大怪獣バランの作品情報・感想・評価

「大怪獣バラン」に投稿された感想・評価

パー子

パー子の感想・評価

5.0
土着信仰的舞台設定も魅力的で、飛び立つ姿はムササビ怪獣というより天狗、それに鬼と狛犬をミックスしたようなバラン、それでいて「トカゲの親分」ことバラン、バランはかっこいい、子供の頃は弟もわしも映画自体は見てないのにバランが大好きで、後にゴジラもの以外の東宝特撮で初めて見た作品はこれ、動くバランが見たくてこれをツタヤでチョイスしたわけだけど、なんとも地味だった。「東京放棄」という台詞のみ心に残っていた。しかし。
10年ぶりぐらいに見直してみたらこれも傑作やないかい!
おいおい。猪四郎参ったわ。
なんというか……、堅実である。
観測的なフィックスを中心に捉えられたバランの映像はドキュメンタリー風の効果を生み、カメラ位置やコンテはお手本のような手際。ただただ怪獣という存在が持つシュルレアリスムを描写し続ける。
(ちなみに本作は史上唯一の「TOHO PAN SCOPE」のロゴが出る作品らしく、これは何だったかというと、スタンダードで撮って上下をトリミングしたエセシネスコであるらしく、それでも(怪獣をメインに据えた)東宝特撮初のシネスコ作品ではあるらしく、さらに『空の大怪獣ラドン』や『地球防衛軍』より後の作品なのにモノクロ映画で、当初テレビ作品として企画されたという経緯がそれらの原因らしいのだが、これが、なんかいいのである、ニュース映画みたいな雰囲気や、アメリカの50年代B級映画などとも似た空気感がいいのである)
風や霧や水や火といった自然現象をうまく使った演出が他の怪獣映画とは一味違う。
特に風。山中で天狗のような大怪獣バランに対峙する人物たちの周りは風が吹き荒れ激しく木々が揺れ動く。表現主義的でなんとも素晴らしい。
中盤以降になるとひたすら淡々と自衛隊対バランの攻防が描かれるのみで人間ドラマも何にもない。それがいい。堅実である。真摯である。高純度怪獣映画である。極限まで要素が削ぎ落とされた怪獣映画史上のロベール・ブレッソン的存在である。
とはいえ出演者も良い。日本演劇界の伝説的存在かつ「特撮大好きおじさん」こと千田是也演ずる博士の、飄々というか抑えきった演技、存在感。
(この人は『ゴジラVSキングギドラ』の「やったぜエミー」こと中川安奈の祖父でもある)
「そうです、常識で考えればあるはずありません。しかしバランは、常識を遥かに無視した怪獣です。常識の限界で判断は下せないと思いますが」
名台詞だわ。
他にも土屋嘉男が珍しく自衛隊員役で出ており、千田是也の隣でかなり楽しそうに演じているのもポイント高い。
主演の男女二人が全然スターじゃない役者なのもその地味さが逆になんかいい。
男性の方は東宝特撮でいつもは脇役やってる人だ。
この人が主役なのがいい、堅実な感じがする。
秋田在住時に知り合った、地元のTVスターの方から本作の話を聞いて鑑賞。

当時東宝は、本作を海外に売り出そうと考えていたらしく、日本文化を誇張した舞台設定になっている。
その舞台というのが、秋田と岩手の間とのことだが、50年代とはいえ、未開のジャングルとその部族たちという何とも雑な扱い。

それに輪をかけて酷いのがバラン自身。
自衛隊との戦いは、湖で上半身をバシャバシャさせている固定映像だけ。それが延々と続くのを見る我々も、そんな恥ずかしい姿を見られるバランも辛いはず。

製作陣は東宝特撮の重鎮たちなのに、どうしてこんな作品になってしまったのか?
2年前に公開された『空の大怪獣ラドン』の方がカラーだし、特撮もストーリーも見応えがある。
この作品も長い間販売されなかったのは、作品内で東北の未開の部落、日本のチベット。が日本地図で特定された所がマズかったそうです。

東宝のモノクロ大怪獣と言えば、ゴジラとアンギラスとバランしかいないのに・・。(雪男除外)

作品は、未開の部落で「神様」扱いされてたバラギダ様が、実は怪獣で陸海空と暴れ回る。
自衛隊との攻防は、部落から海上へ。
羽田空港に姿を現した時、都内に行かせない為に、最後の戦いに。

バランは、なかなか男前でカッコいい怪獣です。最初四つ足で動き回り、前足から後ろ足まで、腋に膜を張ってモモンガみたいに空を滑空し、海をスイスイ泳ぎ、上陸した時は、二本足で行動。

対する自衛隊も、ネプチューン、セイバー、哨戒挺となかなかの戦いを繰り広げます。

伊福部のBGMは、この作品は、素晴らしくて、音だけでも怪獣映画を満喫出来ます!

