独特な空気感溢れるATG版の「心」
原作の明治時代の世界観を70年代の昭和の空気に落とし込んでいる本作。
非常に暗さが漂い、出だしからくるべきラストを予感しているよう。
Kは、戦争未亡人であるM夫…
新藤さんは、この脚本でOKだと思ったのであろうか?自ら書いている脚本なのだが、酷すぎる。
物語の展開に見せ場がほとんど無く、演出も手抜きではないのかと思わせるほど単調である。
なにか狙いがあってこの…
トランペットが流れるジャズの夏目漱石があっても良いと思う。夏目漱石の「こころ」を漢字に変えたタイトルに、強くアレンジを加えたという監督の主張がうかがえる。新藤兼人監督の斬新な解釈は悪くないと思う。長…
>>続きを読む言わずもがなの原作小説であるけれど、それを若い男女三人の残酷な青春物語として切り取った新藤兼人の才覚が光る。男二人と女一人の微妙な均衡。たとえ親友同士であっても、否、そうであれば尚のこと、その関係に…
>>続きを読む原作に忠実な市川版と比較して、相当風変わりな漱石の『こころ』映画化
新藤兼人は漱石を挑発するのか!
まずはあらすじから
ーーーあらすじーーー
■山間を走る列車に乗る
(私は心臓を破り、血をあなた…
下宿先にやってきた大学生:Kは、その家のお嬢さん:I子に魅了されていく。しかし、Kの親友で彼の部屋に居候している真っ直ぐな精神を持った青年:Sもまた、お嬢さんに対し淡い恋心が芽生えていき....
…
「心」
冒頭、十年前の初夏。車窓からの森林の風景を眺める男。家探し、独白形式に話は進む。森へのピクニック、父親の遺産、蓼科の山小屋、隣部屋に住まわせたS君、娘のアイ子への恋、裏切り、性、そして愛。…
下宿先の娘を巡る二人の学生の葛藤。
モノローグ形式で進む見る小説、ラジオドラマにも似た感触。
不穏感漂うヒロインの佇まい、乙羽信子の一歩引いた存在感。
言葉や行動にせずに悶々としてる思いを文学にして…