郡上一揆の作品情報・感想・評価

「郡上一揆」に投稿された感想・評価

uyuyu

uyuyuの感想・評価

3.5
郡上踊り、盆踊り好きの仲間たちと、歌の背景を知りたくて鑑賞。いやー見応えあった! 岐阜県や地元の農協などなどの協賛、地元の人たちのエキストラ出演など、この歴史を伝えたい!という岐阜の人たちの並々ならぬ熱意を感じた。
作品としては、豪華キャストだし、史実が忠実に再現されているらしく、大作と言ってもいいくらい。緒形直人の熱演もすごかったな。こんなうまい役者だったんだな、この人。
ひとつ残念なのは、命を懸けた一揆をするほど農民たちの生活は圧政に苦しんでいた、という描写がほとんどなかったこと。そこ、知りたかったなー。
郡上一揆は唯一成功した農民一揆なんですね。一揆とか米騒動とかええじゃないか的なノリに萌えてしまう私としては、かなりアガってしまい、鑑賞後に郡上踊りを踊りました🤣
menoki

menokiの感想・評価

3.3

このレビューはネタバレを含みます

江戸時代に唯一農民が勝った一揆「郡上一揆」を映像化した作品。


あらすじ

美濃国・郡上藩々主・金森頼錦の増税策に対し、郡上120村の農民たちは撤回を求める。
藩から撤回証文を得たが、それは藩のその場しのぎのものだった。


恥ずかしながら本作を鑑賞するまでは「郡上一揆」に対して、江戸時代に唯一農民が勝った一揆という知識しか持ち合わしていなかったが、とある人物が「郡上一揆」に非常に感銘を受けたという事に興味を持ち、本作を鑑賞するに至った。


正直、本作を鑑賞する前は、悪徳役人から理不尽に苦しめられ続けた農民が、何かしらのきっかけにより溜まりに溜まった怒りを大爆発させ、農民達が一致団結し大きな一揆を起こし、悪徳役人を血祭に上げるというものだと思っていた。

しかし、実際は私がイメージしていたのとは大きく違い、暴動などはほとんど起こさず、農民の頭脳集団が緻密な戦略性を用いた計画的な組織的運動であった。

なので、本作は派手な立ち回りなどの場面は少なく、またその場面は終盤に少しあるだけである。

とはいえ、農民たちと藩の足軽たちと大乱闘はエキストラを大量動員しただけに迫力が凄まじく、視聴者に農民たちの信念や気迫が伝わってくる素晴らしいシーンとなっていた。


また、最近の腑抜けた大河ドラマなどとは違い、侍の乗っている馬が低かったり、既婚女性がちゃんとお歯黒をしているなど時代考証がしっかりしている。

鑑賞後「郡上一揆」について少し調べたが史実におおむね忠実であったり、身分に関係なく方言を話しており、製作陣が如何にリアリティを重要視しているのかが分かる。


命を賭してまで共同体を守ろうという愛郷精神は心を打たれたし、自分の家庭を守るだけでも精いっぱいの私としては、この人たちの命がけの行動はもう尊敬するしかない。

一部抜かして役者陣の演技はナチュラルで素晴らしく、演出や音楽なども素晴らしい。


自分たちの生活や日本の社会と政治などの課題について、より強く、より深く考えさせられる素晴らしい作品ではあるのだが、残念な箇所も多々存在する。


まず、本作では物語の序盤で農民がブチギレて一揆を起こすのだが、農民がブチギレている理由が分かりにくく、一揆を起こす説得力がほとんどない。

一応説明すると、従来の「定免法」という年貢の取り立て方を変更し「検見法」という取り立て方を導入することでした事に対してブチギレたのだが、「定免法」と「検見法」の説明が全然ないので、視聴者側からは「検見法」になると生活が厳しくなるのかなぁ~程度の認識にしかならないので、そこまで農民に共感する事が出来ない(それとも私が無知なだけで「定免法」と「検見法」って一般常識なのかな??)。

それとこれが一番致命的だと思うのだが、生活に困窮している農民なはずなのに、衣装に全然汚れがなく、全身の汚れも全くない。

ちょんまげも綺麗に整えてるし、場面に依っては白飯を食しており、とても生活が困窮しているようには見えず、特に不自由なく生活しているようにしか思えないのだ。

生活がギリギリの状態で、農民の不利になる年貢の取り立て方法に変わるのなら一揆を起こす説得力が生まれるのだが、不自由なく生活している状態からだとねぇ~・・・。


確かに農民の命を賭けの行動は心を打たれはしたが、同時にそこまで生活苦しくないのに何でここまで出来るんだろう、などと余計な事を考えてしまう。

本作では年貢の取り立て方を変更するという説明から始まるのだが、その前に困窮した農民たちの生活を10分近く描いた方が全然説得力があると思うのだが・・・。


また、本作は劇中で人々が今どういった行動をしているのか、どういった状態にあるのかが少々分かりにくいようになっている。

これは大河ドラマの総集編のように色々な部分を端折り、重要な部分を重点的に描いているので物語の背景が分かりにくいなどもあるが、個人的にはその時代特有の会話や単語を何の捻りもなくそのままセリフに盛り込んだのが一番の原因だと思う。

一応、私はこれまで人並みには時代劇を鑑賞してきたつもりではあるが、時代特有の会話を聞いてても理解できない事はほとんどなかったし、偶にあっても次のセリフや場面で普通に理解する事が出来た。

しかし本作の場合、一般の時代劇では使わないような時代特有の単語が盛りだくさんであり、更にその地方特有の方言を使っているので尚のこと分かりにくい。

リアリティを重要視したらこのようなセリフ回しになってしまうのは分かるのだが、個人的にはもう少し視聴者に分かりやすいようなセリフ回しにして欲しかったな・・・。

それと「将軍や老中等に直訴をしたら死罪になってしまう」くらいの事はテロップかナレーションで説明した方がいいのではないだろうか・・・。

知らない人が観たら、「何で直訴しに行っただけで農民ボコられてんの?」って思うんじゃないか??


