清作が再び出征すると決まり、お兼が思い詰めて、彼に何らかの事を起こすだろうと予期させる凄みのある顔つきが、じわじわと迫ってくる。
そして古い釘を掴んだまま、その場を離れ着物も乱れながら、なりふり構わ…
あばずれだとか女狐だとか
悪口と嫉妬が渦巻く村で
味方が母しかいなくても
生きていかなきゃならない現実
うるさい鐘を朝から鳴らす
真面目な男を好きになり
彼だけが私を見ていれば
強くなることが…
狂気を孕んだ、けれど純粋すぎるほど真っ直ぐな愛。情念。戦死したとしても魂はそばに、なんて綺麗事、残された女には必要ない。ただそばにいてほしい。全てを我慢し続け何もかも諦めた中でたった一つの愛を知っ…
戦争と村社会に備わる愚かさと恐ろしさに対して唯1人で立ち向かう若尾文子が実に神々しい。本来そういう目的ではなかったにしろ清作に孤独である人間の気持ちを心底理解させた流れにも痺れた。独りで突き進む勇気…
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