アマチュアの作品情報・感想・評価

「アマチュア」に投稿された感想・評価

道具の持つ魅力がその人の人生を変えてしまう、という怖さと希望。
会社の記念撮影依頼というキッカケ以前にカメラを手にした瞬間から、ファインダーの中に没入していく主人公。8ミリカメラの美しい外観とあの何とも言えない録画中のジーっという音は人間の人生を巻き込んでしまう何かがあるんじゃないかと考えさせられる映画でした。
主人公のオッサンはもう本当に見ていて痛々しいけど、軽蔑する気にはなれずむしろ応援してしまう。
シニカルかつ愛着をもって人間を見つめるキェシロフスキ。
オタク映画。
産まれた我が子を映すために購入した8ミリカメラ、そのカメラ使って会社から頼まれ撮影した映像が高く評価され、妻と娘&会社そっちのけで映画を撮り続けて映画監督の道に猛突。
McQ

McQの感想・評価

4.2
産まれた娘の映像を撮るはずが、まさかまさかの映画監督デビュー!

映画好きであれば、ましてや一握りの成功を手にしたら、辞められる筈はない。

奥様に対し「この分からず屋!」
と叫びたくなったけど、この旦那の見事なまでの変わりように、結局奥様に同情、、笑

娘の映像を使ってカメラの扱いを教えるシーンでは、やり場のない切なさが。。

これは恐ろしく共感してしまった(ToT)
本多

本多の感想・評価

4.5
最初の鷹が鶏を襲うシーンでもう感動した

主人公が映画に夢中になっていくところで、プロの監督を気取り始めたあたりもいい感じに滑稽

文化担当相いい人すぎだろ

最後に自分を撮るシーンも皮肉っぽくていいね
mtmg

mtmgの感想・評価

3.9
ラストの方はけっこう深い。ある一方から見ると正しいことでもそれによって意図しない影響が生じて失ってしまうものもある。作家性を突き詰めることと安定した生活を維持することの葛藤や、カメラを人に向けることの恐さが描かれていて監督の実体験も含まれているのかなと思った。
haru

haruの感想・評価

3.0
娘の成長を記録するため、8ミリカメラを買ったモシュ。会社の上司から祝典を撮ってほしいと依頼されたことをきっかけに、映画作りに没頭していく。

初めて撮った映画が高評価だったことで、わかりやすく調子に乗る主人公。当時は珍しい8ミリカメラに、ご近所さんも会社の同僚も興味津々。やがて完成した彼の作品に救われる人も現れたりして、彼は映画作りにのめり込みます。
一方で奥さんや上司はちょいちょい忠告をします。ところが映画で頭がいっぱいの主人公には届かない。奥さんと娘との平穏な生活だけを望んでいたはずが、気づけば彼にはカメラ以外何も見えなくなってしまう。
共産主義下のポーランドでは、「ありのまま」に晒されるとマズイことも多かった。叩けば埃が出るのはエライ人だけじゃない。正直に生きることは必ずしも良いことではなく、場合によっては誰かを傷つけてしまうこともある。だけど誰かを傷つけてでも極めるのがプロ。
産まれたての娘を撮影しようと思って買った8ミリカメラのはずが、会社の式典映像を撮るように頼まれた主人公がどんどん映画撮影にのめり込んでゆく、という話。
式典途中にトイレに行く従業員までもカメラで捉える主人公、なんだか滑稽だなあと思っていたらアレヨアレヨと主人公の撮った映画が評価されていく…。奥さんは「あなたは私と子どもがいれば満足なのだと思ってた」と彼の映画を嫌う。映画を映画祭に出すときに推してくれた女性と楽しく電話してる際に、窓越しで奥さんが見ていてハッとなるシーンが素晴らしすぎる。奥さんがブチギレて家を出るときに、奥さんの後ろ姿を手でカメラの画角を決める動作をする行動、ああこいつはもう映画の沼から戻れないのだ…と確信するとこもグゥ。ラストシーンは泣ける。いくら自分がやりたいことをしていても、一番大切な人を不幸にさせてしまうことがある。切ない。難しいな。キェシロフスキ監督の体験なのかなあとも思った。
Zuidou

Zuidouの感想・評価

5.0
主人公が自分自身を映そうとするところでカメラがライフルか何かのように思えて、向けているのは間違いなくカメラなのに銃口にしか見えなくなった。浅野いにおが『零落』で描いたのと形は違えど全く同じ物が映っていた。表現者という名の化け物。自分が死にたいようなそうでもないような毎日を半ば無理矢理這う這うの体で生きてる理由の何割かはこんな映画が観たいからだ。感謝しかない。
カメラに魅せられた男。


娘の誕生を機に、カメラを購入したフィリップ。
元々娘の成長を記録するものだったが、ポーランドという国柄や時代背景により、カメラを持っていることが珍しい時代。
彼は工場のドキュメンタリー制作を工場長から依頼される。

"アマチュア"と"プロ"の違いとは。
人生のすべてを何かに賭けてまで、突き詰めるのがプロ。
中途半端なのがアマチュア。

『何かを得るためには同等の代価が必要になる』
何もかもを失ってまでカメラにのめり込むフィリップ。
疎かになっていく妻と娘との関わり。
衝突する会社の関係。
その代わりに得たものとは。


平凡で幸せだった毎日が、刺激的で意味のある毎日へと変化していく。
本作で印象的なのは、カメラにより成功が見えていくが、対照的に失っていくものも見えてくること。
表を映せば裏がある。
喜ぶ者がいれば、悲しむ者もいる。
社会では不都合な部分は削られていき、何事も綺麗に収めようとする。
この光景は当時のポーランドの検閲とダブる。
映画の中の映画を通して、最後には製作者本人を覗き込むような構図になる。

誰かのために映画を撮る。
ただの仕事が、いつしか生きがいへと変わっていく。
自分が撮った映画が賞を授賞して、観ている人が笑顔になってくれる。
こんなに嬉しいことってあるんだろうか。
本作を観ていて思ったのは、おもいっきり主人公目線の映画だからこそ、観客も奥さんとか工場長が撮影を邪魔しているように見えるんだよね。
だからこそ、ラストシーンは唸る。
自分は何のためにこのカメラを握っているのか。


カメラとは永遠の時間を作り出す空間。
日常の何気ない風景が、ひとつの芸術として映し出される。
映画とはどうあるべきか?
最終的にはこう繋がっていくのかな。
本作はキェシロフスキー監督がドキュメンタリー畑ということで、フィリップというキャラクターは監督の投影のよう。

誰もが自分から情報を発信できるようになった現代。
表の世界も裏の世界も表現できる。
誰もがアマチュアからプロへと姿を変える可能性がある。
それが良いことか悪いことか。
だったら僕は"アマチュア"のままでいいかな。