6/10公開の新作、アンジェイ・ワイダ『残像』のレビューを書きました。巨匠ワイダの新作にして「遺作」です。フィルモグラフィーを貫通する抵抗のモチィーフを、『残像』特有の色彩から論じています。
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アンジェイ・ワイダの遺作。
マネキンの手、赤く染まる部屋、青く染められた花、タイプライター、イコン。個人の自由がどれだけ儚いものなのかを、ストーリーテリングとあらゆる細部を用いて詳細に語っていく。…
白いカンバスが、自分の意思とは関係なく赤く染められていくシーン。
白い花を、自らの意志で青く染めるシーン。
このコントラストが見事でした。
ラストシーンでの娘の振る舞いを見て、この映画の…
このレビューはネタバレを含みます
イデオロギーが何であれ、表現の自由に規制をすることがどれだけ人権侵害か。
最期は良き父にも、良き夫にも、良き教授にもなれなかったが、ひとつだけ、表現することだけは止めなかった。
残像として記憶し…
アンジェイ、それはないよ。
第二次世界対戦直後のポーランドを生きた芸術家の話。
社会主義国家で生きるためには捨てなければいけないものがあった。それを捨てられなかった男はどうなったか。
ポーラン…
このレビューはネタバレを含みます
最後のマネキンと共に横たわり死にゆくシーンは思い返すと
全体主義国家に反対するものはもはや人間として見ないぞというような残酷さと恐ろしさを感じ ゾッとする。
唐突に終わったので驚いたけど、残された娘…
アンジェイ・ワイダの遺作とあらば、観に行かねばなるまい。彼が最後に題材としたのはアーティスト。それも前衛芸術家。しかし、ワイダは最後までワイダだった。祖国の暗部。そしてその中で潰されていく個人。素晴…
>>続きを読む何だか報道ステーションが好きそうな映画。いつの時代も国家の前で個人は小さな存在でしかなく、圧倒的な権利には勝てない。そんな中でも自身の表現を貫いた主人公は単純にかっこいい。次第に色がなくなっていく部…
>>続きを読むこのレビューはネタバレを含みます
ショーウィンドウのマネキンの中、悶え倒れるストゥシェミンスキの姿が、灰とダイヤモンドのマチェクにダブって見える。
戦争の瓦礫に倒れる若者と、プロパガンダと化した芸術の瓦礫に倒れる老いた芸術家。歴史の…
芸術家・表現者としての自己実現とは何か?昨今、それが商業的な成功とされがちで、一概に誤りとは言えないが、本来は「作りたいものを作り続けること」であるはずだ。この「自身の信念のもとに創作を続ける事」さ…
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