アナザーラウンドの作品情報・感想・評価 - 4ページ目

「アナザーラウンド」に投稿された感想・評価

落伍者

落伍者の感想・評価

4.0
「失われた週末」、「酒とバラの日々」、「リービング・ラスベガス」系のアル中男たちの悲哀というよりかは、その状態までになるまで追い詰められた息が詰まりそうな生活からの逃避が話の焦点。その証拠にわざわざ検証する意味がないことへの挑戦と挫折、お酒は程々にという無難すぎる、解決にならない解決法、ラストの軽やかな空中ジャンプが挙げられる。まあ、そんなぬるい展開は置いておいて、うらぶれ方が様になるマッツ・ミケルセンを愛でる分には何の問題があろうか。
Cem

Cemの感想・評価

5.0
"偽りなき者" がとんでもなく大好きだから楽しみにしていた作品🥺💕
4人の教師は、アルコール濃度を0.05%に保つことで生活が改善するという理論を実験してみるが、エスカレートしていく
アルコールのおかげで仕事も家庭もうまくいってるぜ★みたいなマッツが可愛いし、踊って飲んでなオッサンたちがアホで最高〜🥺酔っ払い嫌いだから後半しんどい場面もあった。オッサンたちの泣いたり笑ったりっていうのはグッとくるね。ラスト、マッツのキレキレダンスはこちらまでハッピーな気持ちになれる!
凄まじい。

社会風刺映画で言えば、「パラサイト」よりこっちの方が好き。全然着眼点が違うけれど。トマス・ヴィンダーベアは「偽りなき者」しか見てないけど本当に大好きな監督。てか監督の人間観察力がありすぎるのか絶妙な表情だったり言動がすごいリアル。それを過去作同様マッツが演じてくれるのがまた最高。デンマークに乾杯。

ざっくり言えば中年の教師たちが実験のために(最初らへんは)日中の飲酒を始めるんだけど、飲酒の歯止めが効かなくなってドンドンやばい方向に行っちゃうって話。そもそも日本人と欧米人じゃ体の作りが違うから、飲酒量に関して共感できる点は少ないけど、酔ったときのテンションとか、また飲みたくなっちゃう時の衝動とか、二日酔いの後悔とか、どの国でも一緒なんだなと思った。酒には飲まれるなって聞くけど、マジでそれだなと思う。度数が高くても量が多くても、飲む人がしっかりと自分をコントロールできれば特に問題はない。まあコントロールできなくなるのがアルコールってもんなんで、人間が結果を知っておきながら進んで摂取するのも面白い話だ。

お酒のおかげで生徒からの信頼が増した、授業が面白くなった、家族が円満になった。でもお酒のせいで喧嘩をして、誰かを殴って、誰かが…。良くも悪くも全部お酒のせい。

奥さんが国中全員酒飲みだって言ってたけど、デンマーク国のアルコールに対しての価値観が気になった。

ウォッカ飲み過ぎ。

マッツの前髪がエロい。
Palak

Palakの感想・評価

3.5
久しぶりに観たトマス・ヴィンターベア作品だったけど、これまでにないコメディックな側面も見せつつ、彼らしい洞察力に満ちた人間ドラマになってて、マッツ・ミケルセンの激渋さも合間って凄く味わい深くて面白かった。クラシックな悲喜劇のようなストーリーだけどかなり普遍的で、国や世代を越えて伝わる間口の広い作品だと思う。ラストシーンのカタルシスはすごい。

アルコールに対する薄っぺらな弾劾もしないし、かといってその害悪をうやむやにする訳でもない。フォーカスするのはアルコールを通したミッドライフ・クライシスや自己肯定、他人とのコミュニケーション。

アルコールをはじめどんなドラッグも、それぞれの依存性や身体へのダメージの度合いに差はあれど、結局はそれを摂取する人間のさじ加減で毒にも薬にもなる。主人公の飲むウォッカと、日本人の飲む抗うつ剤と、本質的な違いはなんにもないんだよな。
日本版でリメイクも出来そうな映画です。教育現場の問題とか、アルコール摂取量の事とか。漫画やベストセラーの映画化ばかりじゃなくて、こういうオリジナリティのある脚本を日本でももっと書いてほしい。
この映画に出演予定だった監督さんの娘さんがクランクイン直前に亡くなったそうなので、きっと複雑な想いで撮影に臨まれたんだろうと思います。
ME

MEの感想・評価

4.0
デンマークの”Drinking Culture”が大きなテーマである🌟監督とDOPが学校を訪れ、非常に興味深い講演を聞くことができた。今まで見たデンマークの映画の中で1番面白かった!

