YukiSanoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

4.0

バトル貞子かよ❗と突っ込みたくなるほどにニューホラーヒーロー誕生を目の当たりにする喜びに溢れたジェットコースターホラー。

何が起きてるのか理解できずに眠さと戦いながらダラダラと観て、どうせこんな展開
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ソロモンの偽証 後篇・裁判(2015年製作の映画)

3.8

スーパー中学生日記。法廷篇。

ついに本番を迎え、中学生達による裁判ごっこが始まろうとする。ただの裁判ごっこに見えて、彼らには譲れないアイデンティティーをかけた真剣な戦い。

そこの子どもと大人の温度
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ソロモンの偽証 前篇・事件(2015年製作の映画)

3.8

中学生日記 ハードコア篇。
宮部みゆき原作なので覚悟が必要かと思いきや、まっすぐな中学生が主人公なので青春エンターテイメントとして楽しめる佳作。

ただし闇は深く、ある中学生の死を巡る周りの人間のイジ
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.0

本当の作家性を爆発させている完全自主制作体制の映画。

これこそ21世紀のクリエイターのあるべき姿であり、商業スタイルなのではないかと思ってしまう。

好き勝手な表現と、ギリギリアウトな描写が気持ち良
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草原の実験(2014年製作の映画)

4.1

全編、台詞なし。

美しすぎる風景に、美しすぎる少女。

顔力のある男優達。
繊細な感性を刺激してくる研ぎ澄まされた映像美。

何も知らずに観たため、想像力が爆発し、脳がフル回転。

アフガニスタン辺
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

4.0

美しい地獄映画。
凄まじいカメラワークと色彩で目眩く青春の輝きと混乱、絶望を見せつけてくる。

音楽と音響も脳を刺激してきて、十代の頃の行き場のない興奮状態を上手く現している。

画面サイズが物語のテ
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

文学映画の最高峰。「羅生門」とか「ユリイカ」と同じレベルの傑作。

3時間あるけど、体感は2時間以下。

ひたすら細やかな心理を紡いでいるので常に緊迫感に包まれ、ふいに心の奥底の魂に触れてくる。

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浅草キッド(2021年製作の映画)

4.1

浅草版ニューシネマパラダイス。
驚異的な柳楽優弥の演技によって支えられた失われいく芸能のノスタルジックな実話。

劇団ひとりの前作、「晴天の霹靂」でも描かれた古き良き時代の芸人達の心意気や苦労を愛情い
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寝ても覚めても(2018年製作の映画)

3.9

とても奇妙な映画体験。
これが濱口ワールドなのか。

今まで食わず嫌いしてたけど、観てみてびっくりする変な味付けが、とても豊潤な映画的な体験を提供してくれる。

とりあえず恋愛ものでありながら、ホラー
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ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

3.9

DCの敗者復活篇。
家族の不幸で撮影途中で退陣してしまったザックスナイダーのリベンジムービー。

代わりにアベンジャーズの監督ジョス・ウェドンに本作を任せたワーナーのなりふり構わない態度が当時の混乱と
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孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.7

日本映画界に活を入れた前作を超えるために野獣を解き放った続編。広島死闘篇。

ヤクザというより、ほとんど殺人鬼ジョーカーのような上林という男に広島が滅茶苦茶になっていく様を見つめる怪獣映画のような任侠
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劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明(2020年製作の映画)

4.2

極限のサバイバルを描くファンタジー。隠れた大傑作。可愛い絵なのにR15指定。

それも納得の精神崩壊ギリギリの物語がこれでもかと観客の心に迫ってくる。最高に愛のある悪役ボンドルドの哲学が凄まじく、見た
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ワイルド・スピード/ジェットブレイク(2020年製作の映画)

3.5

本当に宇宙に行ったインフレ映画第9弾。

前作でもはや、やることなくなってきたから宇宙に行くしかないと言っていたら本当に行った。完結編に取っておくのかと思ってたら、もう使いきってしまい、凄いスピード感
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

愛しかなかった。
戸惑うほどに愛が爆発していた。
全てのスパイダーマンを愛した人、打ち切りに傷ついた人、新しいスパイダーマンに馴染めなかった人、そんな皆を抱き締めるために生まれた名作。公開初日に観て、
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.7

ゴジラとコングの対決とは小学生の夢。そこに決着が付くのか付かないのか、永遠の好奇心が爆発する。

そこには何のメッセージもいらない。

何のテーマもあってはならない。

人間ドラマに意味を持たせてはな
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マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.8

「マトリックス」を完全に終わらせる。
それが、この作品にプログラムされた使命。

社会システムへの反旗として登場した「マトリックス」という伝説のシリーズは、時と共にシステムに取り込まれ利用されるように
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ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結(2021年製作の映画)

4.4

ドブネズミみたいに美しくなりたい♪

という某名曲が聞こえてきそうな負け犬スーパーヒーロー映画。本当の英雄の資質とは何か、をジェームズ・ガンが謳い上げる。

前作の続編にもリブートにも見え、悪いところ
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るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

3.5

恐らく監督が最も望んで辿り着くことを心待ちにしていた最終章にして始まりの物語。

かなりマジな雰囲気で重々しく主人公の剣心はほとんどしゃべらない。だが本格的な時代劇かというと微妙な所で、シリーズの整合
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tick, tick...BOOM!:チック、チック…ブーン!(2021年製作の映画)

4.1

すべてのクリエイターが一度は通る年齢との折り合いと自意識の戦いが描かれる全クリエイター必見の青春の終わり映画。

何のために作っているのか?
誰のために?

