くちづけの作品情報・感想・評価

くちづけ1957年製作の映画)

製作国:

上映時間:74分

ジャンル:

3.9

「くちづけ」に投稿された感想・評価

(本日=2017年12月2日、鑑賞)

増村保造監督がデビューした記念すべき作品。
主演は、川口浩と野添ひとみ。

若い男=宮本(川口浩)が小菅刑務所に拘置されている父親(小沢栄太郎)に会いに行く場面から始まる。選挙違反で捕まった父親である。
刑務所の面会場所あたりで、若い女性=章子(野添ひとみ)と出会う。彼女も会社の金を横領した父親に面会しに来ていたのだった。

章子が拘置所の父親食費が不足と言われているのを、宮本が助ける。そして名も告げずに逃げまくるのだが、章子も走ってバス飛び乗りして追いかける。借りたお金を返すために住所と名前を聞きたがって。
二人は競輪場に行く。(この時代の映画には、ホントに良く競輪場が出てくる。庶民が気軽に楽しめる娯楽・ギャンブルだったようだ。)

競輪場で、宮本が章子に「じゃあ、競輪で賭けた選手が当たったら、もう逃げない。一日一緒に居る。」→章子「いいわ」→宮本「何番に賭けようかな~。君は何月生まれ?」→章子「6月」→宮本「じゃあ、6番に賭けよう」と券を買う。
こんなやりとりを見ているこちらは「絶対、6番が一着になるんだろうな。じゃないと、映画が続かないしなぁ~」などと至極当然の考えをしていると、やはり6番が一着となる(笑)

その後、2人でバイクに乗って海にいって泳いだり、江の島ローラースケート場でローラースケートなどをする。(昔は、江の島にローラースケート場があったのか…)

その後も延々と話は続くのだが、それは観てのお楽しみということで……。

この映画で見事なシーンは、らせん階段を真上から撮った構図が素晴らしかったこと。
ヒッチコックの映画『めまい』よりも、もっと視野が広い感じのらせん階段だった。

増村保造監督、第一作はなかなか瑞々しい映画であった。
ただ一つ気になったのは、小沢栄太郎がどうなったのか?というあたりが放置されるあたりは、ルイ・マル監督が『死刑台のエレベーター』で窓にロープを置きっぱなしにした事に似ている(笑)

<映倫No.10250>
増村監督の処女作だ。50年代の太陽族っぽい青春ドラマで面白い!最後がとても好きだ。気持ち良いなぁー
なんかすぐ喧嘩したりバーに入って「ストレート!!」と叫んだりする主人公って今時の邦画のキャラクターと全く違うんだよね。笑
T

Tの感想・評価

4.0
青春映画の傑作。川口浩の母親が実にフェアで紳士であり、内に秘めた溢れんばかりの愛を押し付けがましく主張しない。格好良すぎる。浅香唯と川口浩が即席ピアノ×ヴォーカルを披露するシーンの躍動感。全編に渡って、走って滑って踊って運転して、画面を縦横無尽に駆け回るのが良い。拾萬円の行く先は想像が付いたけど、それで良いのかと思ったりもした。
ド傑作。
遥か昔の無軌道な青春時代を思い出し、懐かしさから終始ウルウルしながらため息の連続。
浅香唯の「セシル」の歌詞に、♪恋は楽しい時より 悲しい時に そっと始まった方が 長く続くね♪なんて歌詞があったが、そういう意味で留置所で始まる恋なんて野添ひとみにとっては最高のシチュエーション。
競馬で始まるデートシーンは眩しいくらいにキラキラと輝いている。
どこか無気力無感動でひねくれ者の川口隊長が情深くしっかりとした野添ひとみに関わることで、不器用ながらも徐々に本来の自分らしさをさらけ出していく様子がたまらなく良い。
個人的には、ほぼ同時期に長編デビューしているゴダールの「勝手にしやがれ」、トリュフォーの「大人は判ってくれない」よりも増村監督の「くちづけ」の方が明らかにみずみずしさを感じどうしょうもなく胸が高鳴るとてつもない完成度の高さ。
二ヵ月前に観たのが三回目の鑑賞だったが、前回同様やはり次の日バイヤリスオレンジを買ってしまった☆彡
小林

小林の感想・評価

3.9
増村保造監督デビュー作にしてこのスピード感
たしかに、出会ってすぐ海行ったり、かわいい水着買ってやったり、そのあとすぐに手繋いじゃう2人だから、タラタラバイク乗ってたら映画の魅力薄れますね
そんな恋愛テク満載もベタだけど、一周回って新鮮なのが増村作品
増村保造の監督デビュー作。
スピーディな演出手法はここから既にあって、父親の収監という似た境遇のふたりが一気に惹かれあっていくさまを描く。
他でも共演は多いが、この主演ふたりが実際に結婚すると考えても感慨深いものがある。
shuuhey

shuuheyの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

友人のバイク屋に置いてる客の修理済みバイクを一日だけ貸してもらうというアイデアが最高。彼が貧しいこともここで説明できてます。それだけでワンナイトラブの映画かなと想像できますが、本作はそっちじゃなかった。あのオチは弱かったですね。去っていく車のロングショットは綺麗に終わった雰囲気さえ醸し出してるけど、ハッピーエンドじゃなくていいから、二人のこれからに先があることを疾走するバイクで見せて終幕してほしかったな。
eddiecoyle

eddiecoyleの感想・評価

4.0
前半のロケ多様によりヌーヴェルバーグ感が溢れるのが(リアルタイムの日本の風俗をパッケージしているにも関わらず)日本じゃない感じに捉えられてるのが凄い。途中なんてアデューフィリピーヌだし。車やバイクの躍動感もいいし、公衆電話を使って反復と差違を作り出す小物使いの良さ。後半の物語をまとめにかかったとこより、前半の二人の男女を無軌道に振り回してる感じに凄い魅力を感じた。
増村保造監督デビュー作。
のちの作品にも通じるような恋愛と人生の悲しさを融合させる手腕の片鱗を見る事ができる。

川口浩もいいが、野添ひとみの爛漫で積極的な女性像が素晴らしい!(後にこの二人は本当に夫婦になる)
『巨人と玩具』の時の印象が強くて、また違う雰囲気でビックリした。

タイトルの"くちづけ"の意味がわかるラストはただの恋愛映画ではない増村節が表現されていたように感じました。
増村保造デビュー作。この頃から才能の塊みたいな作品撮ってたんだなあ。野添ひとみがとにかく可愛すぎて萌える。しかも、後に川口浩と夫婦になると思うともっと萌える。女の子とバイクで2人乗りするのは永遠の憧れ。
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