おとし穴の作品情報・感想・評価

「おとし穴」に投稿された感想・評価

dude

dudeの感想・評価

3.7
唐突に死が可視化されることで作品の温度感が変わる。幾重にも客観が重なっていきつつ、汗まみれの生者を見つめる死者は腹を満たすことができないというむなしさ。白スーツでスクーターに乗った田中邦衛に対して何がしたかったんだと問いただす感じはコーエン兄弟っぽい。
勅使河原の中ではブニュエル的な調和がとれてるほうか…まあ間延びしてるけど。
斜面にいる五匹の犬が良い。田中邦衛サイコー

@新文芸坐 35mm
この映画、言葉ではとても言い表せない
幽霊がでてくるんだけど、幽霊よりも怖いのは人間の性(さが)

本当に前衛的で、それでいて理解しやすいのが凄いって思った

予告編にあったシーンが結構カットされていて、かなり残念だった
新文芸坐「白黒映画の美学」にて。井川比佐志がそっくりさんに間違えられて白いスーツの田中邦衛に殺されてしまいます。幽霊となって自分が殺された理由を追う話です。父を殺された息子になんの救いもないまま映画は終わり、スッキリしませんでした。これが不条理というものですかね。
邹启文

邹启文の感想・評価

4.5
社会問題を取り上げた瞬間混乱に陥ってしまうタイプの社会派映画なんて初めて
いや、前衛か
でもやっぱり自転車が出てくるところは爆笑しちゃうし、子供が全力疾走で走るところは素直に感動しちゃう
人が何か俗や欲を発症した時、その矛先を性欲ではなく食欲へと向けるという演出がきちんとできているのは、今村昌平監督と勅使河原宏監督だけなんじゃないのかなぁ
nagashing

nagashingの感想・評価

3.5
ジャーナリスティックな題材と寓話的な幻想譚をブラックユーモアで統一する試みが抜群にうまくいっている。当時の炭鉱労働者の劣悪な生活・労働環境という社会問題的な不条理と、幽霊の出現や謎ときの放置といった作劇レベルでの不条理の二重化。写実的に撮られているはずの風景もどこか異界めいて見える。無人の炭鉱町で、長屋とその影が消失点に向かって延々とつらなっているカットなんてめちゃくちゃ不気味。
ただ結末は、主要人物がみんな死んでしまい最終的に幽霊しかいなくなる、くらいまで徹底してほしかった気が。最後の男の子のすばらしい疾駆も、途中でとつぜん消えちゃうというか、家屋の影にいるあいだに見失なっちゃうほうが怖くないですか? すべてのできごとに立ち会いながらいっさいの介入を許されなかったあの子がいちばん幽霊みたいだった。

このレビューはネタバレを含みます

タイトルロールがとんでもなく格好いい。
舞台となるのは、朴訥な労働の時代から浪費の時代への転換期。不器用な坑夫たちは新たな時代の犠牲となる。
真実を知らなければ成仏できないと言う幽霊。
「死にたての者は皆そう言いよる。」
真相を前にいくら悔しがっても、死んでしまっては文字通り手も足も出ない。
やるせないがどこか滑稽で、さびしくも可笑しい不思議な映画だった。
日本映画 匠の技Vol. 4 白黒映画の美学 日本映画黄金時代に到達した、光と影の極みを堪能する11日間
@新文芸坐

勅使河原宏監督×安部公房初タッグ作。

死者が亡霊となり、自らが死んでも事件は解決せず、殺された理由も明かされないまま。漂い続ける不条理劇。
田中邦衛演じる殺し屋が最高です。
勅使河原宏監督は、安部公房の原作を、何本も映画化している。
これも、その1本。

炭鉱で働く子連れの男(井川比佐志)が、厳しい仕事をしていると現場の人から「この写真は君じゃないか?」と聞かれて確かに自分が写っていると答えると、地図をもらった。

その地図の場所に行くと、白い服着た男(田中邦衛)に刺されて、泥まみれで殺される。

その後、殺された男の肉体は死んで倒れているのだが、幽霊が透明感をもって起き上がる場面の特撮は見事である。
勅使河原監督の映像美!

殺された男は、他の男(井川の二役)と間違って殺されたという不条理な物語。
この後も、話は続くのだが、勅使河原監督は本作のようなシュールな映像美を追求していたのだろう。

この映画もまた、勅使河原監督作品、傑作の一本。
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