第一部の映像のわずかな推移を見るように、以降の音の展開を聞かねばならならない。
一方映像に関しては、第4部と第5部の後半に至って、それぞれ戦闘と山頂での撮影を経ることで、部外者の視線だったものが、…
ソクーロフの映画として最も重要な一本だろう。ドキュメンタリーなのに同監督のフィクション映画と同じ味わいになっているのがさすがである。作家性への解像度が一気に上がる。
茫洋とした前半に比べると被写体…
【ソクーロフ、戦争の虚無】
先日、ソクーロフの6時間超え映画『精神(こころ)の声』を入手して観た。思ったより面白くもあり退屈な作品でもあった。
タジキスタンに派兵されたロシア軍を追ったドキュメンタ…
アフガニスタン国境地帯、タジキスタンに駐屯する、ロシア軍兵士たちの日常を記録スタ6時間半に及ぶビデオ撮りの作品。冒頭の、冬の山岳地帯、平原の風景をワンカットで捉える。ビデオ機能を活かした使い方に驚か…
>>続きを読むアレクサンドル・ソクーロフ監督による全5話、6時間半の戦争ドキュメンタリーです。
1991年に独立したタジキスタン共和国、92年に起きた内戦に派兵したロシア兵を追います。
素朴な顔の若者達が、ソク…
デジタルゆえに可能な30分間に及ぶフィックスショットによる無人称の光景はベックリンの「死の島」にも匹敵する不安を掻き立てる。第2話以降、砂埃まみれのレンズを通して映る荒地や岩山(この土地では近代が敗…
>>続きを読む彩度を落とした画面。も少し色味があるとうれしい。
意図的なのか、2話、3話はまるで変調されたかのような録音で驚く。
マイクの風避けが振動しただけなのかも知れないが、じつに良い。
アンビエントで、あ…
まだあどけなさが残る若いロシア兵たちが次第に虚無的な表情になっていく様が印象強い。ドストエフスキーの『死の家の記憶』を想起させる。錯覚かもしれないが戦闘時に少し元気を取り戻しているようにも見える。決…
>>続きを読む「精神の声」
本作は今まで円盤化されていなかったソクーロフ監督の5時間を超える作品で、この度紀伊国屋から発売されているDVDを購入して初鑑賞した。この作品にはモーツァルトを始め、ベートーベンやメシ…
最近のロシアによるウクライナ侵攻のニュースを見て、本作の歴史的位置付けがまた一つ変わったような気がする。鬼才、アレクサンドル・ソクーロフによる全五部構成の超絶絵巻。かなりの長尺だが全人類必見の傑作で…
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