私たちはどこに行くの?の作品情報・感想・評価

私たちはどこに行くの?2011年製作の映画)

Et maintenant on va où?/Where do we go now?

製作国:

上映時間:110分

4.2

「私たちはどこに行くの?」に投稿された感想・評価

geji

gejiの感想・評価

4.5

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ面白かった
キャラメルよりむしろ面白いのでは?

女たちの戦略がすごい 特に最後の入れ替わり
男たちにとっての「母」「妻」が「敵」にとってかわられることはないというのを利用した作戦

自分の愛すべき人の属性が変わっても、変わらず愛すべき人であるということを、ムスリムの/クリスチャンの隣人にも当てはまると気づかせる


ナラティブは女のもの


シリアスなのにコメディ
ナディーン・ラバキーの監督としてのセンスが光っていると思う
pherim

pherimの感想・評価

4.0
レバノン、砂漠の小村でムスリムとクリスチャンの男達が諍い合う。女達は対立の兆しを村から遠ざけようとする。だが燻る火種は容易く発火する。女達の下した笑撃的慈愛の決断。黒海対岸から舞い降りた白人美女集団が加わり、村は絢爛の一夜へ突入する。剣に滅ぶな男ども。

互いの殺戮に至る宗教対立というシリアスなテーマを、レバノンの重層的な歴史文脈をも取りこぼすことなくユーモラスに描き切る『私たちはどこに行くの?』。男は皆争い女は皆宥和を望む戯画的な構図が、開幕数分の群舞を最終的に昇華させる構成の絶妙。


『存在のない子供たち』のナディーン・ラバキー監督。2011年の第2作『私たちはどこに行くの?』ではご自身の出演を知らずに観て、群舞中央で異様な存在感放つこの姐御何者!?って目が喰いつきっぱなしでした。『存在のない子供たち』でも少年を守る女性弁護士を好演、ガチ綺麗。
図→https://twitter.com/pherim/status/1154155392953249792
barakachan

barakachanの感想・評価

4.3
ナディーン ラバキ監督の2作目。

重い内容になりがちな、イスラム教とキリスト教の共存を多彩な登場人物のドラマ性を巧みにウィットを取り入れ、最後まで楽しく観れた。
存在のない子どもたちより、ユーモアもところどころにあるせいか、ラバキ監督の上手さを感じた。

世界が幸せであるためには、個々人の努力はやっぱり必要なんだなと。
男女の別はそんなにしたくないけど、この映画に出てくる女性の賢明さは、悲しい過去からたくさんのことを学び、悲しみを分かち合いながら、協力して、幸せに向け、知恵をしぼり、実践し、かっこいい。

追記
学ばないと歴史は繰り返す。今のアメリカ、日本にも必要なことが溢れてる。

書きかけの投稿を見つけたので、追記して、間を空けての投稿…
sonozy

sonozyの感想・評価

4.5
ムスリムとクリスチャンが暮らすレバノンの人里離れた小さな村の物語。

この物語について語られるプロローグ。
振付けを入れながら、内戦で失った息子たちの墓参りに向かう喪服の女たちの中に、美しいアマル(ナディーン・ラバキー監督)もいる。

地雷が残る村。外に出るには有刺鉄線の残る細い道だけ。
そこをバイクと台車で行き来し、生活用品などを仕入れてくるのは二人の少年。
ある日二人は村でTVを見るためアンテナを運び込み設営。
市長は村人たちを集めて皆でTVを見て盛り上がる。

「ムスリムとクリスチャンの抗争が..」というニュース番組に目を止める男たちに女たちはTVから気をそらせるように騒ぎ出す。
共存しているとは言え、男たちは宗教対立心でもめ事も多く、一触即発の状況なのだ。

カフェを営むアマルや女たちは、ウクライナ人のセクシーなダンサーを連れてきてみたりと、様々な工夫でアホな男たちの争いを激化させないようコントロールしていく。
しかし、ある日悲劇が起きる・・・

宗教対立というセンシティブなテーマを、ユーモア、LOVE、ミュージカルなどの要素を織り交ぜながら仕立てたのはさすが最高傑作『キャラメル』のナディーン・ラバキー。
タイトルと併せラストも秀逸でした。

