少年Hの作品情報・感想・評価

『少年H』に投稿された感想・評価

水谷豊はそんなに演技の上手い人ではない。
相棒のイメージがつき過ぎてて、何をやっても右京さん。キムタクよりひどい
電気羊

電気羊の感想・評価

3.3
第二次世界大戦中の日本。父親はテーラー、母親はクリスチャンの家庭に育った絵を描くことが好きな主人公のハジメ=少年Hは、海岸でスケッチしたり、欧米の有名画家の模写をしたりしていた。

戦争は終局に入り本土決戦も間近になると、主人公の通う学校でも少年兵としての軍事教練を受けることに。
そんなある日、外国人とも取引が多かった父親がスパイ容疑で陸軍の拷問を受ける。結果、容疑なしで放免されるのだが、主人公は理不尽な軍人に対して憤る。

そして本土決戦に破れ焼け野原となった東京で天皇陛下の玉音放送を聞き、日本が敗れたことを知るのだが。

疎開していた主人公の妹が田舎から白米と食料を持って東京へと戻って来る。住んでいるバラックの長屋で家族全員で食事をしていると、その様子を壁の隙間から伺った隣の部屋の一家から「お腹が空いた」という声が聞こえてくる。
母親は隣人愛に基づき、少ない食料から差し入れをしようとするが、主人公は、癖になるから止めろと正論を唱える。父親へ意見を伺うが父親は黙して語らずを貫く。

街へ出た少年は、学校に通っていた頃、自分に辛く当たっていた上官が頭をぺこぺこ下げながら闇市で一般市民として質屋や修理屋を営んでいるのを見て、軍人としての覚悟を説いていたのは何だったのかとわだかまりを覚える。
そのことを父親に話すと、父親は人々は生きるためにいろんな事情を抱えている。お前も自ら考えて生きろと諭す。

少年は、食料を分け与える母親や、かつての上官の姿から生きていくのは正論だけでは成り立たないことを悟るのであった。

正論や理詰めで話すことを得意に語るバカがいるが、そんなものは本道では役に立たない。
人を動かすのに必要なのもの。それは仁か利なんだよな。
桜子

桜子の感想・評価

4.0
戦争を乗り越えた一家族の物語。
目線が少年だから余計に戦争に突っ走った日本の愚かさが際立って見える。

赤紙が来て、何がめでたい?
未来のあるはずの若者が死にに行くことが何で万歳なんだ?
抑圧された一般市民たち。
しかも伸び伸び遊びたい盛りの子供たちまで。

日本のアホさ加減がよくわかる映画。
そもそも戦争なんて愚かなことなのに、こんなんだから日本は勝ち目のない戦争に突入し、負けたんだなと思う。
本当に馬鹿だ。

逆に水谷豊演じるお父さん役が凛として正しく、めちゃくちゃいい男だ。
昔、小説は読んだんだけど…地元に近い話だったので、その後母に本を奪われた!だから、内容あまり覚えてないけど💦
妹尾河童の自叙伝小説が原作。終戦時中学生だったから、もう既に92歳になられてるけど、まだご健在なんですね。
少年時代を戦前から戦後の時代を過ごした生活が描かれてるんだけど、この時代にしては、他の家庭と違ってキリスト教に信仰が深く、父親も紳士服の仕立て屋という、当時にしてはちょっとハイカラ。外国人とも仕事をしていたりしたら、そりゃ目付けられるわ。そんな家庭環境だから、他の人とちょっと感性が違うんだろうな。
それにしても、中学生からもう軍人育成教育されるんだ。戦車に向かってって、もうそれは自爆行為。中学生に拳銃ってのも怖い😨ホント、戦争って何のため?何も生み出さない。残るは焼け野原だけ。プーチンさん、ホント考えて〜
戦争体験をされた方がいなくなってきたら、戦争の恐ろしさを伝えていく人がいなくなっちゃうので、やはりこういう作品で残していかなきゃいけないですね。
水谷豊&伊藤蘭夫妻、作品の中でも仲が良いですね。この2人、他にも共演されてますが、本当に仲良いんだろうなぁ〜。観てても微笑ましいわ。
🇯🇵20220822#166
家が燃えたあとの水谷豊の表情が優勝すぎて震えた。
この表情だけでも見る価値ある映画

戦後も同じ子役使ってるのはちょっと違う気がする
qp

qpの感想・評価

4.5
 戦争中に外国人相手に洋服屋を営む盛夫の息子の肇は正義感が強く、はっきりと言ってしまいます。外国人と付き合いがあることから差別にあい、という話です。

 戦時中の映画や本は観たり読んだりしたことはあるので、戦時中の状況はある程度想像できます。ただ、やはり自分が好きな仕事をしていればそれを続けることができること、自分が信じたいことを信じられること、家族が一緒に過ごせること、夜静かに眠れるかどうか心配しなくていいこと、海外のことについて自由に話せることなど今の時代は恵まれているなと心の底から思いました。

 特に盛夫と肇の親子のやり取りが非常に良かったです。肇がいじめられるようになり、盛夫が疑われるようになった契機は何気ないことです。それでも、肇は思ったことを言い続けるので、客観的に見ていて勉強になりました。自分も一言多いタイプなので

 その盛夫に代表されるように、戦時中にもまともな判断ができる人がたくさんいたことを垣間見ることができました。もちろん、マスコミの報道や雰囲気等に流されていて戦争万歳になる人もいましたが、多様な人を子供の視点から描かれているのが面白かったです。そして、肇が本当に尊敬している人もよくわかります。

