクオリティだと思う。

特に役者が良かった。グリフィスとパトリシア・ニール他、ウォルター・マッソー、リー・レミック(本作がデビュー作)、アンソニー・フランシオサといったのちの名優たちがずらりと揃っている。

何しろあのウォルター・マッソーが大人しいインテリ青年を演じているのだ。後年の粗暴なイメージからは想像できませんネ。

そして本作の真の主役であるマーシャを演じたパトリシア・ニールの演技がとにかく凄かった。

最初は冷静沈着だった女性が段々ローズに振り回され、最後は自分を見失い錯乱してしまう様が実に見事だった。

ちなみにWikipediaやFilmarksでは『群衆の中の~』として登録されているが、当時のパンフレットを正とするならば『群集の中の~』が正しいタイトルである。

■映画 DATA==========================
監督:エリア・カザン
脚本:バッド・シュールバーグ
製作:エリア・カザン
音楽:トム・グレイザー
撮影:ハリー・ストラドリング/ゲイン・レシャー
公開:1957年5月28日(米)/1957年9月14日(日)
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.5
‪「群衆の中の一つの顔」‬
‪ 遂に来たねE.カザン監督の傑作「群衆の中の一つの顔」が復刻シネマライブラリーから円盤化され届く。数々の賞を受賞した特に有名なのは波止場だと思うが本作も最高よ。08年にはアメリカ国立フィルムに登録もされた本作は現代社会を生きる我々を批判した作風。できればJ.Gのエリックの青春も発売して…。冒頭、拘置所に取材しに来た女。ギターを弾く青年、民謡、録音、人気スター…本作はE.カザンの57年映画で取材された青年が一躍有名人気者になる…と同時に性格まで変わる。これは恐ろしいよ…媒体の力、大衆迎合主義に操られた哀れな男をリアルに描いた名作で今にも通ずる一本‬
taxx

taxxの感想・評価

3.5
一田舎者の男が、メディアの主役に成り上がる。民衆を操り、魅力が魔性のように変わっていく怖さ。時代に乗ったのか飲み込まれたのか。細かい伏線等も上手くて力が溢れているような映画だった。
Yuya

Yuyaの感想・評価

4.8
発言力を影響力と勘違いしてしまった男の哀しき末路…
ちょっと見たり話を聞いたりされる事と 支持されてる事とは 全くイコールじゃない

昔と今じゃ 全くもって見方が変わるというか…
半世紀前の映画だってコトが本当に疑わしくなるほど 怖いくらい現代のアメリカ そして世相を予見してしまってる作品

その皮肉めいた過激発言でテレビの人気者になった男が 金と権力を誇示して 政局にさえ乗り出してゆく…なんてさ
なんてこった そっくりな男が大国の顔になってるじゃないかっ!

小気味好く自分達の代弁をしてくれるような男に倒錯した挙句 手の平を返して批判する群衆 そしてそんな一人だったはずの男の栄華と没落

これは もはや他人事では決してないんだろう
時代も進んだ今じゃ YouTubeにTwitterにインスタ はたまたこのような映画アプリ…発信の方法は個人でさえ無限に持っているのだ
目新しいワードや 最もらしい論理 レアなショットや 一方的な文言だけでも 誰とでも繋がれて 気軽に何気なく たとえ見てさえいなくても 指一本で安易にフォローもいいね👍も共有できるのだ
大切なのは その安易さの認識だろう
それを 発言力や影響力と思い上がってしまえば 自己顕示欲の果てには 誰もが独善的に 排他的に ファシズムにもヒトラーにも なり得てしまう なんともインスタントな時代に生きてしまっているのだから…

まぁ 情けない話 カミさんにフォロー…ついてきてもらうのにさえ 手こずってる自分には 家庭内でさえ 発言力も影響力も皆無なわけでね…
アメリカの今を予言する傑作。観ながらテレビ黎明期でありながら既にテレビの危険性と問題点を殆どブラックジョークで展開していく。今実際に起こった現象を考えるとアメリカにある普通の男信仰というのは、末恐ろしい。エリア・カザンは、赤狩りの時の影響で贖罪の映画を作り続けているような気もしますね。町山解説で行くと全部モデルがあるというのも凄い。どうしようもない薬をバイアグラのように売るところは軽快でもあり末恐ろしい。いい映画は、ある種の予言めいたものを持っている。この映画は、正に予言の映画ですね。
GATS

GATSの感想・評価

3.6
"真のアメリカ音楽は大衆から"、確かに。アメリカによらず、あらゆる流行りやファッションの大衆主義って強い。
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