ストーリーもですが、ナディーン・ラバキーのエキゾチックな美しさに魅了されます。

カンヌ国際映画祭: フランソワ・シャレ賞、エキュメニカル審査員特別賞
ストックホルム国際映画祭: 最優秀脚本賞&音楽賞
サン・セバスティアン国際映画祭: 観客賞(Best European Film)
トロント国際映画祭: People's Choice Award
eigajikou

eigajikouの感想・評価

4.7
イスラーム映画祭5でアンコール上映されたので再見したかったのですが、
個人的な事情で今回のイスラーム映画祭はアンコール上映以外の作品を見ることにしたため(アンコール上映作品は今までのイスラーム映画祭で全部見ている)2017年鑑賞時のブログに書いた感想を貼っておきます。
分断がますます進む世界情勢ですから本作の存在意義は高まっています。
ぜひ多くの人に届いて欲しい作品です。

女たちは宗教の違いを越えて
日頃から仲良くしているが
男たちには諍いが絶えない。
ある悲劇が起こり大きな争いが起きそうになるのを
女たちが知恵を絞って
旅の踊り子一座のセクシーなお姉さん達も雇い、
男たちの戦意を失わせる計画を実行。
『キャラメル』に続き
ナディーン・ラバキ監督が主演もしています。
今回はインド映画風の歌と踊りが入るシーンがあります。
シリアスな状況設定で悲劇も起こります。
作品は悲しみを湛えながらも、
ユーモアと女たちのパワーがドラマを輝かせます。

職業俳優でない人たちにもとても味があり、
男性にも茶目っ気があります。
力強くて優しい女性たちの共同する力が
融和をもたらす。
分断が広がっているこの世界で
憎しみを越えて相手を受け入れる寛容さを。
この映画が多くの人に見られたら良いのに。
とても心に響く素敵な作品でした。
イスラーム映画祭5にて。

ちょっと前半ウトウトしてしまった。イスラム教信者とキリスト教信者が住んでいる村での出来事。男たちは何かと反発しあって揉め事を起こすが、女たちは男たちが揉めないよう、村の平和を保つよう、裏で調整をしている。

この監督は絵の作り方がいつもセンスある。ドキュメンタリー的な内容なのに絵が美しいんだよね。

眠かったのもあり、ちょっと物語の方向性が見えなかったけど、上映後のトークショーでレバノンが複数の宗教を抱えたモザイク国家だと分かり、とても興味深かった。しかもねじれ国会のように、最大数の宗教が政権を握ってないという複雑さ。
yooyoo

yooyooの感想・評価

3.7

このレビューはネタバレを含みます

イスラーム映画祭5

モスクと教会が並んで映る場面が何度かあって、なかなか可愛くポップな雰囲気。冒頭の黒衣の女性たちのダンスもモダンだったし、ヨーロッパの匂いがしたかな。

男たちは事あるたびに一悶着起こすんだけど、もう平和に暮らそうよって女たちの心の叫びが、行動になっていく様がちょっと面白く描かれる。

映画の後のトークで、レバノンが宗教のモザイク国家って初めて知ったわ。キリスト教もありそうだな〜なんて薄っすら思ってたけど、あんなに入り組んでいたとは。やっぱ行ってみないとだな。最近はレバノン杉は希少になっちゃったらしいし、早く見とかなきゃ。
[我らのレバノンどこへ行く?] 90点

息子たち夫たちの墓参りをする黒衣の女性たちの集団が、リズムに乗って同じ動きを始める冒頭から、本作品はコミカルかつファンタジックな作品であることは明示されている。しかし、映画はそれに甘えずフィクションとして許される最強かつ最狂の解決策を提示する。宗教/男女の対立と連帯はあまりにも単純化されすぎているが、それこそがラバキ流のファンタジー世界なのだ。戦争がようやく終結して平和が戻ってきた山間部の村で、些細な事件から男たちは何かに付けて宗教間の対立へ話を持っていき、女たちは団結して衝突を回避しようと躍起になる。まるで90年代を題材にした旧ユーゴ諸国の映画、例えば『ビフォア・ザ・レイン』を思い出すような展開だが、同作が無情さや無力感を提示したのに対して、本作品では中々アクロバティックな方法で"解決"しようとしているのが興味深い。それこそが映画に許された特権であるかのように。実にパワフルだ。

出張キャバレーのダンサーたちが言語の壁を乗り越えて協力的というのも非常に面白い。この手の作品で部外者は非協力的な"外世界"の象徴として描かれることも多い(例えば『ノーマンズ・ランド』のカトリン・カートリッジとか)が、本作品では積極的に関わっている。まぁそれも一種のファンタジーではあるのだが、どちらかと言えば女性同士の連帯というよりレバノンローカルの話ではなく国際的な話とも関わりがあることの象徴のようで眩しかった。アレゴリーとファンタジーが奇妙な融合を果たしているのだ。

