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「M」に投稿された感想・評価

甲冑

甲冑の感想・評価

4.0
『秘密の儀式』が最高すぎてロージーの本も買ってしまったがラング版との違いに触れてあって面白かった。性犯罪者を断罪すべき怪物として劇的に描いたラングに対し、ロージーは性犯罪者が生まれる背景にあるもの、社会はそれをどう受けとめるべきかという視点を入れたそうである。当時の米国白人男性に求められる「強く出世せねば男にあらず」的母親教育とそれに応えられず生まれる自己嫌悪、ミソジニー。ラングに比べ弁護人が同情的でヌルいのはそういう事ね、と。でもラングはラングで味があり確かに甲乙付け難い。ブレラン(マネキン部屋のオマージュが地味に感動)や500サマーでお馴染みブラッドベリービルが建築的にかっこよろしい。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.5
「M」

冒頭、ここはロサンゼルス。幼児ばかりを狙った連続殺人事件が発生。警察と暗黒街の犯罪者たち、謎の殺人鬼、無邪気な子供、風船、女の子、母親、追い詰められる殺人鬼。今、解決へと向かう…本作はフリッツ・ラングの傑作「M」のプロデューサーが、30年後に舞台をベルリンからロサンゼルスに移して制作した作品で、監督はジョセフ・ロージー。そして撮影を担当した「キっスで殺せ」のアーネスト・ラズロがインパクトを与える画作りをしている。

本作は冒頭のスタイリッシュな映像から惹かれる。そして遊園地で女の子に風船を買う男の描写になる。続いて目を閉じた(盲目)風船売りの男の人の画を数秒流す。続いて娘の帰宅を心配そうに見守る母親が狼狽する。続いてテレビニュースで子供が誘拐されている事を伝える描写に変わる。子供に対しての5つの注意点を発表する…

さて、物語は小さな子供のみを狙った連続殺人事件が発生し、警察と暗黒街の犯罪者たちが謎の殺人鬼を追い詰めていく…と簡単に話すとこんな感じで、赤狩り時代に撮られた作品とは違い、良い意味でのリメイクを成し遂げている。

この映画は憂鬱になるぐらい厭世的な空気感が漂って参ってしまう。だが、画を目的通りの仕上がりになるよう、被写体に当たる照明を支配下に置き、ストロボや写真電球による照明以外に、白や銀のレフ板で光をコントロールしたライティングは複数の光源を組み合わせて光によるイメージを見事に組み立てていて凄い。

そしてあのラスト…記憶に残る。
ガク

ガクの感想・評価

3.4
『M』1931年🇩🇪
『M』1951年🇺🇸(リメイク)
『El Vampiro Negro』 1953年🇦🇷(リメイク)
というMリレーしてきた。

『El Vampiro Negro』のリメイクの完成度から考えたら本当に酷い。企画だけが先行して、脚本書く時間無かったのか?ってくらいお粗末。風船のシーンが酷い。犯人役のデビット・ウェインも、この人じゃ無いやろ感。オリジナルの特徴シーンをそのまま、捻りなしに無理やりアメリカに当てはめたけど、社会背景とかが全然違うからあべこべになってる。アルゼンチンリメイクはその点上手くまとめてたし、犯人役も良かった。唯一、アル中弁護士役のルーサー・アドラーのコメディ的な演技が良かった。

@Egyptian theatre
あ

あの感想・評価

4.0
中盤ぐらいまではラング版のほうが面白いと思いながら見ていたけど甲乙付け難い、、!怪我した少女のローラースケートを脱がしているところを見られて、誘拐犯だと誤解されたり、笛吹いたりアル中弁護士とかマネキン部屋とかアレンジ要素が良い
Jimmy09

Jimmy09の感想・評価

4.0
昨日観たフリッツ・ラング監督『M』のリメイク版、ジョセフ・ロージー監督の『M』を観た。このロージー版は初見、ラング版を忠実にリメイクしながら自分の個性的アレンジも入れながらリメイクされていた。
ただ、やはりラング版が傑作すぎて、ロージー版は緊迫感にやや欠けるが、面白いことは面白い。見比べるのも一興かと…(^_^)

フリッツ・ラング版では、事件の舞台がベルリンだったが、アメリカ映画なので舞台をロサンゼルスに映してアメリカ人の話になっている。
やはり、小さな子どもばかりを狙った連続殺人事件が発生し、警察と暗黒街の犯罪者たちが謎の殺人鬼を追い詰めていく流れはオリジナルと同様。

こちらはロサンゼルスを舞台にしているため、「坂」を効果的に使ったシーンが多い。冒頭シーンや犯人が子供を連れて逃げる件など…。

マネキンを効果的に使ったシーンは、スタンリー・キューブリック監督の『非情の罠』を思い出したが、こちらの作品の方が先に作られているので模倣ではない。

犯人が殺した子供達の靴を集めるアレンジは微妙…。

このジョセフ・ロージー版DVDは恐らくレンタルされていないので、購入DVDにて鑑賞。
作品としては、まずまずの面白さ。
作品の位置付けとしては、ジョセフ・ロージー監督のファン向け、もしくはフリッツ・ラング版『M』が大好きで見比べたいファン向け、という感じ。私は両方です…(笑)
「男は悪」という思想を母親に植え付けられた青年が
「救済」のために少女の連続殺人に手を染める。
主役に、ラング版のペーター・ローレのような異常で強烈な個性が感じられないのが残念だが、アーネスト・ラズロによる「ブレードランナー」で有名なLAブラッドベリービル内の撮影が見事で、これだけでも観る価値あり。
[流石に原作には勝てず] 71点

ロージーほどの変態ともなればラングの名作をリメイクしても一級のサスペンスに仕上げてられるのだ。それでも追跡シーンの緊迫感や犯人の異常性『山の魔王の宮殿にて』の存在感など、原作ラング=ハルボウ「M」に勝てない部分が多い。ロージーらしい天才的な空間の使い方でもって原作を換骨奪胎し、完全なアメリカ版映画を作っているのは昨今のハリウッドには見習ってほしい。なんとも言えない味わいのあるラストもロージーっぽい。
アノ

アノの感想・評価

4.3
ラング版に負けず劣らず傑作。
娘を探すためにアパートから飛び出す母親の速度からして最高だ。

ラング版唯一の欠点である「裏社会の人間たちが殺人鬼狩りを決める会議シーンの鈍重さ」が、こちらではボスのマーティン・ガベルのキャラクターを強烈(弁護士への不気味な態度!)なものにしてカバーしているのが白眉。
一方、デヴィッド・ウェインが過去を語りだしてからは少々ダルい。
「男」として生まれてきた罪を背負うために少女を殺し続ける、犯人(動機)が現代的な病み。異様に背の高い自称弁護士の不穏さが映画を更に歪ませている。ラング版『M』、ロージー版『M』、ドラマ『30年目の真実 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人犯」の三本立て希望。
新文芸坐シネマテーク

冒頭タイトル、登っていくケーブルカーだから言われればそうだとは言えまるで浮遊して行くかのようで一瞬フレーム内の事物がどう収まっているのか測りかねるような不思議な空間設計からいかにもロージー、初手から『召使』を思い出す。吹き抜けでその高低差が生むダイナミズムが直に画面に定着されるブラッドベリービルの素晴らしい使い方、背中にMの烙印を押され逃げる主人公が迷い出る坂なども同様に見事。観光地ではない生身のロサンゼルスが剥き出しで迫って来るところ、場所はニューヨークながらジュールス・ダッシンの『裸の町』を連想させる(あれも「高低差」の作品ではなかったか)。
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