低開発の記憶-メモリアス-の作品情報・感想・評価

「低開発の記憶-メモリアス-」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

もっと堅苦しい抽象的な作品かと思って構えてたけど、うまい具合に個人的な部分と社会的な部分が交錯していてタイトルほど観にくくはない。とはいえ、キューバ危機や革命についての知識を少し入れた上の鑑賞だったから、それがなかったら分からない部分(ラストとか)はある。

過去を写真や静止画で提示しているから導入がわかりやすい。現在は過去の蓄積である事は間違いなくて現在なんてものはもしかしたらないのかもしれない。にしても彼女を低開発な人間と突っ張ねたのは罪だよねぇ、気持ちはめちゃくちゃ分かるが。

ゴダールっぽかった。
【世界シネマ大事典】ラテンアメリカ映画
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ゴダールレネ吉田喜重らに近接して見えるが、それはキューバ革命そのものが無視できない存在だから。むしろ主人公はロメールの理屈っぽい知識人そのもの
菩薩

菩薩の感想・評価

3.5
革命にも乗れず亡命する勇気すら無い厭世おじさんがそこら辺の若い子に手出しながら俺はもう老いたから…ってトリュフォーみたいな事言いながらウジウジしている。西洋的な価値観こそが全てでそれ以外は全部カス、だからと言ってキューバ人としてアメリカに逃げるのも何か違う…ちなみに働いてもいないのに家賃収入はあるブルジョワ、どうせそれも国家に没収されるしキューバ危機は迫るし…と、メンタル的にはもう無理死のうな感じだが自殺する訳でも無い。ままならない人生を環境と時代のせいにして逃げているだけのおじさんなもんで同族嫌悪で死にそうになる、しかも金だけはあるから多少モテるのが更にムカつく…。こう言うおじさんはどこ行っても何にもなれずに何も出来ずに死んでいくだけ、ソースは俺。一人の女性すらモノに出来ないあたり彼が「アメリカ」になれない事を物語っているのだろうけど、ブルジョワ側視点から革命を見つめると確かにこうなるのかもねとは思った。
Fe

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3.9
熱っぽい
男性的、権威的、自己欺瞞的 小説の、西洋かぶれのインテリ中年という人物像にぴったらの顔立ちの俳優だなとおもった 結局、政治も文化も女性も、インテリジェンスの飾りとしてしか認識できていない主人公が一番「低開発」に絡みとられているのでは…?と、原作を読んだときとおんなじ感想に至った わたしが彼をこんなふうに見下しているのも、ある種の自己欺瞞かもしれないけれども…っ
ところどころに挟まれる実際のニュース映像の迫力と、主人公の悩みの卑小さが対照的だなとおもった でも人間だいたいこんな感じなのかもしれない、人間…
Nana

Nanaの感想・評価

3.4
キューバ革命の後、富裕層の男が戦後の日本の斜陽族のように没落していく不安を描いた作品

キューバ革命後、フィデルにウジ虫と言われマイアミに亡命した富裕層 しかし、キューバ人のプライドを持って祖国に残ったものは、低開発の国に変わっていく戸惑いを感じたはず その心情が良く出ている

ピッズス湾事件、キューバ機器、フィデルの演説など歴史的記録としても価値がある
ヘミングウェイ博物館にも、ヘミングウェイと共に過ごした人がまだいるし

60年前のファッションは一周まわって今おしゃれ
白黒の映像が古いフランス映画のようで、ちょっとイラッとしたけど、見る度に新しい発見がある映画
Show

Showの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

良かったところ
・ピッグス湾事件を知るきっかけになったとこ
・集団と個人の責任についてのシーン
・主人公が達観することで目の前の問題から逃げているように見えるところ
・当時のキューバの空気感を感じられたところ
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

3.8
「低開発の記憶-メモリアス-」

冒頭、1961年、ハバナ。家族の出国、小説を書く資産家セルヒオ。不動産没収、保証期間、家賃収入、高層マンション、望遠鏡、高級ホテル、プールサイド、経済的、精神的、傍観者。今、次第に自分をも巻き込む時代の幕開けと人生の記憶を辿る男の物語が始まる…本作はトマス・グティエレス・アレアが1963年に監督したキューバ映画の原点とまで評価され、ドキュメンタリー映像を交え、当時の社会を描いた彼の1番の有名作でありながら最高の1本である。この度、DVDを購入して初見したが傑作だった。

本作は2007年のキューバ映画祭にて上映されていたが、劇場で見逃してしまった為ようやく鑑賞した(2007年て中2だから全くもって映画に興味がなかった時期)。
まずこの作品はスクリーンから漲る圧倒的な緊張感が観客を襲う。まるで当時のハバナにタイムスリップしたかのような感覚に陥る。これがラテンアメリカ映画の傑作なのかと思う。この作品の情報を見る限り1974年ニューヨークタイムスでベストテンにあがっているようだ。

本作は監督がカストロの"祖国か死か"の演説をはじめ、当時の貴重なドキュメンタリー映像を使いながら、革命直後の世相や人々と街の様子を冷静に映したフィルムである。まぁ正直イベロアメリカ映画ベスト100に選ばれ堂々の1位に輝く名作とされているが、個人的には今回5本見たキューバ映画(実際は6本だが、1本はアルゼンチン映画なので計算していない)の中では第3位に当たるかな。