○あらすじ○
マッツ・ミケルセン演じるマーティンは、歴史を教える中年教師。話を聞かない生徒の前で授業をし、家に帰っても妻、子供との会話はほとんどない。日常や人生に疲れを感じ、友人3人とお酒を繰り返し呑む生活が始まる。アルコール依存への道が切り開いたのであった。。

This was the best movie to know about real Danish culture and their lives. When I come to Denmark about five month ago, I thought they live happily whole entire life. However the weather in Denmark is really dark, and they have to figure out how they live in such cold, dark and long winter. Actually, the students in my school drink a lot every weekend and even in a day. I think it’s good to drink alcohol to open their mind and communicate more deeply with others but somehow I feel like worried about them that they depends on alcohol too much, and now it became a social problem in Denmark. Anyway, I seem this movie represents real Danish people and culture, and I’m really appreciate I could see and talked with the director and DOP of this film in our school.
YusukeWada

YusukeWadaの感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

It was okay, but what's the point? Drink responsibly?
「中年男性の危機」を描いた作品はそんなに好みじゃないんですが、今作品は社会風刺要素が強く、演出、配役も見事で流石ヴィンターベア、という感じでした。

共同体から爪弾きにされないために必死でもがくおじさん達の姿はとても痛ましく、アルコールで限界を超える刺激を肉体に与え続け、耐えきれぬものは容赦なく放り出される。

アルコールは共同体の神話を温存する為の装置で、振り回される周囲の者も、呆れながらも必要悪として受け入れざるをえない。

唐突な印象のマッツのキレキレダンスは夢幻的で、身体が社会の要請へと応える為に劇中のキャラクターの表象的な存在を飛び越えることで主題の冷徹さを引き受けているようで、象徴的。

トレーラーでも使用されている楽曲'What a Life'が投げやりな歌詞も相俟ってこれ以上ないぐらい映画に合っている。
[酔いどれおじさんズ、人生を見直す] 80点

マルティン、トミー、ペーター、ニコライは歴史、体育、音楽、心理学を教える中年教師。広い自宅、安定した職業、子供たちに囲まれた家庭、気が置けない仲間たち、彼らは表面上は幸せそうだが、学校でも家庭でも危機的状況を迎えている。そんな疲れ果てて無気力な彼らはノルウェーの心理学者 Finn Skårderud による奇想天外な理論に出会い、常時ほろ酔いなら様々なパフォーマンスが向上するという謎のセルフエンハンス理論を実践へと移していく。すると、常時酒を飲んでいたヘミングウェイやチャーチルを味方につけた彼らは、理論の証明をするなどと息巻きながら、疲れ果てた中年教師から活力溢れるイケオジへと変貌する。しかし、得られる高揚感への依存はアルコール依存への最短路に過ぎなかった。

本作品はアルコール依存への見解を示す作品ではない。勿論、酒を飲めば楽しいし、迷惑を掛ければ人間関係も悪い方へ変化するのだが、そういった"飲酒による結果"よりも変な理論を言い訳に飲みまくるしかない彼らの根底にある感情の方を重要視し、基本的には戯れているおじさんズを眺めている。念仏のような授業に冷え切った夫婦関係というのは、彼らが能動的に行動しなかった当然の結果なのだが、受動的な彼らなりに寂しさを感じつつ何か行動は起こさないといけないと頭の隅で考えている。四人がほろ酔い理論に頼ったのも、思考や行動から逃げるための飲酒という以外に、唯一の仲間である四人の団結という意味もあったのだろう。全く同じ境遇にいるからこそ、彼らは互いを/自分を慰めるように飲み続ける。

