前作『山椒大夫』から三ヶ月を待たずして溝口健二監督が完成させた作品。
京都の花街を切り盛りする母と、その生業を嫌い拒絶する娘とを中心に描かれる物語。そこで働く女性たちや出入りする客たちの人生も絡み…
この白黒映画の出だしは、気が利いている。町中(まちなか)の、ある道をカメラは俯瞰的に捉える。しかも、その道は、画面の左下から右上に斜めに抜ける構図で撮られてある。カメラの位置は、画面右下、建物の二…
>>続きを読む若干溝口っぽくない気がしなくもない。とはいえ人物の向きとポジショニングは洗練されている。特にラストは、女が死んだ同僚の妹に笑顔で話しかけたところから着物を直してもらうために体の向きを反転させて、また…
>>続きを読むストーリーはちょっと王道のきらいがあるが修羅場シーンとラストシーンに目が離せなくなるのはさすが溝口健二だとおもう
この人の映画はキャメラや人物が動いてこそかもしれない。動くことでひとつの絵巻物になっ…
人間の渦巻く感情が目まぐるしい
どうしようもなさが変わらない
人を狂わせる色恋沙汰
運命というものの余韻
生き甲斐を人に見出すことは、この人と一緒になりたい、この人のためならなんでもする、でき…
ファーストショットとラストショットの円環感が好き。
いつまでもぐるぐると、こんな人生が生まれては消え、生まれては消えるというしんどさをすごく感じた。
ただ、良いシスターフッドが香り、そんな連帯の中…
『近松物語』でも見せた部屋にかけられた着物や、人形などの美術を用いた演出がすでに本作でも見られる。
田中絹代と中村雀右衛門が並んで川の横を歩く移動ショットが素晴らしい。田中絹代がそのまま立ち止まり…
一ヶ所だけ正面からの切り返しがある。
"覗き見"の映画であるが、久我美子とのうしろに日本人形が置いてあるところ!びっくりした。
井筒屋に娘がタクシー?で帰ってくるショットから始まって最後は置き屋から…
女たちが懸命に生きているのに比べ、男どもがみんなスケベでだらしなく身勝手なのが情けない。時代が変わり世代が移りゆくともそれは変わらぬ条理なのかと思わせるラストへの持って行き方が凄い。完璧なシナリオ、…
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