隠居した大学教授の夢と現実が入り乱れ、境界が曖昧になっていく。
モノクロに不釣り合いなSFチックな展開がなんとも新鮮。
終盤のとあるセリフで、今まで現実であると信じていたものすら虚構なのではないかと…
淡々と過ぎる時のなかに見え隠れする湿っぽい色気がフランス映画みたい。白黒の世界の中、丁寧で穏やかな暮らしを営む主人公。「敵」についてのメッセージが届いてから、後半はガラッと雰囲気がかわり、不穏になる…
>>続きを読む引退した大学教授が不穏なメッセージを受け取り少しずつ日常が変化して行く話。
吉田大八監督による筒井康隆原作小説の映画化。
モノクロという演出が不穏さ、寂しさ、怪しさ等全てに良い具合に作用していて成…
白黒で映し出される人間の輪郭には、なぜか妙な色気が宿る。色彩が奪われたぶん、息遣いや造形が際立ち、その人の生をむき出しにするのかもしれない。
前半の食事シーンが印象的。幸田文の『台所のおと』を思い…
吉田大八監督が筒井康隆の小説を映画化した心理劇。
(2025、1時間48分、モノクロ)
妻に先立たれ古びた日本家屋でひとり暮らす元大学教授・儀助(長塚京三)は、生活費が無くなったら命を絶とうと来る…
ⓒ1998 筒井康隆/新潮社 ⓒ2023 TEKINOMIKATA