さて、物語は革命勝利後の1961年から62年にかけてのハバナを舞台に、ピックスワン事件や核戦争などを題材にキューバミサイル危機前夜までの社会の緊張や数多くの資料映像で真実を映し出すドキュメンタリー風の作品を1人ハバナに残る資産家セルヒオの目を通して資産階級と革命の双方に疑問を投げかけた映画だ。

因みにキューバ危機と言うのはケネディ大統領の時代に旧ソ連が核弾頭搭載可能な中距離ミサイル基地をキューバに建設し始めた事により、米国とキューバを含めソ連が核戦争起こすんじゃないかと言う全世界に恐怖を与えた事件(出来事)である。

本作は冒頭から非常に喧騒なシーンで始まる。まるでリオのカーニバルを見ているかの様なキューバによる一種の祭りのようなダンスフロアが映り込む。そうした中、1人の女性のクローズアップが静止画へと変わる。そして1961年、多くの人が国を去ったと言う解説文が画面上に現れる。そして空港の中が映され、そこでは涙をハンカチで拭く老女の姿や笑顔の子供のショット、修道女、軍の人、腕時計など貴金属を確認されている人、書類に出国の印をされる人、抱き合う人など様々な人間模様が写し出される。

そこから主人公の男がキューバの街を徘徊しつつ、ひたすら様々な歴史や文化や出来事の説明をしたり、彼自身意味のわからない行動をとったり、街の人々の表情のクローズアップや、店などをただ捉えていく。そしてドキュメンタリーとフィクションの融合の始まっていく…と簡単に説明するとこんな感じで、どうやらこの作品はキューバの学校かは分からないが、映画学校などでは教材として使われているようだ。


それにしてもバティスタ大統領が亡命し、革命が勝利した59年の時代とゲバラとカミーロが1月2日に、6日にはカストロがハバナ入りし熱狂的な歓迎を受ける2年後の話を俺らが見ているって思うと何かすごいものを感じてしまう。

この作品の主人公一応小説家っていうか物書きなのだが、この作品にはほとんどというか書いている姿とかも全く見受けられず、基本的には資料映像とハバナの街を歩きまわる日々が映される。その中で複数の女性に出会っていろいろと絡んだりをするが…。それにしても今の北朝鮮問題とかを見ているとこのキューバ危機の時でさえ大統領はキューバへ向かう船舶の臨検をを行うと宣言したのにも関わらず、この北朝鮮問題には船舶の臨検は特にしないんだよなぁ。といってもそれしたらほぼ戦争状態になるけど…。

それにしてもこの映画VHS並みの画質の悪さなのだが、どうやら当時のアメリカの経済制裁による電気力不足とかでダメージをくらってしまって、キューバの映画芸術産業庁が手持ちの中で1番美しいと言うベーカムを元に作っているらしい。そういう理由があるのなら仕方がないが…!



この映画凄いことに、ラジオなのか録音機なのかとりあえず男女の会話がひたすら音で流れる中、主人公である男の人がホテルの1室で女性のコスメ道具をいじったり、挙句の果てにはストッキングを頭から被ったり、化粧道具の鏡に口紅で顔を書いたりと、わけのわからない行動をする場面を結構な時間で見せられて驚いた。

そしてカットが変わった瞬間にキューバの街並みにを歩く様々なファッションをした女性(髪型や服装、飾り物など)の姿を捉える。この映画少しばかりのフェミニズムっぽい感じがする。


この映画は結構不気味な音楽を使ってるんだけど、編集が下手なのか途端にすぐに消えて違うシーンに変わっちゃうからちょっと落ち着きがないなぁと思ってしまった。せっかく音楽使うんなら不意に何度も遮断したら勿体無い…もうちょい使ってもいいだろうと思うのだが。あえてそうしてるのかよくわからないけど、個人的にはそれがちょっと微妙だった。

それから当時の資料映像を大量に使いまくっていて、多分この映画60年代のこの公開当時に見たら非常に戦慄するような怖い映画なんだなと思う。今でこそキューバ危機も乗り越えて平和な時代(仮)なっている恵まれたこの時に、この作品を見てもやはり怖さが当時よりかは減少してしまうが、映像の持つ真実と迫力の両方は細胞に突き刺さるメッセージ性と怖さが感じ取れる。


余談だが、プエルトリコ出身の俳優で「トラフィック」でアカデミー賞最優秀助演男優賞受賞してオスカー俳優で、今も人気のベニチオ・デル・トロはこの作品をベストテンの1本に上げている。さらに2004年にはメキシコ出身の俳優(自分もかなり好きな役者だが)のガエル・ガルシア・ベルナルが最も刺激を受けた1本としてニューヨークで自ら紹介している話があるようだ。そういう事を考えるとやはりラテンアメリカの映画人が誇る1本なんだなと思わされる。
どなべ

どなべの感想・評価

2.0
映像で何かを描くというよりも、自尊心の高い男の語りがずーーっとあるだけなので、見ていて楽しくない
革命戦争かなにかの資料も使われているが、なぜか映像でなく写真を見せてくるばかりなので、これも退屈
まあ明らかにフランスのニューウェーブのパクリなので、好みなら好きだろうし、私は好みでないので「怒りのキューバ」をもう一度見ることにする
自分がこういうフランス映画っぽいのニガテなのをつくづく実感した。主人公がそれはそれはイヤなやつだった。
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