低開発の記憶-メモリアス-の作品情報・感想・評価

「低開発の記憶-メモリアス-」に投稿された感想・評価

Nana

Nanaの感想・評価

3.4
キューバ革命の後、富裕層の男が戦後の日本の斜陽族のように没落していく不安を描いた作品

キューバ革命後、フィデルにウジ虫と言われマイアミに亡命した富裕層 しかし、キューバ人のプライドを持って祖国に残ったものは、低開発の国に変わっていく戸惑いを感じたはず その心情が良く出ている

ピッズス湾事件、キューバ機器、フィデルの演説など歴史的記録としても価値がある
ヘミングウェイ博物館にも、ヘミングウェイと共に過ごした人がまだいるし

60年前のファッションは一周まわって今おしゃれ
白黒の映像が古いフランス映画のようで、ちょっとイラッとしたけど、見る度に新しい発見がある映画
Show

Showの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

良かったところ
・ピッグス湾事件を知るきっかけになったとこ
・集団と個人の責任についてのシーン
・主人公が達観することで目の前の問題から逃げているように見えるところ
・当時のキューバの空気感を感じられたところ
まーゆ

まーゆの感想・評価

3.5
フェリーニの諦観とアントニオーニの不条理を往来しつつヌーヴェルヴァーグに寄り道するような映画。明らかに寄せてるってのはあるが途中から主人公がマストロヤンニにしか見えねぇ。あと前作の時も思ったがアレアは模範や引用が本当に上手いなと。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.8
「低開発の記憶-メモリアス-」

冒頭、1961年、ハバナ。家族の出国、小説を書く資産家セルヒオ。不動産没収、保証期間、家賃収入、高層マンション、望遠鏡、高級ホテル、プールサイド、経済的、精神的、傍観者。今、次第に自分をも巻き込む時代の幕開けと人生の記憶を辿る男の物語が始まる…本作はトマス・グティエレス・アレアが1963年に監督したキューバ映画の原点とまで評価され、ドキュメンタリー映像を交え、当時の社会を描いた彼の1番の有名作でありながら最高の1本である。この度、DVDを購入して初見したが傑作だった。

本作は2007年のキューバ映画祭にて上映されていたが、劇場で見逃してしまった為ようやく鑑賞した(2007年て中2だから全くもって映画に興味がなかった時期)。
まずこの作品はスクリーンから漲る圧倒的な緊張感が観客を襲う。まるで当時のハバナにタイムスリップしたかのような感覚に陥る。これがラテンアメリカ映画の傑作なのかと思う。この作品の情報を見る限り1974年ニューヨークタイムスでベストテンにあがっているようだ。

本作は監督がカストロの"祖国か死か"の演説をはじめ、当時の貴重なドキュメンタリー映像を使いながら、革命直後の世相や人々と街の様子を冷静に映したフィルムである。まぁ正直イベロアメリカ映画ベスト100に選ばれ堂々の1位に輝く名作とされているが、個人的には今回5本見たキューバ映画(実際は6本だが、1本はアルゼンチン映画なので計算していない)の中では第3位に当たるかな。



さて、物語は革命勝利後の1961年から62年にかけてのハバナを舞台に、ピックスワン事件や核戦争などを題材にキューバミサイル危機前夜までの社会の緊張や数多くの資料映像で真実を映し出すドキュメンタリー風の作品を1人ハバナに残る資産家セルヒオの目を通して資産階級と革命の双方に疑問を投げかけた映画だ。

因みにキューバ危機と言うのはケネディ大統領の時代に旧ソ連が核弾頭搭載可能な中距離ミサイル基地をキューバに建設し始めた事により、米国とキューバを含めソ連が核戦争起こすんじゃないかと言う全世界に恐怖を与えた事件(出来事)である。

本作は冒頭から非常に喧騒なシーンで始まる。まるでリオのカーニバルを見ているかの様なキューバによる一種の祭りのようなダンスフロアが映り込む。そうした中、1人の女性のクローズアップが静止画へと変わる。そして1961年、多くの人が国を去ったと言う解説文が画面上に現れる。そして空港の中が映され、そこでは涙をハンカチで拭く老女の姿や笑顔の子供のショット、修道女、軍の人、腕時計など貴金属を確認されている人、書類に出国の印をされる人、抱き合う人など様々な人間模様が写し出される。