 戦時中だけではなく、今でも変わらない光景もあると思います。平時でも肇のような出る杭は打たれる状況は変わりません。戦争が人をおかしくしている部分と、戦争は関係のない部分が分かれているなと感じました。

 ただ、取り締まらなければいけない状況が十分に描かれていないのも事実です。外国人と文通しているということは確かに怪しい部分もありますからね。その正当性の部分も描いてほしいなと勝手に思ってしまいました。
「少年H」が出版された時、これはすぐ映画化されるだろうなと思っていたが、映画化されるまで長かったですね。
確かテレビの2時間ドラマがは先に製作されていたけれど。

水谷豊がお父さん役か、この人ももう60代なんだけどな…、と「熱中時代」世代の私は思ったのだが、いざ観てみると、60代の枯れた感じが、世の中を冷静に見ているH君の父親のキャラクターにピッタリで、よく合っていました。

しかし、神戸の大空襲や、戦後の日和見の大人の態度など、少年H君から見たら許せないと思ったところもちゃんと描いてはいたけれど、映画としてはテレビの特番の様なアッサリ目でした。
もっと映画ならではの、濃い内容にしてくれてもよかったのにな。
時流に流されて思想が一転してしまう大人を観て、「あいつら、水の中でふらふら揺れるわかめみたいや」と少年Hが憤る。信仰一筋の母と、物事の本質を見極めよと諭す、穏やかではあるが芯の通った父。思春期の多感な時代を戦争に翻弄されつつも、しっかりと両親の気質を受け継いで、真剣に悩み、自分の生き方を模索していく少年Hに敬服する。

焼け野原にたたずむ水谷豊さんの表情が圧巻。そして息子との再会のシーン。焼死体のごろごろしている焼け跡地で、互いの無事を喜びつつも抱きあうことのできない二人に胸が詰まった。

私として印象に残ったのは、教会からの帰り道、隠れキリシタンにつきつけられた踏み絵の話となって「私は絶対踏まない」という敏子さんに対して盛夫さんが「踏んでもええのや」というシーン。原作にはなかったように思う。遠藤周作さんも実際に踏み絵を見たときに、踏み絵のイエス様は「踏んでもよい」とおっしゃっているように見えたと書いておられた。

太平洋戦争の時代、ドイツでも韓国でも実際に踏み絵を迫られ、踏むことを拒んで多くの殉教者が出た。日本でも思想犯として捕えられ、獄中死した人はたくさんいる。そして今も、踏み絵をつきつけられ、必死に抗い、心や身体が蝕まれている大阪府や東京都の先生たちがいる。

自分は時流に流されずに世相を見つめ思考しているか、踏み絵をつきつけられて拒むことが出来るか、そもそも思想・信教の自由を保証せずに踏み絵を迫る状況に憤り行動しているのかと考えさせられた。

って、映画のポイントとずれているかな。

すでにモスクワで獲っているけど、この作品もいっぱい賞を獲って欲しい。特に、少年H役の吉岡くんにはぜひ新人賞を獲ってもらいたい。

 
信念と調和かー
今の価値観では、周り全体が間違っていると分かるけども。なかなか、な。
この子供素晴らしいな。
本作原作の冒頭に、このような「おことわり」がある。
「この本は総ルビに近いほど、漢字という漢字にルビをふりました。(中略)ぜひ少年少女にも読んでほしいという思いをこめて、昔のような本にしました。」
監督は降旗康男さん、脚本は古沢良太さん、水谷豊さんと伊藤蘭さん夫妻主演のこの映画は、原作の思いを酌むように、少年少女にも第二次世界大戦の日本がどのようなものであったかを分かり易く描いている。
妹尾河童さんのこの長編小説は122分の枠に全て網羅することは出来ないので、多少エピソードを割愛しているが、映画化作品として上手く纏めていると思う。
原作を読んで感じていたが、映画では更に妹尾家の家族の絆がより強く描かれている。
今では失われてしまった感のある一家の大黒柱としての父、愛に満ち、家族を陰で支える優しい母、家族思い、兄思いの妹、そういう家族に囲まれた「少年H」こと肇の生活は、戦時中という厳しい環境下だから尚のこと、その家族の温もりが伝わって来る。
この映画は声高に戦争反対を訴えていない。
あくまで普通の少年・肇の目を通して、開戦直前、戦時中、終戦直後の自分の身の回り、学校や家庭、町内の様子、開戦と共に変わっていく生活、戦争が進むにつれ納得出来ないことや決まり等を素直な気持ちで描いていく。
多感で一言多くて損ばかりしている「少年H」こと肇を演じた吉岡竜輝くんが上手い。
そして本作を牽引したお父さん・盛夫とお母さん・敏子を演じた水谷豊さんと伊藤蘭さんが、実際のご夫婦だということもあり、息の合った演技を繰り広げている。
この映画で言いたかったことは、原作にも出て来る肇の次の言葉に尽きるような気がする。
「この戦争は、いったいなんだったんや!」
焼け野原になった町、多くの人々が戦死したり、空襲で亡くなった戦争が終わると、手の平を返したような態度をとる大人たち、そして虚無感に囚われる人。
全てを失ったところから「不死鳥」のように立ち上がる人々を描いて、映画は幕を閉じる。
忘れてはいけない「歴史の1ページ」を、恰もルビをふったような感じで映画で描き、子供たちにも分かるようにした本作は、家族の温もりと共に我々に語り掛けてきます。
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