ただ、やはりゴジラと比べると地味で、作品の性格上破壊するというより、逃げ回ってる感が。

実に惜しい作品です。
田中元

田中元の感想・評価

3.0
約30年ぶりに再見。オープニング曲以外まるで記憶になかったのだが、あまりにもオーソドックスすぎる怪獣映画で中身が印象に残ってなくても仕方がありません。
夢野猫

夢野猫の感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ゴジラ、アンギラス、ラドンに続く史上四体目の怪獣?。
ゴジラが原水爆テーマなのに対し、こちらはラドンやキングコングと同じく、科学では解明出来ない未知の驚異がテーマ。
バラン登場から飛翔までの前半と海戦から上陸の後半と言う二部構成の一寸変わった創りに成っている。
前半は結構盛り上がるが、後半はただ単にドンパチしてるだけ感になり盛り下がる。
怪獣映画には「どうしようもなくつまらないが怪獣マニアとして観ておかねばならない映画」というのが存在する。
「ギララ」「ドゴラ」辺りが代表選手だが、この映画もその道のエリートだ。

水中にひきこもったバランと自衛隊の戦いはグダグダの極み。
もったいぶったバランの飛行シーンは、ピクリとも動かない飛び人形がゴーッと平行移動するのみ。
僅かな都市破壊シーンときたら「ゴジラ」の映像を流用しまくっている。(思いっきりゴジラの尻尾が写っている)
「光ものを食ったら当たって死んだ」というバランの死にざまもかなり間抜けだ。

しかし、死にざまこそ無様なものの、バランのルックスは怪獣トップクラス。
夜叉、迦楼羅、蜥蜴、獅子、狛犬、猫、架空・実在の入り混じった動物や伎楽面を集合させた様な面構え。
俊敏さとしなやかさがビンビンに伝わってくるボディは史上最高クラスだ。
秘境の中に佇むバランの絵面は本当に神秘的だ。
二兵

二兵の感想・評価

3.2
昭和58年作品。怪獣映画の黎明期に作られた映画である。

全編白黒のせいか、異様に怖かった…しかし、民俗学と怪獣を結びつける試みは良かったものの、初代ゴジラのようなメッセージ性が無く、ストーリー的にあまり訴えてくるものは無い。あ、伊福部昭氏によるテーマ曲、後の『三代怪獣 地球最大の決戦』のテーマ曲に似てましたね。

ゴジラとラドンを掛け合わせたかのような、ムササビ怪獣バランのデザインは良かったし、皮膜を拡げて飛ぶシーンは何とも印象的。しかし、爆弾を飲み込んで、それが元で死んでしまうのは…笑。

後の作品でも余り優遇されておらず、『獣人雪男』なんかとは違った意味で黒歴史にされつつある作品。誰かリメイクしてくんないかなあ。
もへあ

もへあの感想・評価

2.7
いつも怪獣は哀れなものだけど、バランは本当に可哀想。
無神経な人間に叩き起こされてちょっと暴れただけなのに、住処の湖に薬品を溶かされ、飛び出たところを猛攻撃。挙句に爆薬まで飲まされる始末。
そりゃないぞ!!
人間側が大してバランを恐れていないところも残念。

バランの造形は独特で、かっこいい!
総合評価点
22/50

評価点
15/35
1/5企画
2/5テーマ
2/5構成
2/5脚本
3/5演技
2/5音楽
3/5技術

好み点
7/15
nori007

nori007の感想・評価

2.7
ゴジラから4年後の作品でゴジラ同様に本多猪四郎監督による作品なのだが、どうゆうわけか歴史の闇に葬り去られた作品。まあそれも本編を見るとかなりやっつけ仕事のように感じる。音楽がゴジラからの流用で演奏がしょぼくなっているし、キャスティングも地味だ。2年前の作品であるラドンはカラー作品だったのに今作はモノクロである。

設定やバランの造形はいいのだが、内容がかなり問題で東北の山奥にバランが出るらしいということでバランのいる湖に爆雷攻撃を行い、バランが湖から這い出してくると戦車や対空砲で一斉攻撃。ただひっそりと暮らしていただけなのにひどくないすかね??
たまらずバランは飛来し、今度は東京湾に出現し上陸しようとするのだが。。。

ゴジラのように放射能に対するメッセージ性や、東京のシンボル的建物を破壊することもない。宮台真司氏の言うところの破壊の享楽がまったくない。ただただ怪獣いじめをしているだけの映画になってしまっているところが問題かと。

もう少しがんばればゴジラのように神作品となれたと思うのだが、ちょっとしたバランスので神作品にもなれば、駄作にもなってしまうのかもしれない。
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