そこから主人公の男がキューバの街を徘徊しつつ、ひたすら様々な歴史や文化や出来事の説明をしたり、彼自身意味のわからない行動をとったり、街の人々の表情のクローズアップや、店などをただ捉えていく。そしてドキュメンタリーとフィクションの融合の始まっていく…と簡単に説明するとこんな感じで、どうやらこの作品はキューバの学校かは分からないが、映画学校などでは教材として使われているようだ。


それにしてもバティスタ大統領が亡命し、革命が勝利した59年の時代とゲバラとカミーロが1月2日に、6日にはカストロがハバナ入りし熱狂的な歓迎を受ける2年後の話を俺らが見ているって思うと何かすごいものを感じてしまう。

この作品の主人公一応小説家っていうか物書きなのだが、この作品にはほとんどというか書いている姿とかも全く見受けられず、基本的には資料映像とハバナの街を歩きまわる日々が映される。その中で複数の女性に出会っていろいろと絡んだりをするが…。それにしても今の北朝鮮問題とかを見ているとこのキューバ危機の時でさえ大統領はキューバへ向かう船舶の臨検をを行うと宣言したのにも関わらず、この北朝鮮問題には船舶の臨検は特にしないんだよなぁ。といってもそれしたらほぼ戦争状態になるけど…。

それにしてもこの映画VHS並みの画質の悪さなのだが、どうやら当時のアメリカの経済制裁による電気力不足とかでダメージをくらってしまって、キューバの映画芸術産業庁が手持ちの中で1番美しいと言うベーカムを元に作っているらしい。そういう理由があるのなら仕方がないが…!



この映画凄いことに、ラジオなのか録音機なのかとりあえず男女の会話がひたすら音で流れる中、主人公である男の人がホテルの1室で女性のコスメ道具をいじったり、挙句の果てにはストッキングを頭から被ったり、化粧道具の鏡に口紅で顔を書いたりと、わけのわからない行動をする場面を結構な時間で見せられて驚いた。

そしてカットが変わった瞬間にキューバの街並みにを歩く様々なファッションをした女性(髪型や服装、飾り物など)の姿を捉える。この映画少しばかりのフェミニズムっぽい感じがする。


この映画は結構不気味な音楽を使ってるんだけど、編集が下手なのか途端にすぐに消えて違うシーンに変わっちゃうからちょっと落ち着きがないなぁと思ってしまった。せっかく音楽使うんなら不意に何度も遮断したら勿体無い…もうちょい使ってもいいだろうと思うのだが。あえてそうしてるのかよくわからないけど、個人的にはそれがちょっと微妙だった。

それから当時の資料映像を大量に使いまくっていて、多分この映画60年代のこの公開当時に見たら非常に戦慄するような怖い映画なんだなと思う。今でこそキューバ危機も乗り越えて平和な時代(仮)なっている恵まれたこの時に、この作品を見てもやはり怖さが当時よりかは減少してしまうが、映像の持つ真実と迫力の両方は細胞に突き刺さるメッセージ性と怖さが感じ取れる。


余談だが、プエルトリコ出身の俳優で「トラフィック」でアカデミー賞最優秀助演男優賞受賞してオスカー俳優で、今も人気のベニチオ・デル・トロはこの作品をベストテンの1本に上げている。さらに2004年にはメキシコ出身の俳優(自分もかなり好きな役者だが)のガエル・ガルシア・ベルナルが最も刺激を受けた1本としてニューヨークで自ら紹介している話があるようだ。そういう事を考えるとやはりラテンアメリカの映画人が誇る1本なんだなと思わされる。
どなべ

どなべの感想・評価

2.0
映像で何かを描くというよりも、自尊心の高い男の語りがずーーっとあるだけなので、見ていて楽しくない
革命戦争かなにかの資料も使われているが、なぜか映像でなく写真を見せてくるばかりなので、これも退屈
まあ明らかにフランスのニューウェーブのパクリなので、好みなら好きだろうし、私は好みでないので「怒りのキューバ」をもう一度見ることにする
自分がこういうフランス映画っぽいのニガテなのをつくづく実感した。主人公がそれはそれはイヤなやつだった。
あの