それは働く1人1人、全てに言えるかもしれな
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ボクたちはみんな大人になれなかった(2021年製作の映画)

3.6

かなり世代が近いこともあり、心に穴を空けられた。

オザケンとかそんなに聞いてなかったけど、それでもあの時代は耳にしてない人間はいないくらいに象徴的存在。それが流れると自分の青春もえぐられる。

ある
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エターナルズ(2021年製作の映画)

3.9

悠久の時を越え、永遠に紡ぐ愛。大自然と共に生きる魂。ガイアと溶け合うことで知る自分。宇宙の誕生から星の死。神々への反逆。

これはクロエジャオの作家性を借りてMCUが全く新たな地平へと挑戦することを高
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シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

4.5

MCU単独映画の最高傑作。
香港映画の幕の内弁当。
アジア差別への解答。
ルッキズムへの挑戦。

ハリウッドの常識を全部覆して2021年米国興行収入暫定1位。

コロナで劇場を逃したことを最高に後悔し
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クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

3.8

超ハラハラドキドキ系モンスター映画で家族もの。とても上手でスリラーのお手本みたいな映画。

怪獣やモンスターとは社会的問題の象徴として描くと面白くなる。が私の持論。

ゴジラは核、エイリアンは性、ロメ
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パーム・スプリングス(2020年製作の映画)

4.2

日常無限ループもの。
毎日同じ日常を過ごす恐怖をどう乗り越えるかを笑いで訴えかけてくるハートウォーミングコメディ。

毎日同じ日常って要するに我々の惰性化したルーティンな生活も同じようなもの。少しの違
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るろうに剣心 最終章 The Final(2021年製作の映画)

3.5

憲法第9条のメタファー『るろうに剣心』シリーズ最終章。かつて人斬りだった罪を背負い、決して自ら戦いに挑まず、いかに大切な人を守れるのか?それは現代の日本に突きつけられた命題とも重なり、闘うことと護るこ>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

4.2

最後の映像革命作品。
1999年世紀末に現れた映画界の救世主。

この作品以降ハリウッドは単にCG開発が発展しただけで映像の創意工夫は萎んでいった。バレットタイムというMVなどで使われていた既存の技術
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.9

SFの古典で破格の映像体験を味わえるウルトラ超大作映画。

スターウォーズやナウシカ、というか全てのSF作品の基礎を持っている。ディヴッド・リンチとアレハンドロ・ホドロフスキーが果敢に挑戦して失敗して
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

これこそ、カジノロワイヤルから求め続けてきたボンドの終わり方。これ以外ないだろうと思っていたので前作スペクターでは完結編かと思って心底ガッカリした。しかし彼は戻ってきて、しっかりとケリをつけた。

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岬の兄妹(2018年製作の映画)

3.7

世界の片隅で愛を叫ぶ兄妹。
日本映画は感動ポルノか社会派ダーク系ばかりしかない気がする。もちろん、これは後者の方。

目を背けたくなるような存在、なのに目をそらせない。見たくないのに見つめてしまう現実
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孤狼の血(2018年製作の映画)

3.9

東映復刻バイオレンス架空実録もの。

腐った警察(日本映画界)のキラキラ男子代表の松坂桃李くんが、実は黒沢清作品や中島哲也作品で頭のおかしい刑事を演じまくっていた役所広司によって、東映任侠俳優に仕立て
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冷たい熱帯魚(2010年製作の映画)

4.0

最恐の胸糞映画でありながら、最高にポジティブなメッセージを放っているような気がする実話もの。

平凡な男がサイコパス夫婦に巻き込まれて地獄巡りする物語。

かつて、たまたまTVで本作の元となった埼玉愛
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.9

「誰もが、誰かの青春だ。」
というキャッチが胸に刺さる。

青春時代に共に過ごした旧友を思い出すことから、現在の自分を炙り出す物語。

佐々木は誰の記憶にも心当たりのある変な存在感の同級生であり、気の
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

3.8

ゲロを吐きそうなくらいの恋を観た(誉めてる)

運命の人と出逢い、そして完璧だった相性が時と共にズレていく物語。

学生時代の恋から大人になるまでを様々な実在したサブカル作品で埋め尽くして、同時代を生
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

4.0

世界中の抑圧された女性たちを救うために立ち上がった女性の物語。

戦争や国家の暴力、権力に利用され犠牲になった女性とハリウッドで虐げられてきた女優達を重ね合わせ、破格の制作費が投入された超大作映画。
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ノマドランド(2020年製作の映画)

3.8

アメリカンドリーム崩壊映画の決定版。

家を失ったアメリカの白人が辿り着いた場所は広大な荒野。寒さと闘いながら雄大な自然の中で排泄し、定住を否定する人々が本当に存在する。

帝国という名のエンパイアか
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

4.6

ただ涙が止まらなかった。

これは現実なのだという強烈な衝撃。

そしてタイトルの意味。
それは本当に当事者が残した言葉。

なるべく前情報なしで、あらすじも読まずに真っ白な状態で観て欲しい。

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