おとし穴の作品情報・感想・評価

「おとし穴」に投稿された感想・評価

邹启文

邹启文の感想・評価

4.5
社会問題を取り上げた瞬間混乱に陥ってしまうタイプの社会派映画なんて初めて
いや、前衛か
でもやっぱり自転車が出てくるところは爆笑しちゃうし、子供が全力疾走で走るところは素直に感動しちゃう
人が何か俗や欲を発症した時、その矛先を食欲へと向けるという演出がきちんとできているのは、今村昌平監督と勅使河原宏監督だけなんじゃないのかなぁ
nagashing

nagashingの感想・評価

3.5
ジャーナリスティックな題材と寓話的な幻想譚をブラックユーモアで統一する試みが抜群にうまくいっている。当時の炭鉱労働者の劣悪な生活・労働環境という社会問題的な不条理と、幽霊の出現や謎ときの放置といった作劇レベルでの不条理の二重化。写実的に撮られているはずの風景もどこか異界めいて見える。無人の炭鉱町で、長屋とその影が消失点に向かって延々とつらなっているカットなんてめちゃくちゃ不気味。
ただ結末は、主要人物がみんな死んでしまい最終的に幽霊しかいなくなる、くらいまで徹底してほしかった気が。最後の男の子のすばらしい疾駆も、途中でとつぜん消えちゃうというか、家屋の影にいるあいだに見失なっちゃうほうが怖くないですか? すべてのできごとに立ち会いながらいっさいの介入を許されなかったあの子がいちばん幽霊みたいだった。

このレビューはネタバレを含みます

タイトルロールがとんでもなく格好いい。
舞台となるのは、朴訥な労働の時代から浪費の時代への転換期。不器用な坑夫たちは新たな時代の犠牲となる。
真実を知らなければ成仏できないと言う幽霊。
「死にたての者は皆そう言いよる。」
真相を前にいくら悔しがっても、死んでしまっては文字通り手も足も出ない。
やるせないがどこか滑稽で、さびしくも可笑しい不思議な映画だった。
日本映画 匠の技Vol. 4 白黒映画の美学 日本映画黄金時代に到達した、光と影の極みを堪能する11日間
@新文芸坐

勅使河原宏監督×安部公房初タッグ作。

死者が亡霊となり、自らが死んでも事件は解決せず、殺された理由も明かされないまま。漂い続ける不条理劇。
田中邦衛演じる殺し屋が最高です。
日本で一番好きな映画監督といっても過言じゃない
勅使河原宏監督と安部公房さんの強豪タック。
初めて観た時、
邦画にこんなシュールな作品がある事に驚かされました!
この作品と出会ってなかったら
今のように邦画に興味を持ち、鑑賞することもなかったし
色んな作品と出会える事もなかった。
邦画の素晴らしさを教えてくれた傑作。
観た後あまりの不条理さとコントラストの高いモノクロと陰鬱さに指の先まで冷えたでも少しシュールな演出のせいで笑う
R

Rの感想・評価

4.7
日本人で最も好きな映画監督のひとり、勅使河原宏の初の長編作品。今回で見るの5回目。この人の映画はホントすごい。前衛的な作風で有名やけど、アバンギャルドでありながら難解さがなく、分かりやすいし、娯楽要素も豊富。まがまがしい異世界感に満ちた映像がどのショットもたまらなくカッコいい。今作はまさにタイトル通り、冥界というおとし穴にはまり込んでしまった名もなき人々の声なき叫びを、見事にヴィジュアライズした大傑作。オープニングのタイトルコールからヤバすぎ。不気味なホラー映画のような鳥肌モノの音楽をバックに、画面全体に一文字ずつ「お 」「と 」「し 」「穴」のタイトルが出て来た時点で、シビレルーーー!!! 労組のある会社で働くことを夢見る貧しき名無しの権兵衛が、ひどすぎる労働条件の炭鉱から脱走して放浪していたある日、廃鉱のため空っぽになった山村でちょっとした仕事があるからと、ひとりそこに呼び出される。で、行ってみると、どういったわけか、とつぜん全身白スーツに身を包んだ謎の男に殺されてしまうというショッキングなはじまり。この白スーツの男が実にコワい。若い頃の田中邦衛が演じてるのだが、まったく血の通っていないマシーンのような殺し屋で、何らかの計画に基づいて、狂いなく殺しを実行していってる様がめちゃめっちゃ不気味。殺される権兵衛くんは、井川比佐志。この人も素晴らしい味わいで、ブチャイクで粗野だが、どことなく色気があって、体躯もよく、現在の爺さん姿しか知らないとちょっと驚き。で、殺された権兵衛がひゅーっと逆回しのように立ち上がる、殺される前の状態をすべて引き継いで、永遠にその状態で存在しゆく幽霊となって。一体あの白スーツの男は何者なのか、なぜ自分は殺されなければならなかったのか。やりきれない思いを少しでも晴らすために、その原因を追及しようとするのだが、背後に社会構造的陰謀が絡んでいることがぼんやりと浮かび上がってくる。幽霊になってもあっけらかんとしてる男の様子がコミカルで、笑ってまうシーンもありつつ、いつも通り目の前にある現実世界にまったく何の働きかけもできなくなる、恐ろしいほどの剥離感と絶望感が描かれる。わけがわからんたい!と叫ぶ主人公の気持ちはまさに、常に巨大な構造に搾取される労働者たちが、無意味な死に呑み込まれてゆく悲痛な叫びに聞こえる。そんな生活を送ってる人たちは自分の生存に必死、社会の不正と戦ってる人たちはまさにその不正によって消されてしまう、という、すごく社会的なテーマを、センス良すぎな不条理寓話に仕立て上げた監督、安部公房、武満徹などなどの才能! 最高! 拒絶感に満ちたカッコよすぎる映像、コワいコワい音楽、巧みな脚本、何もかもがすばらしい。途中から出てくるオバはんの存在感とセックスもすばらしい! 最後のガキンチョの涙も、駆け抜ける姿も! 素晴らしい! 今後も何度となく見ていくことでしょう。
TsutomuZ

TsutomuZの感想・評価

3.6
死人を活ける、生け花花道の映画監督勅使河原宏。

黒澤清の映画かと思うほど現代的ではあるが、あの時代の風景を記録した、まさしく亡霊の映画である。

田中邦衛はノーカントリーの殺し屋。
Takada

Takadaの感想・評価

4.5
大好きな映画なので、スクリーンで観れると知り再見。
オープニングからのバキバキにカッコいいショットの連続です。
imapon

imaponの感想・評価

4.0
不覚にも冒頭で少し眠ってしまった。目覚めればそこはもう不条理な前衛な世界。漸く井川比左志が2役+幽霊の4役と認識してから最後まで最高に楽しめた。
モノクロ美は夏が最も映えるな。
坑夫のひきしまった身体に流れる汗。
駄菓子屋の女のシミーズ。

今回の特集、未見の本作のみとしようと思ったが、いきなりこんなの見せれたら他の3つも再鑑賞したくなる。
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