あのの感想・評価

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このレビューはネタバレを含みます

女性を征服する対象としてみる女性蔑視的視点と、変わりゆくキューバとを対比させているのか?と思った。革命するか亡命するかという対立しかなかったのだろうか
戦争をゲーム扱いしているという台詞があるが、セックスをゲーム扱い(録音したり行為を済まさずにはいられなかったり)している主人公の立ち位置よ
レベルの違うところでずっと対比させているような感覚があり、疲れる

だから動乱の時期を映した貴重な作品というより、主人公のマスキュリニティ(感情の発露をバカにしたり)がえぐいな〜〜&どんな場にいても男らしさ的生き方は変わらないんだろうなという感想になってしまった。女性関連の記憶しかないのはなんなんだ。美術館のカットは良かった。
授業で観た
時代背景の説明聞いたらなんとなく理解できた
キューバ映画って観たことなかったから、勝手に音楽ー、戦争ーみたいな作風かと思ってたら、めっちゃ文学的で意外
未発展な国ほど実は悶々と考え込んでるんかな
キューバ映画もっと観てみたい
No.484[結局一番低開発なのは…?、傍観者を傍観する映画] 72点

キューバ映画史上最も重要な作品の一つであり、グティエレス・アレアの代表作。初めて見たキューバ映画が「ルシア」という残念な映画だったのだが、抜群のセンスが垣間見えるタイトルに惹かれ続けていた。

キューバ革命後に亡命か残留かを迫られたブルジョワ階級のセルヒオは家族と妻をアメリカに送って独りキューバに残る。掃除婦ノエミや田舎から出てきたエレナを都会風に洗練しようとしたが失敗し、彼女たちを或いはキューバそのものを"低開発"と切り捨てる。この諦念に似た自我のゆらぎを楽しむ映画といえばそうなのかもしれないが、自分本位さがそのまま女性蔑視や自国蔑視に繋がっていて、ただ単にヨーロッパに憧れてる惨めなオッサンにしか見えなかった。おそらく彼の理論で言えば人類全てが"低開発"であり、それにはセルヒオ本人も含まれていると思うが、本人は自分を傍観者としてその枠の中に入れてないのが腹立たしい。しかも、彼の言う"洗練"は"機会"と"習慣"によってしか得られないものだから、ブルジョワ自慢にしかなってないのもムカつく。

映画的な解決策はエレナの家族に訴えられて無罪になるという超どうでもいい話を推進力に進んでいくので"結局女じゃん"という議論に終始してしまう感じも残念だった。「ルシア」も本作品もオープニングは好きなので、キューバ映画はオープニングで爆散する運命にあるんだろうか。

しかし、よくよく考えてみると超つまんないことでマウントとろうとする人はそのへんにウヨウヨいるから、そういうイタイ人を眺める映画として、傍観者を傍観する映画としては優れてるんじゃないすか。

追記
なんか見たことあんなぁと思ったらエスリンダ・ヌニェスは「ルシア」にも出てた。二部ルシアだよ。
キューバ映画史に残る傑作と誉高いにもかかわらず日本でDVDレンタルがされていないこの作品をBD購入して鑑賞。

キューバらしい熱気とドキュメンタリータッチの撮り方(というか実際の出来事を撮った映像も多分に含まれていそう)に始まって早々心を掴まれ、この調子で最後までいけば確かに名作として語り継がれているのも納得といった具合だった。

そして本題に入ると、熱量は減じてしまったけれども主人公の男の生活をぶつ切りにしてヌーヴェルヴァーグ的に描いたドラマにニュース映像や写真、果ては他の映画の引用を挿入するようなスタイルは中々個性的で面白味があった。

問題点としてモノローグが多すぎるところや主に語られる主人公とナンパした娘の顛末が非常にどうでもいいという(結構致命的な)ところがあるものの、映像自体や画面端で密かに映される風俗の模様とかが目を惹くシーンも多くて、その点は興味深いところではあった。

同じくキューバを描いた傑作である怒りのキューバと違いベタ褒めするようなものでもなかったが、買って損したと思うほどの駄作でもなかったから意を決して購入して良かったとは思う。(値段も劇場で見るのとそんなに変わらなかったし)
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