血中アルコール濃度を上げまくってどうなるか調べるぞ!などと言いながら、それはただ飲みまくってるだけなのだが、子供のようにはしゃいでいる彼らを見ていると、その何気ない平和さが妙に心に沁みる。コロナ以前であれば、本作品に対して"酒飲んだら飲んでないヤツの運転かタクシーに乗ってて偉い"と真っ先に思いそうだが、今となっては密集して飲み明かすこと自体が不可能になってしまったからだ。最終的に"少量なら薬にもなり得る"とまとめているのは希望的で、そこから流れ着くラスト5分のマッツ・ミケルセンによる見事なダンスは陰鬱になりかけた展開を一気に光の方向へと引き摺り戻してくれる。まるで、映画自体が依存症的憂鬱から抜け出すかのようにフッと光が差し、その手助けをしてくれる優しいマッツの舞いには不思議な温かさに満ちていた。

映画にも登場するはずだった監督の愛娘イーダは、撮影開始直後に19歳で交通事故によって亡くなってしまった。監督は非常に落ち込んだものの、彼女のために映画を完成させると奮起したらしい。本作品のやりきれない気持ちになる終盤は、彼のそういった経験を基にしているのかもしれない。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

3.5
【マッツ・ミケルセンは酒でバイブスあげるドン!】
カンヌ2020レーベルに選出され、批評家の2020年映画ベストにチラホラ名が挙がっているトマス・ヴィンターベア最新作のマッツ・ミケルセン呑んベぇ映画『Another Round』を観ました。ポスタービジュアルからは『スプリング・ブレイカーズ』や『荒野の千鳥足』の雰囲気が漂っていましたが、ドグマ系監督、あの『偽りなき者』のトマス・ヴィンターベアだけに辛辣なブラックコメディに仕上がっていました。

マッツ・ミケルセン演じる歴史教師Martinは、最近調子がよくない。自分の授業が果たして生徒に響いている感触がない。家庭もモヤモヤとしている。ある時、同僚と酒の席で、「血中アルコール濃度を0.05%にしておくと何事もうまくいく」という説を聞き、実践してみることにする。学校にお酒を隠しもち、背徳感に浸りつつ酒を呑む。すると、授業がうまくいきはじめる。抑圧された自分を解放するかのように大胆に授業を行い、生徒からの反応も勝ち取ったMartin。仲間たちも、意気揚々と授業をする。しかし、段々と、酒が効かなくなってきて、「もう少し入れようかな?」と思い始める。血中アルコール濃度が、o.1%、0.5%、0.7%と上がっていく。それと同時に身体に異変が生じてくる。スーパーで買い物をしようにも、呂律が回らなくなり倒れてしまう。学校では千鳥足で、事情を知らない先生を目の前に豪快に壁ドンしてしまうのだ。

本作が面白いところは、引き返すことができるポイントをいくつか用意しているところにある。例えば、サッカーの授業中、水を忘れた生徒が先生に「その水頂戴」と言い寄る場面がある。しかし、その中身はウォッカか何かである。また、学校の倉庫から酒が見つかり犯人探し的展開が始まったりする。あまりに危険な状態になっているにもかかわらず、背徳の蜜、成功体験の旨味を知ってしまった彼らはやめることができないのだ。

そしてある時を境に、白昼堂々浴びるように酒を呑み始めてしまうのである。本作は、依存症映画として秀逸である。一度、蜜の味を知ってしまい暴走すると歯止めが効かなくなってしまう。そして冒頭、ラストに狂気を配置することで、観る者ですらアルコール中毒の世界の魔力に惹きつけられそうになるのだ。ドグマ出身監督だけあって、ドキュメンタリータッチで荒唐無稽ながらも生々しく中毒から抜け出せない人を描く様に脱帽しました。

日本公開は多分するでしょう。

ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷あたりで観られそうな良作でした。