ツィゴイネルワイゼンの作品情報・感想・評価 - 37ページ目

「ツィゴイネルワイゼン」に投稿された感想・評価

映画を総合芸術として、その特性を余すところなく使い切っていると思います。

1度観た限りでは、語り尽くすことは絶対に出来ない。果たして答えがあるのかも、正直わからないです。

一つだけ言えるのは、肉体によって自由を束縛された魂や想いというものが解き放たれたあの世とそれがままならぬこの世の話であるということ。

主人公青地のいかにも形式や肩書きに囚われた性格と全くそれらに囚われない親友の中砂。中砂は肉体の拘束からも逃れたいと思うような男。彼は、作曲者であるサラサーティが自ら演奏しているツィゴイネルワイゼンのレコードから聴こえるサラサーティ本人の声(既に死んでいる者の声)が一体なんと言っているかを知りたがるが、青地はさほど興味を示さないという冒頭のエピソードからもそのことが分かります。この時中砂はあの世への一歩を自ら踏み出していたのではないでしょうか。

映画は、中砂が己を肉体から解放し、肉体に縛られている親友をあの世へ誘う話であるように思われます。しかし、鈴木清順がやりたい放題自分の脳内を映像化しているような世界ですから、無理に話を追わず自分の感ずるままに映像の虜になることが1番です。わたしも今回が2度目の鑑賞。未だによく分からない…( ̄▽ ̄)

ただでさえ大正浪漫の和洋折衷な雰囲気は独特な異様さがありますが、鈴木清順監督の創り出す怪奇で妖艶な美しさが加わり、この時代そのものがあたかもあの世とこの世の境だったようにすら感じてしまうほど。

日本映画の中でも他に類を見ない傑作であると思います。
これまでただ一つ、途中で気分が悪くなって観るのをやめた映画。CSで放送されてたのをふらっと観たのだけどあまりに強烈すぎて、中学生には毒だった。
IKE8

IKE8の感想・評価

3.5
舞台的な印象
登場人物も最小限で性的描写では、少し戯けが入ったりする。基本的に「みなまで言うな」であるため、まるで絵画や前衛舞台を観ている気分になる。ハリウッドを観たい人にはオススメ出来ない。
言葉ではいいようのない不安が深夜に鑑賞していた自分を襲った。この独特な雰囲気は外国では決してつくりだせないだろう。
何とも毒々しく妖しい映画。ここで繰り広げられる話は現実なのか、誰かがみている夢なのか。生きているのか死んでいるのかさえも、わからなくなる。
こういう映画はもう作られないのかな。精神の奥底まで深く潜るような時間だった。
目が見えない状態について考えたな。集中する分耳で音を拾う。
ツィゴイネルワイゼンに囁きがあるとは知らなんだ。集中が足らない。
原田芳雄、手が綺麗だな。
映画中に不気味で不穏な空気が溢れている。それがまた登場人物の色気や、出来事の魅力をたかめている。演出の華やかさと物語の静けさが揺れ動き、同じように登場人物の生死も揺れ動く。中砂から借りてたのはレコードや本だけか、自分は生きているという不確かな感覚も借りていたのではないかとか色々考えさせられる。最後の少女の台詞を聞くたびにもう一度見なければとおもう。
青二歳

青二歳の感想・評価

5.0
原田芳雄がとにかくかっこいい。色っぽい。こわいくらいセクシー。内田百閒の「サラサーテの盤」からモチーフを借用。

鎌倉にある釈迦堂口の切通しは現在通行止めになっています。何度も行ったけれど、残念。
kaz666

kaz666の感想・評価

3.8
大好きな映画。
昭和アヴァンギャルドの凶器やら狂気やらを、音楽と映像で彩ります。
映像と映像のシークエンスの切り替えなんかはリンチっぽい作りで、何かありそうで、何もない。
内容を理解するような作品ではなく、
作品をしがみつくす、するめ作品です。
邦画で一番好きな映画。
鬼気迫る映像美。
今は亡き原田芳雄、藤田敏八の静かな狂気を感じさせる演技。
あの世とこの世の境目・釈迦堂切り通しを筆頭に、逢魔々時、目には見えない魑魅魍魎が跋扈する禍々しい美を感じさせる鎌倉を中心としたロケ地。どれをとっても極上です。
デビッド・リンチ映画のように緻密な解釈が成立する、といったたぐいの映画とは全く性質の異なる映画です。
これはこの作品の1つの見かた(というか味わい方)としてですが、4人の主人公たちは既にこの世にはおらず、肉体から遊離し浮遊するその魂魄がその死を受容できず、自らの妄執に彩られた狂気の世界にそれぞれ囚われている様を描いた作品、とも言いたくなるような、一種異様な世界です。
本作の原作となった内田百閒の「サラサーテの盤」「山高帽」といった作品と併せて鑑賞すると、その幽玄な世界観をより深く堪能することができます。