"迷い/放浪"であるかのような題名は、明るい未来へと向かう"決意/理解"として使用されていた。勿論、その両方の意味を含んだ題名は、正に映画そのもの、引いては世界の現状を指し示しているのだろう。そして、カンヌにも搭乗したレバノン映画『何処へ?』への目配せでもあるとのこと。『リベルテ』に賞を贈ったラバキらしい()

でも、ラバキのベストは『キャラメル』一択でしょう。女優が好きだったレズビアンの美容師の尊さたるや。本作品でも名前忘れたけど一人黒いヒジャブ被ってた人、すごい綺麗だった。
レバノンの過疎村で起こるイスラム教とキリスト教の宗教対立。男たちの愚かなる諍いを、なんとしてでも止めるべく立ち上がった女たちの悲喜交々。
男たちの争いのあとさきに、女の悲しみがある。夫や子供を宗教対立の内戦で亡くし弔い残されるのはいつも女。
人を救うための宗教は、人を救ってはくれない。対立の先に和平はない。正義は親が子を思う気持ちとエロにあり。信仰よりも大義を貫き通した女性たちにこの不条理な世の中を生き抜く勇気をもらった。(『キャラメル』の時も、しなやかに生き抜くヒントをもらったんだよな…!)

ラバキー監督って、バランス感覚に優れていると思う。インド映画っぽさとシリアス/コメディをうまく調和させて。レバノンの抱える社会問題を取り上げながらも、媚びないギリギリラインのエンタメの盛り込み方が秀逸。軽やかでしなやかなご本人そのもののような作品だ。本作はなんと言ってもオチが本当に良かった…。日本未公開なんてもったいない。ずっと観たいと思っていたので叶って本当に嬉しい。
やっぱり、ナディーン・ラバキーはすごい。ド美人な上に監督作品ハズレなし。これからもバンバン映画撮ってほしい。各位早く『キャラメル』観て。
なつ

なつの感想・評価

4.7
去年ヒットした“存在のない子供たち”のラバキー監督作。日本未公開は勿体ない…。

ムスリムとクリスチャンが半数ずつ暮らすレバノンの村。戦争で荒廃した村に平和が戻り、女達は安心して暮らしていたが、男達はすぐ諍いを始める。
村の平和を守ろうと女たちは戦略を練る…(フライヤーより)

ささいな事で始まる男達の喧嘩、ちょっとした事で政治バランスが崩れるのでは?と緊張感が走る。
ほんと男てアホよね、女はその裏で調整をはかる為にうまくやってる。
世の中をうまくまわしてる役割の大半は女じゃないのか?
(て事をレバノン映画“判決”レビューで、うめまつさんが記していたなぁ…うめまつさん思い出した、元気かなぁ)
なんで白黒付けたいんだろね?グレーで良いときもあるやん。
息子を失いたくないとの母親の想いを何故、わからない?
無数に並ぶ墓に若い男性の写真…。
戦争で愛する者を失い、平和への祈りを謳う母親達の普遍的な作品だ。

この村にロシア人?色気ムンムンダンサーを呼ぶ、言葉が通じないけど、そこは女同士、すぐ理解して共感して、協力するんだよね。
作品に登場する女性たちは、みーんなパワフルで、観てて気持ち良い!
後半は寓話的かもだけど、拍手喝采せずに居られない!!!
泣かされるけど湿っぽくはないし、ミュージカル的要素もあって、悲喜劇のバランスが素晴らしい!大好き!


以下は、佐野光子さんのトークショーより。興味のある方はどうぞ!
レバノンは多宗教・多宗派国家、“モザイク国家”と呼ばれる。(18宗派)
民族はアラブ系が95%ながら、大統領と国軍最高司令官はマロン派キリスト教徒から選出されるのが慣例。
キリスト教徒の海外移民やムスリムの出生率の高さから人口比が逆転。
加えてイスラエル建国により、パレスチナ難民の受入、ベイルート移転等で、レバノン国内の均衡が崩れ、1975年に内線勃発。
15年続いたので、本作は1990年初頭を描いているのでは?とのこと。

宗派体制が変換し、特殊な歴史を抱えた国なんだと知った。
面積は、日本の岐阜県程度で、人口は610万人くらい。
大体、380万人程度だったらしいから…
240万人も難民を受け入れている計算。
小さい面積でそれだけ受け入れるて異常な状態ですよね。
そりゃ何かと難しいはずだ。
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