あと、史実に忠実なのはいいのだが、もう少し場面場面に何かしらのドラマを入れて欲しかったかな・・・。


何というか素晴らしい映画なだけにもったいなく思えてしまう作品であった。


最後に、幕府もお殿様も、結局は自分達の都合いいように法律を変えたり、税率を上げて税金を吸い上げることばかり考えている。

そして、どんなに時代が変わってもそこだけは変わらないんだな・・・。
僕が今死ねば、孫の代まで生活が良くなる。

そんな風に思って死んでいった農民一揆の話。

日本で農民一揆が成功した例は郡上一揆だけ。
真世紀

真世紀の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

たまたまポスターを見て、勤め先のある都区内の労組による百姓一揆を扱った映画の上映会へ。会場は八割方埋まっていたが、一般当日券で入った自分の番号は10番。つまりそれ以外の周りは労組関連の人ばかりと画面の内と外が呼応するかのような環境での鑑賞となる。

神山征二郎監督が助監督時代から念願していた企画。郷里の岐阜で宝暦年間に起きた一揆が題材。最近の日本映画では珍しい延べ3500人のエキストラによる群衆シーンが見物といっても描くのは一揆。地味である。こんな題材でよくつくれたと驚く。何しろ一揆。デートムービーであれ、OLが会社帰りに女友達とであれ、まずは選択肢から外れることは間違いない。

悪政に「もう我慢できん」と農民が大暴れするも鎮圧という話かと思いきや、実は四年余りにわたる長期の話でしかも強訴や老中への駕籠訴えと農民側の違法手段での訴えを受けても当時の訴訟制度にきちんとのっとり進む。

江戸では農民の代表らは公事宿に滞在。引き伸ばし策で江戸に留め置かれる。一度は村に帰されるも再度の訴えをしたため、不届きと捕まり、叩きや石を抱かせと責められ、最期には獄門首までと江戸の司法、刑罰史のような展開。

そんな扱いをしておきながらも裁きの結果が案外公平でこれには驚いた。

既婚の役の岩崎ひろみがきちんとお歯黒付けていたりするあたりからして考証もしっかりしています。

訴訟の費用、公事宿の滞在費を後で村々で負担し、集めるといった点も描いていて、江戸に留め置かれた宿代はどうしたのと気になったあなたもこれで大丈夫。

そしてキャストも豪華。主演が緒形直人。その父親に加藤剛。いわずとしれた当たり役は大岡越前ですが、今回は自分が伝馬町牢屋敷につながれる。

他の農民も林隆三、永島敏行、古田新太。公事宿主人に篠田三郎。庄屋に前田吟。元凶の藩主に河原崎建三。一揆という題材と農民をじっくり腰をすえ、描いた異色の時代劇映画。一見の価値あり。
教科書で習う「目安箱」等の訴状に対しての対応とか。
訴えた人の訴状が聞き届けられたのに獄門とかなんで?って、
思っていた感じとは違う黒い部分が見えたりすると気になって・・・。
色々な文献書籍も買ってきたので合わせて読む!

とりあえず今は「駕籠訴」と「箱訴」と、
その訴人に対しての死罪の繋がりとかを調べている所。
単純に言うなれば、命を掛けてでも通して聞いてもらいたいコトなんだ!
ってことと割り切るにしても、結局、訴えを受け入れて聞いて
対処してるのに「死罪」って、訴えること自体が罪?

にしても、郡上一揆。
知られてない割りに役者さんいいところばっかり使ってて
それだけでも凄いのに、設定も細かく、
岐阜出身の監督の思いが篭ってて、さらにエキストラさんも凄かった。
漆原

漆原の感想・評価

4.5
郡上出身な為、小学生の時に全生徒が体育館で見させられた。
歴史に興味がないし映像が古臭いから最初はなんとなく見ていたが、みるみるうちにのめり込んだ。
想像も出来ないほどの壮絶な闘いに、自分達の生活を守る為に命懸けで歯向かう姿は強烈。

米が無くなっても徒歩3分のコンビニで代替品が幾らでも買える恵まれた時代に生まれ育ったが、この一揆がどれほど悲惨なものか、一揆が起きる状態がどれほど切羽詰まったことか、この映画の非常に高いストーリー構成、えぐられる様な心情描写からほんの少しだが感じることができる。
周りの生徒もみな泣いていた。
momoko

momokoの感想・評価

4.0
不条理な税の取り立て検見取りに立ち向かい、命がけで一揆をする農民たちの姿。籠訴のシーンは圧巻。
一緒に見た友だちが痛いよーと言って隣で泣いていたのを思い出しました。
歴史の勉強に最適です。
江戸時代の司法制度とりわけ駕籠訴/箱訴の訴え方法、死罪/獄門といった刑の種類あたり、あと江戸の公儀と藩の関係とそれらの重要役職について知らないとついていけないかもしれない内容。そこらへんすっ飛ばしてるからこその充実した内容なのでちょっとだけ予習してからの鑑賞がおすすめ。